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連載

「すこやかな心をはぐくむ絵本」シリーズ完結記念 絵本作家インタビュー【くすのきしげのりさんと12名の絵本作家たち】

廣済堂あかつき

2016/10/20

【連載】第9回 『げんこつげんたろう』の伊藤秀男さん

【連載】第9回 『げんこつげんたろう』の伊藤秀男さん

げんげん げんこつ げんたろう
だれにも いわない おいらの きもち
ぎゅっと にぎった げんこつだい

リズミカルなことばと、じっと見ていると、描かれた子どもたちの声が聞こえてくるようなイラスト。シリーズの中でもひと味ちがった印象の絵本『げんこつげんたろう』。
作者のくすのきしげのりさんがインタビュアーになって、何度もコンビを組まれている伊藤秀男さんに小さかったころのこと、特徴ある絵について、うかがいました!
■ 伊藤さんの子どもの頃と、エピソード。 迫力の絵のヒミツは?
くすのき: 『げんこつげんたろう』では、「ぼく」はおかあさんの絵を描きましたが、その絵を友だちにからかわれ、みんなに笑われたので、けんかになりました。
伊藤さんの小さいころ、口にできない思いをがまんしたことはありますか?
伊藤: ありません。ただお習字の教室に通っていた時、おしっこがしたくてたまらなかったのに言えず、がまんして切迫した気持ちになったことを思い出します。
くすのき: それは、なかなか大変でしたね。口にできない思いがいっぱいになると涙が出ることがありますね。
『げんこつげんたろう』の迫力ある絵は、どんな画材、紙を使って、描かれたのでしょう。工夫されたことはありますか?
伊藤: ネパールの紙にオイルのパステルを使ってかきました。服の感じを出すため、裏にザラザラした布などを当ててぬりました。いわゆるフロッタージュです。水彩も併用しています。
くすのき: ネパールで作られた紙ですか? 貴重なものなのでしょうね。そんなにいろんな技法を使って描かれていたとは。そう教えてもらってから原画を拝見すると、より絵の力が感じられていいですね。
この本の中で、伊藤さん、おすすめの場面、お気に入りの絵があったら教えてください。
伊藤: p24-25のお父さんといじわるをした子の絵がよく描けたかなと思います。

伊藤: おしまいの方のページで犬を散歩させているおじさんは自画像です。毎日、犬を連れて散歩します。ただし、ぼくは一匹のみですが。近所の方、散歩中のぼくを発見してください。

くすのき: 絵本の中に自画像をしのびこませるなんて、いいなあ。今度、「とおりすがりのおっさん」でいいので、ぼくも描いてもらえませんか?
小さかったころ、おかあさんとの思い出やエピソードがあったら教えてください。
伊藤: いっしょに自転車に乗って、魚を売りにいったこと。
母が前かけのポケットから、ばらばらっと取り出した百円札を思い出します。
くすのき: 伊藤さんのお家は、魚屋さんをされていたのですね。小さい頃、お店の魚をずっとスケッチされていたとうかがったことがあります。百円札なんて、今の人はご存じないでしょうね。
■ 絵本制作のアイデアやチャレンジしたいこと
くすのき: 絵本のアイデアが生まれるのは、どんなところからですか? いつ、どんなときでしょう?
伊藤: 5歳までの思い出からですね。 アイデアをメモするのは、朝早くです。
くすのき: 伊藤さんは朝型なんですね。 ぼくも朝早くアイデアをメモすることがあります。もうすぐ起きる、という時のアイデアは、起きてからメモしようと思っていても、起きたら忘れていたということがよくあります。おかげで名作をたくさん逃しました。
これから主人公に描いてみたいもの(人)はありますか? その理由も教えてください。
伊藤: さかな屋のお母ちゃん。 魚の行商について歩くのはとても楽しかったので。
くすのき: なるほど。ぜひ、描いてください。そうして「とおりすがりのおっさん」には、ぜひ、ぼくを!
今後、挑戦したいことはありますか? お仕事でも、それ以外でも。
伊藤: あるのですが、秘密です。
くすのき: 楽しみですね。ぼくは木工での物作りを始めようと思っています。
伊藤さん、お話ありがとうございました!
───最後に伊藤秀男さんのひみつを手書きコメントで大公開!

伊藤秀男さん おすすめの本


伊藤秀男(いとうひでお)
1950年愛知県生まれ。画家、絵本作家。『海の夏』((ほるぷ出版)で第41回小学館絵画賞、『けんかのきもち』(柴田愛子 文 ポプラ社)で第七回日本絵本大賞、『うしお』(ビリケン出版)で第2回JBBY賞、IBBY(国際児童図書評議会)オナーリストなどの受賞作の他、『虔十公園林』(宮沢賢治文 ミキハウス)『タケノコごはん』(大島渚 文 ポプラ社)など多数。
http://www.itohideo.com





くすのきしげのり
1961年徳島県生まれ。鳴門市在住。小学校教諭、鳴門市立図書館副館長などを経て、現在は、児童文学を中心とする創作活動と講演活動を続けている。絵本『おこだでませんように』(小学館)が、2009年に全国青少年読書感想文コンクール課題図書に、2011年にはIBBY(国際児童図書評議会)障害児図書資料センターが発行する推薦本リストに選出される。同作品で第2回JBBY賞バリアフリー部門受賞。また、『ふくびき』(小学館)、『ともだちやもんな,ぼくら』(えほんの杜)と共に第3回ようちえん絵本大賞を受賞する。その他の絵本に『もぐらのサンディ』シリーズ@〜C(岩崎書店)、『あたたかい木』(佼成出版社)、『えんまのはいしゃ』(偕成社)、『みずいろのマフラー』(童心社)、『ええところ』(学研)、『メロディ』(ヤマハミュージックメディア)など多くの作品がある。


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