東京の街を一周する緑色の電車、山手線。品川駅を出発した山手線と、途中駅でであうたくさんの電車を描いた、1978年刊行作品の復刊です。
今はなき緑一色の山手線が、
品川駅からぐるっと1周、外回りする様子を描いた本です。
あくまで主役は山手線。
登場するのは、途中山手線と接続する電車のみ。
余計な感情も書き手の押しつけも一切なし。
ただ作者の鉄道愛だけがふつふつと伝わってきます。
1978年に描かれたため、
周りの風景は40年ほど前の東京の街並み。
そして登場する電車や新幹線は、
今は走っていない形式の車両ばかり。
ちょっと懐かしい雰囲気に、大人たちは郷愁をそそられますが、
息子は、東京駅や上野駅などで、
現在との共通点を探して楽しんでいました。
山本忠敬さんの乗り物絵本は、親子とも大好きですが、
この本にだけはずっと出会えずにいました。
後書きを読むと、
出版された当時、キャプションや挿絵のミスを指摘する声が多々あり、
お蔵入りになってしまっていたのだそう。
このたび山本忠敬さんの生誕100年を記念して
特別復刊されたそうです。
こんなに素晴らしい本を、
鉄道オタクのつまらぬ指摘などでお蔵入りにしてしまうなんて、
なんてもったいないことでしょう。
鉄道が大好きだった息子は現在6歳。
現在は鉄道を卒業し、飛行機やロケットに興味を持ち始めました。
息子が1歳〜4歳のころこの本があれば、どんなに喜んだかしれません。
本当に残念なことです。
現在、電車好きのお子さんをお持ちのお母さん方、
ぜひぜひ手に取ってご覧ください。
本当の電車好きならば、
かわいらしいポップな電車絵本より、断然こちら。
夢中になること間違いなしです。
今はただ、多くの電車好きの親子がこの本を楽しむことで、
私たち親子の無念を晴らしてもらえればと、ただ願うのみ。 (Tamiさん 40代・ママ 男の子6歳)
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