ポコタのきのみ
- 作:
- しもかわら ゆみ
- 出版社:
- 世界文化社
絵本紹介
2023.11.20
秋のどんなところが好き?
四季の中で秋が一番好きという人たちに質問してみたら、「紅葉」「果物」「新米」「秋空」「ハロウィン」「秋色の洋服」……実にいろいろな答えが返ってきました。秋って、楽しみや味わいがいっぱいあるんだなぁと感じます。
ゆっくりと深まっていくような時間の流れも、私たちの心を動かすのかもしれませんね。木々の葉の色づきと歩幅を合わせながら、まるでグラデーションのような季節の移ろい。今の時期にぴったりの秋の絵本をご紹介します。木の実や落ち葉、風、秋色に染まる自然界に包まれるような絵本、身も心もじんわり温めてくれるあったかいお風呂の絵本。秋の美しさを絵で体感するような作品もいろいろと……。
美しく染まっていく秋を日々の暮らしや絵本で味わいながら、ゆっくりと冬を迎える準備もはじめましょう。
みどころ
秋の森はおいしそうなごちそうがいっぱい。甘いヤマブドウやガマズミの実、そしてたくさんの木が木の実をどっさり落としてくれます。
食いしんぼうのたぬきのポコタは、りすやねずみが冬に備えて土の中に木の実を埋めているのを知り、「よし、ぼくもやってみよう」と真似してみます。しかし上手くいきません。りすたちには記憶力という特別な能力があり、ポコタにはそれがない。「ぼく、だめだなあ」としょんぼりしてしまうのです。
でも、ねずみとりすに「ちっとも ダメじゃないよ。だって ポコタは ふゆになるまえに うんと たくさん くだものや きのみを たべることができるじゃない!」と言われ、ポコタは自分の個性が才能なのだと気がつきます。
繊細なタッチで、細かい毛の先までリアルに動物たちを描くしもかわらゆみさん。これまでも『ねえねえ あのね』(講談社)や『おんなじ だあれ?』(あかね書房)など、優しさを内包した愛らしい動物たちの姿を数多く描いてきました。今回も、表情豊かでとびきりキュートな動物たちに目を奪われます。個を認め合うことの大切さを知ることができる、心あたたまる作品。子どもも大人も、秋の自然の美しさとともにそのやさしさをたっぷりと感じてください。
この書籍を作った人
1975年北海道生まれ。絵本作家。繊細さと大胆さを併せ持つ作風が編集者の注目を集めるようになり、2012年『しろねこくろねこ』(学研)『やまねこのおはなし』(作・どいかや/イーストプレス)でデビュー。『ぼくだよぼくだよ』(理論社)など。2013年ブラティスラヴァ世界絵本原画展(BIB)にて『しろねこくろねこ』が金のりんご賞を受賞する。
この書籍を作った人
画家・絵本作家。1986年生まれ。絵本に『みち』(リトルモア)、『みずのこどもたち』(佼成出版社)、『めざめる』(あかね書房)、『ぼくがふえをふいたら』(岩波書店、第26回日本絵本賞)などがある。
この書籍を作った人
青山学院大学文学部英米文学科卒業。やまねこ翻訳クラブ会員。絵本の翻訳に『おばけやしきなんてこわくない』(国土社)、『神々と英雄』『ころころコアラちゃん』(大日本絵画)、『クララ』『介助犬レスキューとジェシカ』『カールはなにをしているの?』(BL出版)など多数。東京都在住。
この書籍を作った人
多田 ヒロシ(ただ ひろし)1937年東京に生まれる。武蔵野美術大学デザイン科卒業。漫画家らしいユーモアのある絵本が多く、ロングセラーの「ぶうとぴょん」の絵本『おんなじ おんなじ』や『ねずみさんのながいパン』でとくに小さな子どもたちの人気を得ている。ことば遊びも大好き。
みどころ
アルバートはペットが欲しくてたまりません。けれど、ママもパパもだめだと言うばかり。でもアルバートは諦めません。朝から晩までペットがほしいと言い続けました。するとある日、パパがプレゼントをくれます。包みを開けてみると、出てきたのは、なんとじゃがいも!「ペットのおじゃがくんだ」とパパは言いますが……。
じゃがいもならではの伸びやかなパワーを感じられる、ユーモアあふれる作品。原作はイギリスの絵本で、作者は多くの児童文学作品を手がけるジョシュ・レイシーさん。そして日本で育ち、現在はロンドンを拠点に活躍するモモコ・アベさんがイラストを担当されています。
この作品、ただ単に突拍子もないストーリーというわけではありません。実は「生き物と暮らすこと」「身近な野菜を知ること」など、いろんな切り口から楽しめるおはなしなのです。訳者であるみやさかひろみさんは、この絵本の魅力を「あふれる生命力と多様性」と表現しておられます。改めてアルバートの一家に目を向けると、お父さんは茶色の肌、お母さんは白い肌、アルバートはその中間色の肌をしていることがわかります。そして、一個だったじゃがいもがたくさんになり、ひとりの男の子から様々な背景を持つ人たちの手に渡っていくのです。
ペットにじゃがいも。これは意外にアリかもしれませんよ!
この書籍を作った人
弘前大学人文学部卒業。旅行会社勤務、雑誌のライターなどを経て翻訳者に。訳書に「ランプの精リトル・ジーニー」シリーズ(ポプラ社)、「ジュディ・モードとなかまたち」シリーズ(小峰書店)、『ノエル先生としあわせのクーポン』(講談社)、『キリエル』(あかね書房)、『ルルとブロントサウルス』(小学館)など、100冊以上を数える。宮城県出身、東京都在住。
この書籍を作った人
1948年静岡県生まれ。絵本や挿画のほか、イラストレーターとしてポスター・壁画・舞台美術などでも活躍。絵本に『あつさのせい?』(福音館書店)や『うみのカラオケ』(クレヨンハウス)ほか、多数。『エンソくん きしゃにのる』(福音館書店)で小学館絵画賞、『やまのディスコ』(架空社)で絵本にっぽん賞、『おばけドライブ』(ビリケン出版)で講談社出版文化賞を受賞。画集やエッセイ『てのひらのほくろ村』(架空社)も。
出版社からの内容紹介
「いきものたちはどこへいくのか、バッグがからっぽだとわかったとき、いきるおどろきとよろこびのはながひらいた」
――谷川俊太郎(詩人)
「いろんな報道で「数」としてしか扱われなかった移民・難民の人々が色あざやかな動物に姿を借りて、圧倒的な絶望(黒)のなか、
ささやかな希望を追って歩きだした。こんなにファンタスティックな世界に、こんなに切ないリアリティが感じさせる絵と絵と絵。
ワニやゾウやフラミンゴやウサギの間に身を置くと、世界が裏返ってみえるかもしれない。」
――金原瑞人(翻訳家)
「ページの奥から、まっすぐ語りかけてくる声が聞こえる。言葉がないのに。言葉がないからこそ。」
――岸本佐知子(翻訳家)
仏ソルシエール賞 2021年フィクション部門受賞
カタルーニャ本屋大賞 2021年絵本部門受賞
国際推薦児童図書目録「ホワイト・レイブンズ 2020」選定
全米児童図書評議会「OUTSTANDING INTERNATIONAL BOOKS LIST 2021」選定
木の葉がなくなってしまった黒い夜の森を捨て、旅に出る動物たち。さまざまな脅威に直面しながら国境を越える彼らの旅には、常に死の影がつきまとう――。
世界的な問題となっている「移民」「難民」の現実を、擬人化した動物たちの姿に寄せてイラストのみで描き出したサイレント絵本。
文:竹原雅子 編集:木村春子