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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  あそびにきてくれました  >  「のりものしかけえほん」シリーズいしかわこうじさんが遊びに来てくださいました!

「たまごから可愛いあかちゃんが生まれるよ!」殻をやぶって生まれてくるあかちゃんの様子を、上右下の三方にひらく斬新なしかけで表現した『たまごのえほん』で、小さな子どもから大人まで驚かせてくれた絵本作家いしかわこうじさん。続刊の『はなのさくえほん』『みんな とぶよ!』もそれぞれ違うしかけで子どもたちの好奇心を刺激してくれます。そんないしかわこうじさんの最新シリーズ「のりものしかけえほん」の2冊を持って、絵本ナビオフィスに遊びに来てくださいました!

こちらが完成したばかりの『りくの のりものえほん』と『そらの のりものえほん』。
陸と空にわかれているのがユニークですよね。

並べてみると、赤と青の対比が鮮やかで目をひきます。 『たまごのえほん』より少し小さめのサイズですが、表紙には少し厚みがあって存在感があります。カバーもかかって素敵な仕上がりです。

「のりものを題材にしたもので“こういう絵本ってなかったな”っていうものをずっと作りたいと思っていたんです。」といしかわこうじさん。

「子どもと一緒に遊んでいると、自分が子どもの時に遊んでいた感覚を思い出しますよね。
例えばミニカーを動かしている時の子どもって、自分がそのミニカーに乗っている感覚と走っている姿を見ている感覚を両方いっぺんに感じながら遊んでいるんですよね。実際の風景の中で本物が動いている姿を見て更に驚いたりして。そういう感動をそのまま絵本にしてみようと思ったんです。」




りくの のりものえほん
作:いしかわ こうじ
出版社:童心社

「ばす ぶうーん おきゃくさんを のせて はしるよ。」 ページをめくれば動き出す身近なのりもの。 バス、スポーツカー、電車、パトカー、消防車、そして新幹線。 「めくる」というシンプルなしかけだから、あかちゃん自身も楽しめます。

そらの のりものえほん
作:いしかわ こうじ
出版社:童心社

「じぇっとき ごぉー とおいくにへ とんでいくよ。」 ページをめくると、のりものが大空へ飛び立ちます。 ぷろぺらき、気球、ろーぷうぇい、へりこぷたー、飛行船、水上飛行機、そして、ロケット! あこがれののりものたちにのって、さあ出発。 「めくる」というシンプルなしかけだから、あかちゃん自身が楽しめます。

最初のページには、のりものの名前と絵。まるで図鑑の様にわかりやすく見ることができます。

ところが、しかけとなっている部分を開いてみると…

確かにそののりものが走り出すのです!道路だったり、街中だったり、陸橋の上だったり。実際の具体的な風景の中でのりものが生き生きと動き出し、その活躍する姿を見て世界が広がっていくのを感じることができるのです。
文字のページに並んでいくミニカーの様な小さなのりものの絵も面白いですよね。

最初のラフ段階のダミー本を見せていただきました。
「アイディアや、どんな感じで走るっていうのは最初に決まっているんだけど、実はその後の作業がすごく大変!」


ぱっと見たら完成版と似ているけど…よく見ると全然違います!

「アイディアが決まってから、実際ののりものの感覚を体感したり、見に行ったりして、自分の体で感じることで絵が決まってくるんです。例えばこのロープウェイのラフと完成版。ロープの角度や中の人の様子、景色の感じなどみんな違うのがよくわかりますよね。実際に体験してみて、空に浮かんでいる感じや上に登っていく感じ。そしてすれ違う時に必ず手を振りたくなる感じ(笑)も表しています。」
他にも、実際に親子で気球に乗りに行ったり(!)、博物館で汽車やヘリコプターを見たり。ジェット機に乗る機会がある時には窓からどんな景色が見えたら嬉しいかなと想像したりと、かなりアクティブに遊んで…いや取材をされていたそうで(笑)。
そうやって調べた上で、今度はどこを描いてどこを省いていくのか、時にはご家族にも意見をもらいながら、一番ベストな線を決めていくのだそうです。シンプルだけどリアル。ここを表現するのがとても難しい作業なんですね。


シンプルな線なのに、一目でスポーツカーとわかります。かっこいい!

「もうね、例えばはしご車を一生懸命描いているでしょ。そんな時期に、街などで偶然本物のはしご車に出会えたときには、何だかスターに会った気分になって興奮したりして(笑)。そういう体験ができるから絵本を作るのってすごく楽しいですよね。『はなのさくえほん』の時も登場する花は全部育てたんですよ。実際に絵を描こうと思うと、知らないことがたくさんあるんですよね。だから観察しながら制作する中で本当にたくさんの発見がありました。」
なるほど、絵本の内容と同じように体験して発見して勉強して、その感動がそのまま作品になっている。
だからいしかわさんの絵本は、子どもと同じ視線になっているのでしょうね。納得です。

ところで、この「のりものしかけえほん」2冊はどうしてサイズを小さくしたのでしょうか。
「僕が絵本を作る時には、この絵本がどういう人に届くか、その着地点を考えて作っています。小さい子どもだからこの大きさ、っていうのはなくて、表現したい内容に合わせて決めていきます。この2冊が少し小さめサイズになっているのは、お出かけにも持っていけてコンパクト、でも開くと世界が広がっていくような作りにしたかったから。それから、小さいけれど持っていて嬉しくなるようなしっかりした作りの装丁にしています。」
そうなんです。とにかくこの2冊、装丁がとても美しいのです!
シリーズの他の作品も一緒に並べてみればすぐにわかりますが、いしかわさんはデザイナーとして長く活躍されてきたという事もあり、装丁や色にとことんこだわっているんです。


どの作品の表紙も素敵ですよね。
※『たまごのえほん』は第44回造本装幀コンクール日本書籍出版協会理事長賞を受賞されています!

「特に色に関しては、大体こんな感じかな、というところで終わらせることは絶対しません。色を決めていく作業ってオーケストラの指揮者のような感覚なんですよね。一つの画面の中でその力を発揮していない色があったら、納得いくまで調整してもらうんです。そうすると絵全体が生きてくる瞬間があるんです。その瞬間を感じて、初めて完成したって思えるんですね。
僕のこだわりとして、シンプルで美しい絵本というものを手に取ってもらいたいという気持ちがあるんです。それは大人でも子どもでも、年齢に関係なく、そういう絵本を手に取る楽しさを味わってほしい。僕は“モノとしての本”というのをすごく大事に考えています。」

「いしかわさんと仕事をしていると、“目の前の子どもに本当に喜んでもらう”というとても難しいことに打ち込まれているってすごく感じるんです。そこが素晴らしいですよね。」
とおっしゃられたのは、同席されていた担当編集者の下園さん。いしかわさんの本作りに対する真摯な姿勢がうかがえるエピソードです。

最後にこの絵本のみどころをお願いします!
「この絵本を読んで、また実物を見る。そうやって体験につなげるきっかけにしてもらえれば嬉しいです。
それぞれの年齢にあわせて楽しむことができるのもこの絵本の大きなポイントです。
小さな子だったら、この絵本を見て楽しむこともできるし、言葉を覚え始めた子だったら、名前を覚えるために使ってもいい。少し大きくなったら絵本の中で世界が広がっていく感じを楽しむこともできるよね。大人の方は子どもと読むことで、一緒に発見したり感動したりしてもらいたいですね。」

ありがとうございました!
記念にぱちり。

いしかわさんにお会いするのは二度目ですが、いつも絵本作りを本当に楽しんでいらっしゃる様子が伝わってきます。
「僕は子どもの頃、例えば工作するのが大好きだったり、小学校の壁新聞を一生懸命作ってみたり、マンガ家を目指している時期もありました。また、大人になれば小説が好きになったり、仕事としてデザインやイラストを長く真剣に取り組んできました。絵本っていうのはそういうものを全て含めて、やりたい事が自由に実現できるんです。だから今は絵本作りが面白くてたまらないですね。」
これからどんな作品が生まれてくるのかと思うとワクワクしてきます。ちなみに、絵本の話の合間に、いしかわさんって子どもの頃から奇才だったのかと思わせるエピソードが次々と飛び出してきたのですが、ここでは書ききれないのが残念。また機会があればじっくりご紹介しますね!

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いしかわ こうじ

  • 1963年千葉県生まれ。絵本作家。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。
    講談社童画グランプリで大賞受賞。イタリア・ボローニャ国際絵本原画展で入選。
    「たまごのえほん」が第44回造本装幀コンクール・日本書籍出版協会理事長賞。
    ユニークな発想と、暖かな色彩の造形で、芸術性とポピュラリティを両立した絵本を数多く生み出している。紙で作った小さな犬『ペーパーわんこ』と世界中を旅して撮影するプロジェクトも展開。
    主な絵本に「どうぶついろいろかくれんぼ」「のりものいろいろかくれんぼ」「くだものいろいろかくれんぼ」「どうぶつもようでかくれんぼ」「やさいいろいろかくれんぼ」「うみのいきものかくれんぼ」「ふねくんのたび」「つみきくん」「つみきくんとつみきちゃん」「あかちゃん にこにこ」「あかちゃん はーい」(以上ポプラ社)、「たまごのえほん」「はなのさくえほん」「みんな とぶよ!」「りくののりものえほん」「そらののりものえほん」(以上童心社)「パンダくんのおにぎり」(PHP研究所)「世界を旅するペーパーわんこ」(河出書房新社)等があり、フランス・韓国・台湾・中国など海外でも翻訳版が数多く出版されている。
    「どうぶついろいろかくれんぼ」かたぬき絵本シリーズ(現在8作品)は、累計160万部を超えるロングセラーとなっている。

作品紹介

りくの のりものえほん
作:いしかわ こうじ
出版社:童心社
そらの のりものえほん
作:いしかわ こうじ
出版社:童心社
たまごのえほん
たまごのえほんの試し読みができます!
作:いしかわ こうじ
出版社:童心社
はなのさくえほん
作:いしかわ こうじ
出版社:童心社
みんな とぶよ!
作:いしかわ こうじ
出版社:童心社

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