学年で一番の人気者、「秋山リアル」。
スポーツも勉強も完璧で、ムードメーカー、おまけにイケメンで、だからとうぜん女子からもモテる。
そしてリアルは、ぼくの幼なじみでもある。
リアルと一緒にいるところを見られると、みんなの顔に「?」が浮かぶんだ。
なんだか、リアルの友だちとしてふさわしくないって思い知らされているみたいで、すごくみじめな気持ちになる。
なのに、5年生になってリアルと同じクラスになってしまったものだから、思わず「ゲッ!」
そこへ、リアルのことにやたらと首をつっこみたがる転校生まで加わって、なんだかこの夏はさわがしくなりそう……。
第56回講談社児童文学新人賞、第46回日本児童文芸家協会児童文芸新人賞受賞作。
誰もが認める学年一のスター、リアルを中心にした、三人の少年の友情と恋、そして死にまつわる物語です。
「ぼくたちのリアル」というこの作品のタイトル。
リアルとはもちろん、主人公のひとりであるリアルのことでしょう。
しかし同時に、このリアルは「現実」を意味しているのかもしれません。
悲しくても、怖くても、妬ましくても、向き合わざるを得ない「ぼくたちの現実」を。
完璧すぎる幼なじみのリアルを、いつのころからか避けていた「ぼく」ことアスカ。
幼いころのあだ名で呼ぶのはやめろと求める一方で、リアルにあだ名で呼ばれると、自分までがすごいやつになったような気がするといいます。
「リアルのことはそりゃ、好きだけどさ。きらいだったら、ほっとけばいいじゃん。好きだから、いろいろやっかいなんだよ」
そんなアスカを巻き込んでは、なぜかリアルのあとをついて回る、転校生の「川上サジ」。
日本人離れした美しい顔立ちのサジは、一見恥ずかしがり屋の引っ込み思案。
でも、転校二日目にして、クラスのカリスマであるリアルを家に誘う度胸の持ち主でもある、不思議な男子です。
実は、クラスの中でただリアルだけが知らない、ある秘密を持っていて──。
そして、すべての中心にいるリアルにもまた、根の深い秘密をがあったのです。
なぜ、リアルは不自然なほどに完璧でいるのか?
なぜ、おとなたちは完璧であるはずのリアルを心配するのか?
「いまから思えば、ぼくとリアルの前にサジが現れたのは、ちょっとした運命だったのかもしれない」
5年生の夏。
三人の少年は出会い、リアルを中心にしたそれぞれの想いが、彼らを少し大人に変える──。
(堀井拓馬 小説家)
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そいつの名前は秋山璃在(リアル)。
スポーツ万能。性格良好。顔がかっこよくて、気もきくから女の子にももてる。勉強も絵も書き初めも、カラオケだって、何をやらせても誰よりもできてしまう学年イチの人気者。幼なじみの渡(わたる)は、平凡な自分と比べて、そんな璃在(リアル)に昔からコンプレックスを感じていた。
しかし、小学5年生の新学期、美しい転校生の来訪によって、運命の日がやってきたのだった。
人気子役との恋がこじれた合唱祭、リアルの家族の悲しい過去、サジへのいじめ……。それぞれ助けあいながら、三人は次第に友情を深めていく。
出席番号一番、秋山璃在。二番、飛鳥井渡。三番、川上サジ。三人ですごした五年生の春と夏の思い出。ぼくたちは、少しずつちがう。だから支え合える。三人の少年の忘れられない夏の友情物語。
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