2020年に開催されるはずだった、東京五輪。
そのパラリンピックマラソンコースとして設定されたコースで、本家五輪よりひと足先に、おどろくべきレースが開催されるのです!
それがトーキョードリームマラソン!
あたらしく生まれ変わった国立競技場をスタートし、日本橋、浅草雷門、皇居外苑などを通る42.195km。
そこを走るのは、おとぎ話の主人公!?
日本からは桃太郎、金太郎、浦島太郎。
イタリアのピノキオ、イギリスのピーター・パン、中国の孫悟空などなど。
個性ゆたかな面々が、リアルトーキョーを走り抜ける!
ドローンで撮影したような、上空から見た東京の街並みがみどころ!
こまかく描きこまれた街のようすは、展望台や地図で見る東京とはまたちがう、新鮮な姿として目にうつります。
そこを、まめつぶのようにちんまりとしたキャラクターたちが、けんめいに走るのです!
沿道で応援に参加するのも、やっぱりふつうの人だけじゃなくて――?
ウサギとカメとそれからタヌキ。
ヘンゼル、グレーテル、七福神。
そして百鬼夜行に、シンデレラ!
おや、浅草寺にいるこの人は――もしかして、寅さん?
ページのすみずみまで遊び心がいっぱいで、絵探し絵本のように楽しむこともできます。
選手達はなんだかんだとすぐコースを脱線し、しかも酒呑童子や牛魔王といった悪役の妨害もあって、レースはドタバタの大波乱!
ちいさなキャラクターがわいわいとさわいでいるようすと、空やビル群それ自体の静けさとの奇妙なギャップが、なんともおかしい作品です。
さて、いくたの困難をのりこえ、一位でゴールするのは誰なのか!?
2021年に延期された東京五輪にむけて、東京の街をあらたな視点からながめてみてください。
(堀井拓馬 小説家)
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