へっこ ぷっと たれた へっこ ぷっと たれた
構成・文: こが ようこ 絵: 降矢 なな  出版社: 童心社 童心社の特集ページがあります!
読めば自然とリズムがうまれる!わらべうたをもとにしたあかちゃん絵本
人気絵本をスマートフォン・タブレットで!絵本読み放題サービス♪【プレミアムサービス】
絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  やわらかいってきもちいいよね? 親子でたのしむスキンシップ絵本『こねて のばして』ヨシタケシンスケさんインタビュー

「絵と文字を減らすのがもったいない」心理との葛藤

───制作中に心がけたことは何かありますか?

「こねて・のばして・またこねて」の3拍子、1ページにつき3つの絵のリズムを一セットにして、読みやすく入れていきたいと思いました。
とにかく思った以上に難しかったのが、絵や文字の要素を減らすことでした。ぼくなりに「今まででいちばんシンプルな本」「読み聞かせ向きの本」とテーマを立てたはずなのに、ついどんどん情報を入れたくなってしまう。もう病気みたいなものですね(笑)。
「今回やりたいことはなんだっけ?」と考えると「じゃあ、絵も文字ももっと減らしたほうがいいよね」と、理論上はよく理解できるのですが…。一度減らしても代わりに他の絵を入れちゃったりするんです(笑)。

───そんな葛藤があったとは…!(笑)。

情報量を減らすことにぼく自身がこんなに抵抗感があるんだと初めて知りました。そういう意味では、今まででいちばん難しかったです。

───ヨシタケさんが描いた最初のラフから、次第に描き直されていくラフの様子を見せていただきました!


冒頭「あさがきて」から「つまんで」の間にたくさんのカットが!


ロケットで空を飛ぶシーンも。


「ころがして」の場面。ダイナミックで面白そう!

パラシュートでおりてきたり…。


最終ページは「またあした!」。初稿ラフは32ページの大判絵本を想定。内容が変わっていくとともにページ数も減らし、判型も読みやすい今の形に落ち着いたそう。

───服を着せたりロケットで飛んだり…。ファンとしては「このバージョンも面白そう!」と思っちゃいます。

空からパラシュートでおりてくる場面や、大きな機械の中を転がる場面は、絵のダイナミックさ、面白さがありますよね。でも本来やりたいことを考えたら…スキンシップに特化したほうが、よりコンセプトが伝わりやすいんじゃないかと。生地を人に見立てやすい面白さのほうへ場面を集約していきました。


2稿はこちら。


「ひとやすみ」は、空に雲が浮かぶ、丘の上。


2稿でコチョコチョ登場!

第1稿ラフでは「またあした!」とバイバイする場面が最終ページでした。でも、親子のスキンシップでいちばん盛り上がるのって何だろうと考えたとき、「コチョコチョ」がいちばん嬉しいんじゃないかなと思って、第2稿で入れたのが「コチョコチョ」のラストだったんです。

───「コチョコチョ」はみんな大好きな遊びですよね。

2稿から3稿へやりとりを重ねる中で、だんだん、外ではなく部屋の中でできるスキンシップや遊びの場面に限定しましょうという方向になっていきました。


3稿はこちら。前半は完成形に近づいています。


3稿で描かれていた野外の場面は最終的にはなくなりました。

やりとりの最後のほうに加わったのが、眠る場面です。当初は、生地をシーツみたいに体にかけて「ひとやすみ」で、「ぐう ぐう すー すー」だけだったんですよ。ここを「たっぷり寝ちゃいましょう」というのは沖本さんのアイデアでした。たっぷり寝るなら、互いにくんずほぐれつの場面があったら面白いんじゃないかなとぼくが考えて生まれたのが見開きページです。

───後から出てきたページだったのですね。この場面、大好きです!
後ろから抱きつかれたり、手をつないで寝たり…。子どもと一緒に寝ていると「あるある」と思う場面です。

一方的にこねてのばすところから、だんだんお互いに求めあうようになって、後半はキスしたり、なでたり抱きついたり、においをかいだり……(笑)。親密度が増していくんですよね。
スキンシップというキーワードが出てぼくが考えたのは、「スキンシップってことは、つまり、やらしいことだろう!」と(笑)。大人から見るとやらしいかもしれないけど、子どもから見ると、気持ちいいし、楽しいこと。触れ合って安心するのは、動物にとってはあたりまえですよね。
どんなに小さい子だって人肌が大好きだし、ちっちゃい子ながらの欲求みたいなのは絶対ある。それをちゃんと描きたかったんです。

自分が子どもで、親で…。絵本の時間

───ご自身のお子さんには『こねて のばして』を読み聞かせをされましたか?

ええ。うちの子は今、小学5年生と6歳の年長さんですが、読んだら2人とも気に入ってくれましたよ。最初は特にスキンシップもせずに普通に読んだんですが、読みおわったとたんに下の子がベッドの布団を「こねて」「のばして」「とびはねて」をやりはじめて。上の子のベッドで読んでいたので、「ほこりがたつから、やめろ!」と上の子に怒られていました(笑)。

───かわいいですね〜! 読んでいるうちにうずうずして、こねたくなっちゃったんですね、きっと(笑)。

それに「“つりさげて”は?」「“ひきずって”は?」って、本にのってないことをどんどん提案してくれました(笑)。 「最初に色々あったのを減らしたんだよ。“凍らせて”はお父さんも考えたんだよ」と息子に話しながら、よかった、成功したなと思いました。続きを頭の中で考えて提案してくれたのは、息子たちも満足してくれたことの証拠だろうなと思いました。

───絵本を作っていて、子どもの頃に好きだった本を思い出すことはありますか?

子どもの頃好きだった絵本で、まず思い浮かぶのが『からすのパンやさん』(偕成社)です。パンがいっぱい並んでいるページが好きでした。あの本を思い出すと、「ぼくは、きょうはこれが食べたいなあ。おかあさんはどれが食べたい?」と母と話しているシーンが一緒に思い出されるんですよ。これはやわらかそうだねとか、おいしそうだねと一緒にパンの味を想像している…。ぼくにとって、絵本が好きになる原体験だったと思います。

ぼくの母親は、家に絵本や児童書を集めて、家庭文庫を開いていました。でも絵本の読み聞かせを積極的にするというより、近所の子どもたちに「好きに上がって、勝手に読んでいていいよ〜」という感じ。主には、盲学校や聾学校に出かけていって語りをする「ストーリーテリング」の活動をしていました。
「おはなしのろうそく」シリーズ(*)をはじめ、短い童話から長い物語まで色々覚えていましたよ。家での練習につきあったことも何回かあります。「抜けているところがないか見てて」と言われて、ぼくは文章を目で読みながらチェックする役割でした。

(*「おはなしのろうそく」シリーズ…東京子ども図書館刊行。てのひらにのるサイズの小さなお話集。1973年刊行開始以来、語りのテキストとしても支持されるロングセラー。2017年現在は31巻まで刊行中)

───ヨシタケさんご自身がお父さんになってから読んだ絵本で、印象的なものはありますか?

柳原良平さんの『かお かお どんなかお』(こぐま社)です。文字が少なくてすぐ読み終わるからラクだし(笑)、息子が小さいときからよく読んでいました。「読んでほしい本」と「読んであげたい本」とがめずらしく一致する絵本なんですよ。たいてい息子が本をもってくると「それは長いからダメ」とかぼくが言っちゃうので決裂するんですけどね。「これだったらいいよ」と2人の気持ちが合って交渉成立する奇跡的な本でした。

───子育て中は親も忙しくて、なかなかゆっくり読めないこともありますよね。

ぼくも毎晩ゆっくりなんて読めないですよ。でもこの本を読むと面白いのは、「からいかおってどんなかお」「あまーいかおってどんなかお」と読みながら、息子に「辛い顔ってどんな顔?」と聞くと、息子が「辛い顔」や「甘い顔」をするんですよ。何度も読んでいると、数カ月前より表現力があがって、もっと「甘い顔」らしい顔になってる。読むたびに「おっ、腕があがってる!」と発見する面白さもありました。

『かお かお どんなかお』はぼくにとって、息子の顔とセットで思い出す絵本になりました。「どんな顔?」と息子にその顔をさせて、息子も大喜びで顔真似をする。本と息子、本と息子、とぼくが交互に見ながら読む。息子もやっぱり本を見て、顔真似をしてぼくの顔を見て、とくりかえす…。こんな体験は、絵本ならではですよね。

───いい時間ですねえ…。

親になって思うのは、「忙しい毎日の中でも気軽に読める」って大事なポイントですよね。だからこそ、読みやすい短さの『こねて のばして』を作ってみようという気持ちがありましたし、「この本をよく読んでコチョコチョしたなあ…」といつか親子で思ってもらえれば嬉しいなと思います。

───短い『こねて のばして』ならパパも気軽に読めそう! ママはもちろんですが、いつも忙しいパパが思いっきりコチョコチョしてくれたら、子どももきっと嬉しいでしょうね。

出版社おすすめ

  • パンダ銭湯
    パンダ銭湯
    作・絵:ツペラ ツペラ(tupera tupera) 出版社:絵本館 絵本館の特集ページがあります!
    いま、明かされるパンダのひみつ。


おやすみ前にぴったりの絵本!本をなでたり、ゆらしたり♪
年齢別絵本セット&学年別児童書セット

ヨシタケ シンスケ(よしたけ しんすけ)

  • 1973年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチ集や、児童書の挿絵、装画、イラストエッセイなど、多岐にわたり作品を発表している。『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)で、第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞などを受賞。著書に、『しかもフタが無い』(PARCO出版)、『結局できずじまい』『せまいぞドキドキ』(以上、講談社)、『そのうちプラン』(遊タイム出版)、『ぼくのニセモノをつくるには』(ブロンズ新社)、『りゆうがあります』(PHP研究所)などがある。2児の父。

作品紹介

こねて のばして
作:ヨシタケシンスケ
出版社:ブロンズ新社
りんごかもしれない
作:ヨシタケシンスケ
出版社:ブロンズ新社
ぼくのニセモノをつくるには
作:ヨシタケシンスケ
出版社:ブロンズ新社
このあと どうしちゃおう
作:ヨシタケシンスケ
出版社:ブロンズ新社
もう ぬげない
作:ヨシタケシンスケ
出版社:ブロンズ新社
全ページためしよみ
年齢別絵本セット