第二次世界大戦のさなか、すすむちゃんは台湾の小さな町に住んでいました。なかよしは、ひでちゃんという女の子。そのころ、日本は台湾に侵略し、占領していたのです。ある日、日本は敗け、ひでちゃんは自分の名前はひでちゃんではないといいだし……。
あの太平洋戦争の中で、日本が台湾を占領していたことを意識しいなかった自分です。
この絵本はその事実と、日系二世の少女が育ちを同じにした作者と別れなければならなかった背景を痛切に訴えています。
同じ台湾で生まれたのに、日本人の子どもとして生まれた作者は日本人なのですが、父が台湾人父が日本人の家庭に生まれたひでちゃんは、戦争が日本の敗戦に終わると日本人から台湾人に、名前も「ひでこ」から「ホアン ショウラン」に変わらなければならなかったのです。
どうして一緒に遊んではいけないのだろう。どうして、自分は日本人ではないのだろう。
ひでちゃんの心の叫びが伝わってきます。
50年後に、作者が台湾を訪れた時ひでちゃんの行方はわからなかったそうです。
これが平和であったら、その前に日本が台湾を占領していなかったら生まれなかった哀しみです。
最近日系アメリカ人の戦時中の不遇をテレビで見て心打たれたのですが、このお話もそれに値するお話です。
ただ、台湾は敵国として攻撃された国。
そして、絵本を見る限り日本人居住区を中心に攻撃されたので、それに巻き込まれた台湾人の悲劇、日本人の居住していない場所が平和であるアンバランスを描いています。
実体験した人でなければ書けない絵本だと思います。
平和であることの大切さ、二世三世が安心して暮らせる社会の大切さを痛感させる絵本です。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子14歳)
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