じりじりと太陽の光が照りつける砂漠。少年の手に握られているのは、一本の棒。その棒の指し示す方に向かって歩き続けているのです。
「クスノキに会いにいきなさい」
大事な人たちを失い、悲しみにくれていた少年に声をかけた旅人は、未来を見せてくれるという女神の化身の存在を教えます。未来を先に見ておけば、明日からのことにおびえなくてもすむだろうと言うのです。
様々な困難を超え、ついに少年は深い森の中に佇む大きなクスノキに出会います。そこに現れた女神が見せてくれた「未来の姿」とは……。
累計120万部を突破した東野圭吾の小説「クスノキ」シリーズ。その作中に登場する物語が、実際に子どもたちが手にとって読める絵本として誕生したのがこの作品です。
自分だけの力ではどうしても救えない命。それを目の当たりにした時のつらさ、抱えきれない悲しみ、押しよせてくる不安。それらを乗り越える方法はあるのだろうか。明日や明後日、その先の未来に答えは待っているのだろうか。
そんな誰もが直面する可能性のある大きな悩みを受けとめてくれるのは、画面いっぱいに描かれた力強いクスノキの絵。太くどっしりとした太い幹に青々と茂る葉っぱ。じっと見あげているうちに、なんだか自分という存在や今という時間が包み込まれるような感覚になってくるのです。
子どもから大人まで、読む人の心と一緒に旅をしてくれるようなこの絵本。ふと足がとまってしまった時、きっと何度でも手にとって読みたくなるはずです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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