オスカーは、ちいさなネズミの男の子。ママにはいつでもこう言われてます。
「お外に出てはいけません。森には怖い獣がいっぱいいて、すぐに食べられちゃうのよ」
でも、土の中のおうちは暗くていやだ。ニンジンだって思いっきり食べたい。
どうしても自由にしたいオスカーは思い切って外へ出ると、さっそく大好物のニンジン!
と、次の瞬間バサバサとタカがおりてきて危ない目に。夜になるとキツネに追いかけられ、飛び込んだ農家にはネズミとりとクロネコ!せっかく美味しそうなソーセージとチーズがあったのに。オスカーは逃げ回ってすっかりへとへと。
さらにフクロウに襲われそうになっている所を間一髪で助けてくれたのは、ユニークなハリネズミのイゾドール。「もっと強い動物になりたい」というオスカーにイゾドールは言うのです。
「それなら、根っこの魔法使いブルツル様のところにいって、お願いしてみたらいいよ。」
そしてブルツル様の魔法によって、オスカーはちっぽけなネズミから誰よりも強いトラになってしまったのです!!
もう怖いものなしだね、オスカー。自由に大好物のニンジンやチーズを食べられるね。
ところが…。
ブルツル様ってなに?オスカーに自由はやってくるの?
目まぐるしく変化していく展開の連続に、オスカーと一緒に目が回ってしまいそうになりますが、ブルツル様に出会って魔法をかけてもらう場面での変貌ぶりには驚くやら可笑しいやら。強くなるってなかなか難しい。でもその後、最後に意外なものを手に入れたオスカーが何とも痛快なのです。一度も立ち止まらないその姿、大人もなかなか感じるところがあるような。
このキテレツな物語を更に愉快にしてくれているのが、不思議な技法で描かれた個性的な絵。点や線の組み合わせと、ビビットな色合わせは迫力があり、でもとってもチャーミング。ブルツル様も…ここは出会ってからのお楽しみですね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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