生まれつき、邪悪な人間なんていないー! 麦畑の光の洪水の中で、あたしは初めてチューリップに出会った。そして、あたしはチューリップに支配された……。ふたりの少女の激しい友情と、悲劇にむかった結末。少女の心の闇を救う手立てはあるのか? 英国で熱い論議を巻き起こした問題作。
多かれ少なかれ、思春期は人間関係の中でこういうたぐいの共依存を経験することにはなると思います。
だからこそ、10代にこの本を勧めるかというと微妙な所です。文章の難易度としては中学生から読めますが、これを読み切るためには、ある程度の経験に基づく俯瞰力が必要だからです。
「巻き込まれる側」のナタリーも、「巻き込む側」のチューリップも共通するのは結局、背景にある保護者からの愛情の欠損。「こんな子、どうなったっていいわ」と思われている子どもの歪んだ心理をよくぞここまで細かく描いたものだと思いました。
強すぎる共依存心理を生み出すのは、親の教育姿勢や家庭環境そのものだ、と断罪しているように読めます。
子ども、というより保護者が読むべきでは。 (だっこらっこさん 40代・せんせい 女の子9歳)
|