「あれはなんじゃ」
「わしはあれにのりたい」
そう家来に話しているのは、ちょんまげを結った愛嬌たっぷりのおとのさま。住んでいる場所はお城ですが、住んでいる時代は、なんと私たちと同じ現代。おとのさまにとっては見るもの見るものが新鮮で、町の人たちのことが気になって仕方がない様子。そんなおとのさまが今回気になったのは、「一度にたくさんの人をのせることのできる、のりもの」。早速、家来のさんだゆうを連れてそののりものに乗るために駅へ向かいます。駅はちょうど出勤時間の混雑時。おとのさま、大丈夫かな?と心配していたら、やっぱり…。切符を入れずに自動改札機を通ろうとしてつまってしまったり、切符を買ってひと安心、と思ったら、今度は入れる場所を間違えたり…。これは先が思いやられますね。それからそれから、おとのさま、はじめて乗るのりもの内のマナーはちゃんと守れるのでしょうか?おとのさまにあれこれ注意しているうちに、頼みの家来のさんだゆうもついにグーグー寝てしまって、ああ、おとのさま…好き放題?!
好奇心旺盛で、失敗しながらもいろんなことに挑戦するおとのさまの楽しいお話は、前作『おとのさまのじてんしゃ』に続く第2弾。おとのさまの無邪気さと自由奔放ぶりはさらにヒートアップ!家来のさんだゆうとの会話の面白さに加えて、「ならぶ」を「おならぶー」だと思ったり、「しゃしょう」を「しゃちょう」と聞き間違えたり、さらにたくさん笑わせてくれちゃうんです。でも新しいことに出会うときのワクワク感とおとのさまの楽しそうな姿は元気いっぱいの子どものようで、読んでいるとなんだか元気になってしまうから不思議です。
中川ひろたかさんのユーモアたっぷりのお話に、さらに楽しさを倍増させる田中六大さんによる挿し絵がたっぷり。すべての漢字にルビがついているので絵本から読み物へ移行する時期の子ども達におすすめです。読み始めたら最後まですいすい読めること間違いなし!ちょっと本が苦手かも…という子ども達にもぜひおすすめしたい作品です。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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