パイン通りにある、小さな白い家に住んでいるパインさん。この通りには、同じような白い家が50軒も並んでいるので、パインさんは、自分の家の目印に小さいマツの木を植えることにしました。
パインさんが小さいマツの木を植えると、お隣に住むブラウンさんがやってきて、言いました。
「おや、いいマツの木ですね。」
そのブラウンさんの隣に住むグリーンさんもやってきて言いました。
「まあ、かわいいマツの木ね!」
さらにグリーンさんの隣に住むホワイトさんもやってきて言います。
「とってもすてきなマツの木ねえ。」
次の日の朝、パインさんが窓から庭をのぞいてみると……!
あれこれ家の目印を考えるパインさんですが、なぜかすぐにご近所さんに真似されてしまって、結局同じ家が50軒……。これではいつまでたってもパインさんの家の目印ができません。最後にパインさんは考えて考えて考えて、白色の家を大好きなむらさき色に塗り替えることにしたのですが、はたして!?
全ての見開きに入っている絵も、お話と合わせてとっても楽しい一冊。中でも50軒のずらっーと並ぶ家の絵は圧巻です! たびたび登場するので注目してみてくださいね。また、どうにか家の目印を作ろうと奮闘するパインさんの姿や、ついパインさんを真似しちゃうけれど悪気のなさそうなご近所さんの様子がなんだかとってもおかしくて、パイン通りに住むひとたちのゆかいな様子が伝わってきます。
絵がたっぷり入っているので、読み物の体裁でありながらも、絵本のように読みやすく、絵本から読み物への移行もスムーズに進めてくれることでしょう。とくに5歳から7歳ぐらいの子どもたちのはじめてのひとり読みにおすすめです。
前作の『パインさんのごちゃまぜかんぱん』同様に、最後の「作者のことば」もお楽しみ。こちらからは、作者のレオナード・ケスラーさんの温かくて楽しいお人柄が伝わってくるようです。
それにしても次から次へと真似されちゃう「パインさん」。きっとご近所さんから見てもとっても魅力的な存在なのでしょうね。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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