谷口智則さん最新刊 全然違う「きみ」と「ぼく」の物語
絵本紹介
2024.06.18
ひと目見て、吸い込まれるように手に取ってしまう一冊があります。特に美しい表紙との出会いは刹那的で、うまく言い表せないけれど、ちょっと恋にも似た感覚。自分の中の感性が奮い立つそのワケを紐解いてみたくなりますが、やっぱり理屈にするのはもったいないのです。
大人を魅了する美しい表紙の絵本をお届けします。
主人公の繊細な心象風景をやわらかく優しいタッチで表現した絵本。日暮れから夜に向かう一日の終わりの時間が豊かなグラデーションで描かれた一冊。自然や宇宙の神秘を力強い日本画で描き切った、文字のない絵本。
まるで絵画のような表紙絵と見つめ合い、語り合いを経て、本を開く。じっくりと物語の世界に溶け込んでいく。大人だけの特別でぜいたくな読書体験を堪能してください。
出版社からの内容紹介
森にひっそりとくらす、耳の大きなきつね。大きな音が苦手で、しずかなところを探しにでかけます。毒きのこのかさの下、とじた目の奥、すずらんのかおり、思いがけない場所に見つかって……。なかまと出会い、しずかなパーティーを楽しみます。足もとに広がるゆたかな世界が見えてくる、フィンランド生まれのあたたかな絵本。
みどころ
ぼくは、おばけ。おさんぽが好き。
今日はとってもいい天気。
誰も歩いていない静かな住宅地を抜けて、休日の学校へ寄ってみたり、おすし屋さんに入ってみたり。
途中の横断歩道で子どもと手を振り合って、はじめての喫茶店にも行っちゃおう。
久しぶりに会うある人との再会や、小さな女の子との出会いも……。
そんなおばけの楽しい1日。
おばけが見ている散歩途中の情景がリアルで、まるでその場に自分もいるような気分に。
晴れた青空や、景色の影から伝わるだんだん日が暮れていく様子、美しい夕焼け。
そんな時間の経過もとても自然に感じられて、おばけと一緒に散歩しているような感覚になれるのが
なんとも心地良い一冊。
「今日もたのしい1日だった」というおばけのセリフと共に、たっぷりとした充実感が訪れます。
さらに絵を何度か見返してみると、どこかとどこかが繋がっているなどのちょっとした秘密も!?
さあ、絵本を開いて、おばけと一緒に「今日」を楽しんでみませんか。
みどころ
大きなハリネズミと小さなハリネズミ、ふたりは家に帰るところ。空は夕日に染まってまっかです。
「ねえねえ、ちょっと まって」
小さなハリネズミは、夕日が沈むまで見ていたいと言います。そこでふたりは眺めのいいところにすわって、しっかり沈むまで見届けます。さあ、帰らなくちゃね。でも少し行くと、今度は明るいおつきさま。さらに進むと、すごくいいにおいのお花。ホーコーと鳴くフクロウ。ホタルの群れに、数えきれないほどの星まで。
小さなハリネズミにとって、かえりみちには見たいものがたくさん。魅力的なものばかりですものね。でも、これではなかなか家には着きません。それでも大きなハリネズミは優しく寄りそった後に言うのです。
「さあ、もう いかなくちゃ。いえは もう、すぐ そこだよ」
すると小さなハリネズミは……?
夜へと向かう風景の中、ゆっくり歩くかえりみちは特別な時間。たとえ途中で寝てしまったとしても、その先に待っているのは大好きな自分の家です。小さなハリネズミは大きなハリネズミの腕の中で、きっといい夢を見ているのでしょうね。ドイツの人気絵本作家ブリッタ・テッケントラップが、美しい一日の終わりを描きます。
この書籍を作った人
ドイツハンブルグ生まれ。ロンドンのセントマーティンズ・カレッジ・オブ・アート、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学ぶ。子ども向け絵本および挿絵の分野で活躍しており、絵画展も多数開催されている。共にアーティストである夫、息子と一緒にベルリンで暮らしている。
この書籍を作った人
埼玉県生まれ。詩人、絵本作家。詩集に『ひつじがいっぴき』(フレーベル館)、『五つのエラーをさがせ!』(大日本図書)。創作絵本に、『クリスマスべんとう』(教育画劇)、『なになになあに?』『はたらくんジャー』(フレーベル館)、『からだのなかでドゥンドゥンドゥン』(福音館書店)、『おっとっと』(講談社)。絵本の翻訳もてがけ、クリス・ホートン作『どうする ジョージ!』(BL出版)で第62回産経児童出版文化賞翻訳作品賞を受賞。『クマのパディントン』『ともだちからともだちへ』(理論社)、『ヨセフのだいじなコート』(フレーベル館)、『ピッツァぼうや』(らんか社)、『どんないえにすみたい?』(好学社)、『おなじそらのしたで』(ひさかたチャイルド)、『クレヨンからのおねがい!』(ほるぷ出版)他多数。
出版社からの内容紹介
英語で書かれた絵本にCD(英語・日本語一文ずつ交互に収録)がついています。
(一部、例外あり。詳しくは、それぞれの書籍の説明文をご覧下さい)
こどもが初めて英語の物語に出会う時、英語だけではなかなか楽しめません。
日本語の語りが助けとなり、英語物語の世界へ自然と引き込まれていきます。
妖精のすむ森にはいりこんだ男女と、アテネ公爵の結婚式で披露する芝居を準備する職人たち。そこに、妖精の王が妖精パックに恋の魔法をかけるようにいうが、パックはかける相手を間違ってしまったから、さあ、たいへん!
シェイクスピアのセリフの美しさやリズムの楽しさが、夢の世界にさそってくれることでしょう。
この書籍を作った人
1960年生まれ。東京大学およびケンブリッジ大学より博士号を取得。東京大学大学院総合文化研究科教授。専門はシェイクスピア。訳書にナルニア国物語やドリトル先生、赤毛のアンといった児童書向けシリーズ、ポー傑作選、シェイクスピア戯曲の新訳(すべてKADOKAWA)、『若い読者のための文学史』(すばる舎)など、著書に第23回サントリー学芸賞受賞の『ハムレットは太っていた!』(白水社)、『シェイクスピア 人生劇場の達人』(中央公論新社)などがある。
出版社からの内容紹介
国際的に注目をあびている日本画家が、小さな鹿の一夜の冒険を美しく表現しました。
文字がないだけ余計に絵の力が強く語りかける絵本です。
迷子になった小鹿が星空の下をさまよう物語。けんぶち絵本の里絵本大賞受賞。
文/竹原雅子
編集/木村春子