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2009年01月23日

「マイページ」をリニューアルしました!

こんにちは、絵本ナビ事務局長のカナガキです。
絵本ナビの「マイページ」をリニューアルしました!
ご要望の多かった点を中心に、機能の追加、改善を行っています。
こんなことができるようになりました。

1.マイ絵本棚
 ・棚を複数作成できます。
 ・棚から直接買い物かごに入れられます。
 ・レビュー済みの絵本をまとめて追加できます。
 ・絵本ナビShopや絵本クラブで購入した絵本をまとめて追加できます。

2.お気に入り出版社
 ・出版社を「お気に入り」登録できます。
 ・Shopで購入した絵本、クラブで配本された絵本が、「お気に入り出版社」に追加されます。
 ・「お気に入り出版社」の絵本の新着作品、新着レビューが見られます。
 ・「お気に入り出版社」から届くアンケートに回答できます。
 ・「お気に入り出版社」にメッセージを送れます。

3.お気に入り作家
 ・「お気に入り作家」の絵本の新着作品、新着レビューが見られます。

4.お気に入りメンバー
 ・「お気に入りメンバー」の新着レビューが見られます。

5.レビューリクエスト
 ・レビューリクエストした絵本の新着レビューが見られます。

6.絵本ナビとのメッセージやりとり
 ・絵本ナビからのメッセージ(お知らせ)が見られます。
 ・絵本ナビにメッセージ(ご意見ご要望)が送れます。

ぜひ新しくなったマイページをご活用ください!
  マイページはこちら (メンバー専用)

マイページは絵本ナビメンバーの方のみご利用いただけます。
またメンバー登録されてない方は、是非この機会にメンバー登録してみてください!
  メンバー登録はこちら

2009年01月21日

絵本『したのどうぶつえん』作者のあきびんごさんが
遊びにいらして下さいました!

あきびんごさんがあそびにきてくださった記事は移行いたしました。

『したのどうぶつえん』あきびんごさんが絵本ナビオフィスに遊びに来てくださいました!

2009年01月15日

絵本『うんこダスマンたいそう CDつき』
作者の村上八千世さんにお話を伺いました。

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うんこダスマンたいそう CDつき 
作・村上八千世 絵・せべまさゆき 作曲・岡本拡子

絵本ナビでも常に評価ランキングの上位に入っている人気の絵本
うんぴ・うんにょ・うんち・うんご
その「うんこのえほん」シリーズ最新刊の発売を記念して、作者の村上八千世さんにお話を伺いました。


◆「うんこのえほん」シリーズのテーマ。

村上さんはもともと学校・駅・オフィスなどのトイレや公共トイレなどの排泄環境の調査・提案をされている方。トイレに関してはスペシャリストなのですね。
また、1998年より日本トイレ協会主催の「学校トイレ出前教室」の講師として数多くの小学校に出向き、「うんこに対する偏見をなくし、子ども達が楽しくトイレに行けるように。」と活動もされてきたそうです。

村上さんが最大のテーマとして掲げられているのが、
「うんこをするという事は恥ずかしいことではない」という事。

そんなテーマを基につくられたのがこの「うんこのえほん」シリーズなのです。

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ですから「トイレトレーニング」などのしつけを扱った絵本とは一線を画した内容となっているのもうなずけるのです。既に全国の多くの小学校では授業の一環としてこの絵本の内容を取り入れているという話も聞きます。
今「食育」に熱心な先生方が増えているそうですが、毎日の生活と密接につながりのある「排せつ」の方から食事について考えさせてみると
「こんなうんこが出たのは、こんな食事をしたから・・・」
と実感のこもった話が出来るために合わせて取り入れられている、というのも興味深いお話ですよね。

◆絵本「うんこダスマンたいそう CDつき」が誕生するまで。

「うんこダスマンたいそう」というのは、2005年に小学校へ入学する新一年生に向けた雑誌の中で、新しい生活が始まる子ども達に、楽しくわかりやすく生活リズムを整える方法は・・・と考えられてつくられた企画だったとのこと。

そこに曲をつけて欲しいと、村上さんが短期大学の教授をなさっている岡本拡子先生に依頼されたそうです。岡本先生は、保育者養成に携わりながら子どもの歌の作曲などもなさっている方。
岡本先生が快諾なさって「うんこダスマンたいそう」が完成しました。

それからも、実際に岡本先生の授業の中や、生徒さん達が毎年行う教育実習先の
保育園で「うんこダスマンたいそう」は実践されていきました。
子ども達への受けがとても良く盛り上がる事から毎年のように行われ、また実習生の方達も
ダスマンのマスクをつくって踊ってみたりと積極的に工夫をしながら広まっていったそうなのです。
そんな現場から「CDをつくって欲しい!」という声が出てくるのも当然の流れのようですね。

そこで、村上さんからほるぷ出版さんへと企画を提案されたという事だそうです。
既に大人気の「うんこのえほん」シリーズですが、
実はどの絵本も巻末にとっても面白い付録が付いている事はご存知でしたか?
絵本が出来上がった最後に企画されて付く事が多かったそうなのですが、
この最新刊「うんこダスマンたいそう CDつき」は、「付録」の企画から先につくられた絵本とも言えます。それもまた面白いですね。


◆本当に嬉しそうに踊る子ども達!

実際に教室で踊っている子ども達の様子の写真を見せて頂きました。
(大阪のおおわだ保育園さんでダスマンたいそう実践中!)
一生懸命踊っている子ども達の目は、本当にキラキラしていていますね。

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♪ダス ダス ダスダスマン~

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♪おしりのあなーを ひきしめろ~ きゅっ!

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♪そーれへんしん!ダスマーン!

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♪「うんちいってきまーす」


体操が終わると必ず何名かは「トイレに行きたーい!」と駆け込んでいくそうです。
それが、とっても自慢気。「あ、うんこに行きたくなった。ラッキー♪」というノリ。
うんこをする事が嬉しい、と感じる瞬間がそこにあります。

小学生や大人の方ともこの体操をする事があるそうですが、
大人になるにつれ、いきなりこの体操を踊りだすのにはちょっと勇気が必要となってきます(笑)。
体操の前に、このたいそうの目的や説明をきちんと話すのだそうです。
(便秘にお悩みの方にはとっても効果がありそうですね。)

ところが小さな子ども達に説明なんかしているとすぐに飽きてしまいます。
いきなり音楽をかけて踊りだす!これが一番喜ぶそうですよ。
「なんだ、なんだ!」と言いながら、間奏の足踏みする振り付けを、それはそれは嬉しそうに踊るそうです。
うんこに対する先入観が何もない、こんな時期の多くの子ども達が踊ってくれれば、
うんこにまつわるイメージも大きく変わっていくのでは・・・なんて大きな期待を抱いてしまいますね。

それにしてもこの笑顔!
2009年絵本ナビは、うんこにまつわる絵本を積極的にオススメしていく事を決めましたよ。


2009年01月06日

川端誠さん落語絵本シリーズ最新刊発売記念!
「落語絵本 制作のひみつ」ブログ第三回

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新年あけましておめでとうございます。
落語絵本の最新作ひとめあがりは、12月24日に刊行となりましたが、このブログはまだ
「あがり」にならず、2年越しでとなりますが、よろしくおつきあいのほどお願い申し上げます。

● 主人公のおとぼけぶりが、いい味なのです

『ひとめあがり』は縁起のいい、お正月の噺です。
江戸っ子職人の八つぁんは、長屋のひとり住まい。せっかくの正月休みなのにひま〜なもんで、まあ、ご隠居のところへでもいってみるか・・・と、噺がはじまります。
いつもは「がらっ八」やら「八公」なんて呼ばれてるのが、「八五郎さま」とほめられる!? ってんで、柄にもないことをしたばかりに、なんともトンチンカンなことに! 

体格も威勢もいい八つぁんの、ちょっとずれたおとぼけ感が、大笑いさせてくれます。
川端さん、八つぁんのせりふを語りながら、しぐさまで、まねしてくれました!

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▲ 頭に羽根があたろうと気づかず、お悩み中・・・のポーズ


● 原画完成まで、あともうひと息・・・

上の写真でご覧いただけるとおり、まだ描画の途上です。
前回お伝えしたように、はじめは背景色、次に登場人物の顔や着物など同じ色を、その次に一度だけ登場する人物や小道具・・・と、段階的に色を塗っていきます。

右頁の女の子、シリーズ5作目おにのめんのお春です!
これから着物や髪飾り、羽子板に色が入り、お正月らしくなります。
左頁も、女性の帯や帯締、正月飾りが着色され、それは華やかになりますよ。

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▲ 左)資料でもある雑誌の間に、絵の具皿がはさまれています
▲右)全画面塗り終えた色から、晴れてお役ごめんで水の中へ


● 一文字といえども、納得のいくまで

ご隠居さんを皮きりに、大家さん、お寺の和尚さん、大工の棟梁、小唄のお師匠さんと、八つぁん年始まわりをして歩きます。それぞれのお正月を祝う思いが、装いや家のしつらえ、町内のにぎわいのなかに表れています。
それが、今回の見せどころといえます。と同時に、いちばん描くのがむずかしい、苦心どころでもあります。

とくに今作は、画面に描かれた「掛け軸」が要となっています。
次の写真の見事な筆耕に、ご注目!

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▲ 「う」の字に、呻吟あれこれ・・・

気に入った文字を切り貼りし、継ぎはぎで仕上がった書もあります。コピーをしに、日に何度も某コンビニエンスストアに通ったそうです。
そんな苦心の跡も感じさせず、風流な掛け軸となって、絵本中に飾られていますよ。
アンケートにも「川端さんの絵ももちろん、文字が好きです」とありました。
ほんとに味のある字ですよねえ。

● 20年前の中国滞在ノートが役立ちました

掛け軸のひとつに、次の歌が描かれています。
「須弥山も 五岳も富士も
一同に どっとと笑う 春はきにけり」(大田蜀山人)

須弥山は孫悟空の話にも出てくる聖なる山、中国の五大名山、そして日本の富士山も一緒に笑う新春がやってきた・・・という、なんともめでたい歌です。

じつは川端さん、20年前に中国に1ヶ月半滞在したことがあり、五岳のひとつの華山にも訪れたそうです。そのときの取材ノート(大判のスケッチブックに、絵入りの詳細な日記!)が、資料にもなりました。

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▲右頁に華山(公園のようになっているそうです)のチケット

訪れた先、会った人、食事……と、久々に開いた取材ノートをめくりながら、いろんな思い出話もお聞きしました。当時、川端さんは絵の学校の先生で、中国にある姉妹校への研修だったそうです。今回、そのときのおみやげがしまったままだったことも思い出し、20年を経て、晴れて額装にしたとのこと。

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▲意匠も見事で美しい、布製で手刺繍の靴型シート

● 川端さんの「絵本芸」ここにあり!

映画のように、画面に映りこむ背景や小道具にこだわり、その時代の雰囲気をかもし出すのが、川端絵本の特徴でもあります。
落語が噺家による話芸なら、それこそが川端さんの「絵本芸」です。

アンケートにも「時代考証とか、たいへんそう」というお声がたくさんありました。ある方は「家の中や町の様子、服装などもたのしんでいます」と書いてくださいましたが、「よくぞ、気づいて見つけてくれました!」と、川端さん、それはうれしそうでした。
「絵をよく見てくれるのは、子どもたち。大人は、つい文字を追ってしまう・・・。絵を見てもらってこその、絵本なんだけどね」とも。

ここだけの話・・・第3作はつてんじんでは、絵本として発表後に、川端さんが描き忘れた顔のほくろを、読者の子どもさんが発見してくれた、ということもありました。2刷からは、ちゃんと描かれています。1刷をおもちの方は、希少本ですよ!


● 原画の完成! 満面の笑みです


子どもの頃に漫画家になりたい、と思ったこともあったという川端さん。人気漫画家は数人のアシスタントの手を借りて原画(いまはデータということも多いでしょう)を仕上げますが、絵本を描くのはとても孤独な仕事です。なかなか先が見えず、それでもひと筆ひと筆を描いていくのに、もうあきるくらい……と、苦笑をされていました。

ちなみに、シリーズ第10作『たがや』は、花火見物の人・人・人・・・、花火の火花ひとつ一つ・・・と描くものの多さに、お話を伺って想像するだけで、気が遠くなってます。

「はじめれば、いつかはおわる」
川端さんの切実な実感のこもった、けだし名言です。

さあ、『ひとめあがり』も、原画完成のとき!

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▲ 満足がいくものができた! 間に合った! 満面の笑み!!

絵本のなかには、刊行するタイミングがものをいう場合もあります。
とくに今回の『ひとめあがり』は新春の噺だけに、お正月に間に合わなければ、なんとも間抜けになってしまう・・・わけです。
(そんなプレッシャーもかけてしまい、川端さん、恐縮至極です)

● ボーナス映像! 表紙のできるまで

次の写真は、右から左へと、できあがっていきます。
できあがりから、順にさかのぼって見ても、おもしろですよ。

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▲ (左)完成した表紙 (中)描画中 (右)原寸ダミー

この時点で、原画は完成したものの、絵本になるには、まだもう一段階。印刷所との共同作業が待っています。その話は、また次回に。


2009/1/7~1/14の期間中「ひとめあがり」をお買い上げの方から抽選で
「名入れサイン本」
が当たります!
(抽選に当たらなかった方にも川端誠特製『ぽち袋シート』のおまけが付きます!)

※詳細はこちらからどうぞ>>>

2009年01月05日

「だるまさん」シリーズが大人気!
かがくいひろしさんにインタビューしました。

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去年(2008年)に出された絵本の中でも大きな話題となり、
赤ちゃん絵本の新定番として大人気となった『だるまさんが』。

絵本ナビでも、その続刊『だるまさんの』が出される時に特集を組み、
作者のかがくいひろしさんに絵本ナビ読者の方へ
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▲こんなに可愛い直筆メッセージを頂き、大きな反響を頂きました。

そして・・・ついに待望の新作「だるまさん」シリーズ第3弾『だるまさんと』の登場です。
その新刊発売を記念して、かがくいひろしさん
お会いして直接お話をお伺いする事ができました!

新作は一体どんな内容?今度はだるまさんがどうなっちゃうの?
そんなはやる気持ちをさておいて(笑)。
絵本ナビでもファン急増中のかがくいひろしさんの作品について、
皆さんのレビューをもとに、代表して質問を色々ぶつけさせて頂きました。

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▲かがくいさんは、想像どおりの気さくで優しい雰囲気の方。

今までの作品について、絵本制作について、
そしてもちろん「だるまさん」シリーズについてもたっぷり語って頂きました。
さぁ、その人気の秘密を探ってみましょう・・・。


ehon17129_blog.jpg主人公がとってもユニーク!

その発想はどこからくるのでしょう?
作品を並べてみると皆さんも感じられるかと思うのですが、         こちら>>>
かかがくいさんの作品に選ばれる主人公って、とってもユニークだと思いませんか?
「おもち」「だるま」「やかん」・・・一体どこからアイデアが湧いてくるのでしょう。

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「普通なもの、すでにあるものというのがあまり好きじゃないんですね。
絵本の主人公になりそうもないもの、身のまわりで光の当たらなそうなものに
脚光を浴びさせたい、意外性があるものでびっくりさせたい、という思いはあります。
ただ、そういうものをわざと選んでいるのではなく、自分の中で面白いと感じたもの、
 絵本になると感じたものを選んでいった結果、こういう主人公が生まれてきたんです。」
と、かがくいさん。

アイデアが浮かぶ時は、「もの」と「動き」がセットになって思いつく事が多いそうです。
例えば『おもちのきもち』だったら「おもちがびろーんと伸びるのって面白いな・・・。」という発想から。かがくいさんにとって、「この主人公面白いな、可愛いな・・・」と思って出来上がっていくキャラクターが、(くまさんやうさぎさんのような)いわゆるポピュラーなものじゃなかった、という事のようです。

「ふしぎなでまえ」の場合。
例えば『ふしぎなでまえ』の場合、じゃがいもとさつまいもが主人公。
個人的には「あれ、何だかとっても地味な主人公?」なんて思ってしまったのですが・・・。
(ところが、お話の展開はとてもダイナミック!なのです。)

「なまけものの野菜の主人公を探していて、おいもがごろごろ=なまけものというのが
思いついたのです。 さといもはちょっとわかりにくいなぁ、と思ってじゃがいもとさつまいもに。僕の中ではとてもポピュラーな主人公だったんだけどなぁ(笑)。」

ehon17473_blog.jpg 『ふしぎなでまえ
失礼しました!
でも、やっぱり出前に目がついているなんていうのも誰も思い浮かばないと思います。
確かに視点は普通の人とは違うようですが、結果的にとても可愛らしくみえてくるのが
とっても興味深い部分ですよね。

季節感は大事にしたい。
もう一つ気になったのが「和風な主人公」が多い・・・という事。

「こちらも特に意識している訳ではなく、興味あるもの、関心をひいたものが
結果的に・・・という事が大前提なのですが。
行事的なものや季節感というものは大事にしたいと思っています。
現在では少し薄れてきているけど、もともと日本は季節感がとっても豊かな国。
行事にも、季節と結びついているものが多いですよね。
そんな日本という風土で育っている子ども達の絵本を描いている・・・という部分が
根底にあるのかもしれないですね。」

 

Ehon_21696_blog2.jpg質感や動きがとても気になる!

人形劇をされていた頃から・・・
皆さんのレビューの中でも多いのが、その動きや質感についての感想。
絵を見ているだけでも笑っちゃうような、おかしな動きが多いのもかがくいさんの作品の特徴ですね。

かがくいさんは、もともと人形劇をずっとされていたというお話を、
以前メールマガジンでもご紹介させて頂きました。              こちら>>>
その頃の経験が今の絵本づくりに大きな影響を与えているそうです。

※そのとってもユニークな人形劇を演じられている、当時の貴重な映像を見せて頂きました!
ウレタン(座布団の中身などに使われる素材)を二つに折って目玉を二つチョンチョン。
素材はそれだけ。それが、音楽に合わせて踊り出すと不思議!可愛い生き物に見えてきます。
他にも、傘の柄やホースなどの身の回りのものを使って演じられます。
ストーリーがある訳ではなく、音楽に合わせてものを動かすだけ。
これは、小さい子やハンディキャップを背負った子達でも楽しめるようにという発想から考えられていったそうです。

「物を注視していると何かに見えてくる、動きや音をのせるだけで違うものに見えてくる、
生命を持っているものに変化する、そういう事を自分自身も面白がって作っていました。
いつもアイデアの原点となっていたのは、『もの』『音』『動き』『見立て』。
絵コンテも、その人形の動きを書き留めていたものが沢山あります。
それを見ていたら・・・あ、これ絵本に近いなぁと思ったんです。」

実際に人形劇の映像を見せて頂いて、「絵本づくりの原点となっている」というのが
すぐに納得できました。本当に、その動きを見ているだけで何だか笑ってしまうのです。

実は初めて描かれた絵本は『はっきよい畑場所』だったそうです!

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野菜たちが相撲を取るお話。シンプルだけど、
「だるまさん」シリーズにも人形劇にも通じるものがあり、
それ以降の作品づくりの原点として読んでも、伝わりやすいかもしれませんね。

豊かな表情が印象的。
困った顔、驚いた顔、恥ずかしそうな顔・・・かがくいさんの作品の登場人物の表情は本当に豊かですよね。
長年教師をされている事もあり、人の顔に興味があって意識的に?と思ったのですが、
お話をお伺いするうちに、むしろ動きやしぐさの一環として表情も描かれているのだなぁ、と
わかってきました。勿論、子ども達の笑顔を沢山見られてきているでしょうから、
そこは無意識でも表現にあらわれているのでしょうね。

思わず手に取りたくなるような題名の付け方も気になるところですが、
こちらも、アイデア段階や制作途中に自然と浮かんでくる事が多いそうですよ。


ehon17129_blog.jpgだるまさんシリーズ 誕生のひみつ!

さぁ、お待たせしました。「だるまさん」シリーズのお話をお伺いしていきましょう。

ずっとやってみたかったこと。
「だるまさん」シリーズは、他の作品と少し違って、特にストーリーがある訳でなく、
その動きや表情、擬音語だけで進んでいくとってもシンプルな絵本です。

ehon17129_blog3.jpg  Ehon_21696_3.jpg

「音と動きがくっついていて、小さな子やハンディキャップを背負った子など
ストーリーが理解しにくい子達にも伝わるような絵本、というのを
ずっとつくりたいと思っていたんです。」

「子ども達は、擬音語や擬態語というのが大好き。
音と言葉と動きがくっついているから、とっても伝わりやすいのでしょうね。
例えば僕が『どてっ。』と言いながら転ぶだけでも、すごく笑ってくれるんですね。
そんな所から発想が湧いてきたのかもしれません。」


日常生活でも、常に絵本のアイデアを考えているというかがくいさん。
新聞やテレビを観ている時、トイレに入っている時、夜中に目を覚ました時、
ふっとイメージが絵で浮かんでくるのをノートに書き留めているのだそうです。
そうしてノートの端々に沢山のスケッチがたまっていくのだそうで、
『だるまさんが』も出版される5年も前からノートに存在していたそうですよ!


「絵本作家さんでも、文章から書かれる方もいるかと思いますが、
僕はそれは出来ないんです。アイデアの段階で、言葉を書き留める事もありますが、
それも全部イメージは絵や動きで浮かんでいて、それを表わす面白い言葉として
メモしているんですね。」

そして、そのアイデアを絵本の形にした、記念すべき『だるまさんが』のラフがこちら!

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▲原案とほとんど変わっていないのですね。

「このアイデアをブロンズ新社さんに見せたら、面白いから出版しましょうと
すぐに決めてくれて。凄い事ですよね。
僕のやりたい事をすぐに理解してくれて、実現してくれたので本当に有難かったです。」

そこから、絵の順序を少し変更したり、表情を編集の方とやりとりしながら加えていって、
完成したのが『だるまさんが』。出版されてから、あっという間に大人気の絵本となっていったのです。

かがくいさんは絵本制作の中で、
「アイデアが浮かんでから、それを頭の中で絵本の形にする時が一番楽しい瞬間です。
そこでラフに起こして実際に形としてあがった時というのは本当に嬉しいですね!」

と熱く語られていました。

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▲その瞬間の状態というのがこちらの『だるまさんが』のラフ。
その喜びや楽しさ、勢いというものがこちらにも伝わってくるようです。

予想を超えた反響
続編の『だるまさんの』も同じように、沢山のアイデアスケッチの中からスムーズに決まっていったそうです。
同じように見えて、実は全然違うアプローチ方法なのが、また新鮮で面白いのです。

こうして出来上がった『だるまさんが』『だるまさんの』。
皆さんのレビューなどを読んでいて、小さな子や赤ちゃんにもユーモアというのはちゃんと伝わるんだな、と改めて発見させられました。
笑うだけでなく「何だこれ!?」と、小さな子でも絵につっこんだり出来るのも楽しいですよね。

でも興味深かったのが、小さな子だけでなく、小学生や大人までも大爆笑の渦に巻き込んで、世代を超えた人気の絵本となっている・・・という事。小学校のクラスでの読み聞かせにも使われたりして。

「それは僕も驚きました。
大人が面白いと思う絵本を、小さな子が全部面白いと思うのは(ストーリーなどもあって)難しい部分もあると思います。(誤解を恐れずに言えば)子どもというのはまだ大人ではないからだと思うのです。
でも、子どもが面白いと思うものを一緒に楽しめるのは、大人はみんな子どもだったからかな・・・と思っています。」

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そして新作の・・・『だるまさんと』。
前作二作と違って、新作は少し試行錯誤が続いたそうです。
アイデアはいくらでも浮かんでくるのだそうですが(新しい事を考えるのはとても好きなのだそうです)、「意外性」と言う部分にもこだわって、なかなかすんなりOKとは行かなかったようで。
編集の方からのヒントやアドバイスも入り、それに対してまた沢山のラフスケッチを作成します。

「一つ提案をすると、思いもよらない形で本当にたくさんのスケッチが返ってくるんです。」

編集の方も、かがくいさんとのお仕事にとってもやりがいを感じられるとおっしゃっていました。
そんなやりとりの後に出来上がった『だるまさんと』は、かがくいさんもとてもお気に入りだそうですよ。

このシリーズは、次はどんな展開でくるのか想像するのも楽しみの一つですよね。
その期待を裏切っていきたいとかがくいさん。
「この展開は読めないでしょう・・・。」と皆さんの驚く顔を想像しながら、楽しんでつくられたそうです。
さて、どんな驚きが待っているのでしょう!!

Ehon_24177_blog.gif 「だるまさんと」みどころはこちら>>>

          
Ehon_24177_blog2.gif笑顔のあふれる絵本を

絵本のちから。
皆さんのレビューに、子ども達の反応や様子が書かれていると本当に嬉しいとおっしゃるかがくいさん。子ども達に届いているんだな、と実感できるそうです。
かがくいさん御自身もお子様にたくさん絵本を読まれてきたそうです。

「例えば子どもに絵本を読んであげる時、ちょっと読み間違えただけで気づくんですよね、『ちがうよ!』と。これはきっと、何回も何回も読んでもらっているうちに覚えてしまっていて、『読み聞かせて』もらいながらも『自分で読んでいる』という気持ちになっているんだろうね。それで、訂正してもらったり、一緒に読んでみたり。
テレビやビデオなんかだと、間違えたりする事もないし、こういうやりとりは起きないですよね。こんな風に、人と人の関わりが生まれるというのが、絵本の持っている大切な部分で大きなちからだと思うのです。」

この「だるまさん」シリーズは、読んでいる大人の方も笑っちゃう絵本。
親子で楽しそうに過ごしているその時間が浮かんでくるようです。

自分も驚いていたい。
それでは、今後どのような絵本をつくっていきたいと考えられているのでしょう?

「とにかく色々なものをつくりたいと思っています。自分に規制はかけたくないです。 
その時その時に受けた刺激をどんどん吸収して、形にこだわらず浮かんだアイデアをどんどん実現していきたいですね。」

常に新しい事を考えるのが好きだとおっしゃるかがくいさん。それはしかけ絵本かもしれないし・・・

「描いていて、自分も驚いていたいし、楽しんでいたい。常に新鮮な気持ちでいたいです。もちろん、音や動き見立てなど、自分の興味を引くものはずっと大事にしていきたいとも思っています。」
 
最後に絵本ナビ読者の方へ・・・。
先程も記した通り、皆さんのレビューを本当に喜んで読んで下さっているというかがくいさん。
素敵なメッセージを頂きました!

「今の大変な時代に悲しい本というのは、ちょっとつらいなぁと思うのです。
僕はふんばって笑顔になれる、笑える絵本というのをつくっていきたいと思っています。
絵本を通して、一時でも親子で楽しく笑顔になってくれればと思うのです。
僕も実は悲観的な考えになってしまう事も多いのですが、
絵本を描く事で笑顔になっています。
皆さんもどうか元気な笑顔でいてください!」

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▲お忙しい中、ありがとうございました。記念にぱちり。

◇かがくいさんのお人柄が伝わるおまけエピソードを一つ。
「僕の誕生日は福山雅治と一緒だと言う事も伝えてくださいね!」
お約束は果たしましたよ!

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