森でたきぎを拾っていたおじいさんが、川でおぼれている王さまを助けました。王さまはおじいさんをお城に連れていき、お礼に大きな金塊をくれました。金塊を抱えお城を出たおじいさんが歩いていくと、馬飼いに会い、金塊を馬と交換します。次に会ったのは牛飼いで、馬を牛と交換。さらに、牛を羊にと次々交換し、ついには針と交換。さて、家に着いた時に持っていたものは……。
おじいさんが無事であればそれだけで幸せだなんて、なんと心の広い無欲なおばあさんでしょう。
一見このラストに感動してしまいそうになりましたが、よく考えると不思議な話です。
おじいさんが王様からいただいた金塊が、いろいろな物と交換されて、最後には何もなくなってしまうのです。
これは価値観のお話です。
王様から受け取った金塊は重すぎて、持ち帰るのには大変でした。
だから、おじいさんは馬と交換することで楽になろうと思ったのです。
そこから先がよくわかりません。
馬と牛を交換したのは何故でしょう。
牛と羊を交換したのは何故でしょう。
言われるままに交換するおじいさんには、何の判断力も働いていません。
豚と縫い針を交換するにいたっては、この飛躍に頭がついていかなかったことの証明です。
物と物を交換するには、理由があります。
判断が必要です。
それがすっぽりと抜けてしまったこの物語、認知機能の低下のような気がして、素直に受け容れ難いのですが、いかがでしょう。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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