「今日から、この『怪談部』のこもんになった、ながれいしです。流れる石とかいて流石だ!」
ある小学校の部室に、新しい顧問の先生がやってきました。いかつい面構えにジャージ姿、威勢のいい先生です。
怪談部とは、おばけや妖怪のこわ〜い話をして、みんなを怖がらせるのが主な活動のようです。でも所属しているのは、なんだかダラっとした頼りない生徒たちばかり。
流石先生が檄を飛ばします。「はっぴょう会が近づいてきたので、こわい話を しっかりしてください。」
早口ことばに、怪談を怖くする「出だし」の練習。いろんな訓練がありますが、部員たちは見た目を怖くすることに夢中なようです。
先生は校内を見回りながら個別に指導していくのですが、次々に恐ろしいことが起こります。だって、先生が指導しているその生徒たち・・・。
怖い!でも可笑しい!お化けの生徒たちと、熱血先生の体育会系指導の会話の噛み合わなさといったら。
「熱血怪談部」は、落語家、林家彦いち師匠の新作落語の代表作。
奇妙な設定を飛び交う会話の掛け合いの面白さは、落語の世界ならではですね。
そして、思い切り笑いながら、ゾッとする感覚もじっくり味わえるのは、クレヨン画家加藤休ミさんの絵の迫力あってこそ。休ミさんの描くのっぺらぼうの顔!最高です。
現代の落語家と絵本作家が共演する、新しい落語絵本のシリーズ第1弾。今後もどんな作品が続くのか、ワクワクしてしまいますね。
おはなしのラスト、思い切りびっくりしてください。
腕自慢の方には、ぜひ読み聞かせにも挑戦してみてほしい作品です。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
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