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むげんことわざものがたり

むげんことわざものがたり(偕成社)

好評につき2刷!ことわざがつながって、ひとつの物語になったおもしろ絵本

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連載

「すこやかな心をはぐくむ絵本」シリーズ完結記念 絵本作家インタビュー【くすのきしげのりさんと12名の絵本作家たち】

廣済堂あかつき

2016/09/20

【連載】第7回 『しょうじき50円ぶん』の長野ヒデ子さん

【連載】第7回 『しょうじき50円ぶん』の長野ヒデ子さん

たこ焼きを買って、もらったおつりが多かった。さて、どうする? 元気な兄弟といっしょに「う〜ん」となやんでしまう『しょうじき50円ぶん』。長野ヒデ子さんの描く表情豊かな子どもたちの姿が、身近な物語に生き生きとしたエネルギーを注ぎます。

作者のくすのきしげのりさんがインタビュアーになって、ご自身のこと、絵本作りのことなど、長野ヒデ子さんにうかがいました。
■ 『しょうじき50円ぶん』にまつわるエピソードあれこれ
くすのき:『しょうじき50円ぶん』で兄弟は、まちがって多くもらったおつりを返しに行きますが、長野さんが、ふだんの生活の中で、自分の心に従って行動し、スッキリした経験があったら教えてください。
長野:わたしはまったく情けない人で、いつも落とし物をしたり、忘れ物をしたり、本当に何でもなくしてしまうのです。お財布も何度落としたことか……。カードもさっきまで持っていたのに落とした!なんてことも。まるでマジックにあったようなことばかりですよ。
友人の絵描き3人で歩いていたときのこと、千円札が道にひらひら落ちていたの。「どうする?」「交番に……」などと言いながら、「えーい、これで何か食べちゃおうよ」と友人。「そうしよう、そうしよう」と3人は駅に向かってそれ〜と走った。何か3人ともドキドキしながらも、ワクワクしていたわね。ところが駅前に共同募金の人が立っていて、「お願いします!」と声をかけられたから、3人でその千円札と自分の千円とを募金箱に入れて、ゲラゲラ笑ってしまったことを今も思い出します。
くすのき:生活の中では、そうした考えたり、迷ったりする場面がよくありますね。
この作品の中では、人気のたこ焼き屋が出てきますが、長野さんは、たこ焼きはお好きですか。たこ焼きをめぐる思い出があったら教えてください。
長野:本当においしいたこ焼きを食べたことがありません。普通のたこ焼きしか食べたことがないので、タコが小さくてとか、タコ入ってるの?と思うようなのばかり。
おいしい人気のたこ焼き屋さんを教えてほしいなあ……。大阪の友人が「おいしいたこ焼き、食べさしてあげるで〜」と言ってくれるけど、今もまだ食べさせてもらってないの。
くすのき:ぼくはたこ焼きが好きです。子どもの頃、この絵本みたいに、割りばしにたこ焼きをさしたのが、おやつでした。今度、徳島にいらした時にはおいしいたこ焼き屋にご案内します。
この本の中で、長野さん、おすすめの場面、お気に入りの絵はどれでしょう。
長野:そうねえ、ベンチに二人が座って悩むところかしら。悩みますよねー、わたしもいつも迷って生きていますから。

くすのき:このページは何回かラフが変わりました。やっぱり、いろいろと迷われたのでしょうか? この絵本はバックの色で兄弟の気持ちが表現されていますが、このシーンの色は迷う気持ちがより伝わってきますね。
長野さんはごきょうだいはいらっしゃいますか? 小さかったころのきょうだいでの思い出やエピソードがあったら教えてください。 
長野:弟がいます。小さいとき、いつも「ねえちゃーん」といって、わたしについて来るんです。その頃、白い綿のキャラコの布で弟のランニングもわたしのパンツも皆、親戚の和子姉ちゃんの手作りの下着でした。弟といっしょに遊んでやりなさいと、母は言うけれど、いつもついてくるので逃げたくなった。でも、わたしと同じ布で作ったランニングとパンツをはいた弟は「ねえちゃーん」といつもついてくるのですもの。逃げると泣く。ああー、弟でなくお姉さんが欲しかったわ。
くすのき:それだけ、慕われていたということでしょう。弟さんにすれば、頼りになる、いいお姉さんだったんでしょうね。
■ 絵本制作のアイデアやチャレンジしたいこと
くすのき:絵本のアイデアが生まれるのは、どんなところからですか? いつ、どんなときでしょう?
長野:なにげない毎日の生活の中から……。ほっと思ったときです。
でも作品になるのは、なかなかむずかしいですね。
くすのき:そうですね。なにげないところに大切なものが隠れていますものね。
これから主人公に描いてみたいもの(人)はありますか?
長野:目だまや足やまゆげ。体も一つひとつの個性があるし、自立していると思うのですが……。
むずかしいですね。
くすのき:おもしろそうですね。それは、ぜひ、絵本で拝見したいです。
これから挑戦したいことはありますか? お仕事でも、それ以外でも。
長野:仕事のことは、いっぱいありま〜す!
これからは、赤ちゃんの声について、もっともっと考えを深めていきたいです。
赤ちゃんはすごいですね。赤ちゃんの力を心より愛おしく、たくましく、宝のように思います。
くすのき:ほんとうに。ぼくも赤ちゃんを見ていると、澄んだ明るいパワーをもらえるような気がします。
長野さん、お話ありがとうございました!
───最後に長野ヒデ子さんのひみつを手書きコメントで大公開!

長野ヒデ子さん おすすめの本


長野 ヒデ子(ながのひでこ)
絵本作家。絵本創作に紙芝居、イラストレーションなどの創作の仕事やエッセイや翻訳も。

代表的な作品に「とうさんかあさん」(石風社/絵本日本賞文部大臣賞受賞)「おかあさんがおかあさんになった日」(童心社/サンケイ児童出版文化賞受賞)、「せとうちたいこさん・デパートいきタイ」(童心社/日本絵本賞受賞)、紙芝居に「ねこのたいそう」(童心社)など。





くすのきしげのり
1961年徳島県生まれ。鳴門市在住。小学校教諭、鳴門市立図書館副館長などを経て、現在は、児童文学を中心とする創作活動と講演活動を続けている。絵本『おこだでませんように』(小学館)が、2009年に全国青少年読書感想文コンクール課題図書に、2011年にはIBBY(国際児童図書評議会)障害児図書資料センターが発行する推薦本リストに選出される。同作品で第2回JBBY賞バリアフリー部門受賞。また、『ふくびき』(小学館)、『ともだちやもんな,ぼくら』(えほんの杜)と共に第3回ようちえん絵本大賞を受賞する。その他の絵本に『もぐらのサンディ』シリーズ@〜C(岩崎書店)、『あたたかい木』(佼成出版社)、『えんまのはいしゃ』(偕成社)、『みずいろのマフラー』(童心社)、『ええところ』(学研)、『メロディ』(ヤマハミュージックメディア)など多くの作品がある。


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