●●特別企画メイキングレポート「絵本ができるまで」●●
【3】入稿。

「森のイスくん」
出来たてほやほやの「森のイスくん」を、
一足お先に息子と一緒に読ませて頂きました!
「イスくんとは一体何者ぞや?」
じっと聞き入る、4歳の息子でした。
興味津々、また明日から何回も読んで反応を観察しますね。
さて、「絵本ができるまで」第3回は入稿です。
ここからは、なかなか普段は馴染みのない、専門のお仕事になると思います。
↓校正紙を前に、入稿の作業内容の説明を聞いているのですが・・・。

これがなかなかややこしい。
素人の私がご紹介する・・・という事で、
どうかプロの方は軽く聞き流してやってくださいませ。
前回完成した原画。
この原画をどの様な作業を経て、絵本の形にしていくのでしょうか。
まず、原画を受け取ったら印刷会社に持って行きデータ化してもらいます。
今回の「森のイスくん」の場合、原画をデータにした時点で
4種類の紙に試しに印刷する「テスト稿」というのを行ったそう。
そのテストからイメージを掴み、紙の種類を選びます。(ここで作家さんと確認。)
データ化した画像を見ながら、編集者津田さんがレイアウトをしていきます。
・少し大きめに描いてある原画の画面を、絵本のサイズに切り取ります。
(予め作家さんに印をつけてもらっています。)
・テキストの位置、文字のデザインや色などを決めます。
・必要があれば多少画像の拡大・縮少をすることもあるそうです。
などなどの作業。
そして、「入稿」です。
◇◇◇◇入稿とは・・・
出来上がった原稿を印刷所に渡す事。
絵本の場合は、原画とテキストのレイアウトなどが決定したデータが
印刷所の手に渡る事ですね。
◇◇◇◇◇◇
色味などの刷り上りをチェックする為に試し刷りをします。
これを「色校正」といいます。
↓刷り上った原稿は「色稿」。一番手前は原画です。

この「色稿」を見ながら、「もっと濃く」「この青はちょっと違う。」とか「イメージと違う。」「雰囲気が・・・。」
などなど、データで修正すべく指示を出していくのです。(勿論、実際はもっと具体的にね。)
なぜ、こういう段階があるかというと・・・。
印刷する際に、原画の色そのままというのはまず出ない、と考えていいのです。
基本的に印刷は、CMYK(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)つまり
青、赤、黄色、黒の4色のみの掛け合わせで刷り上げるのだそうです。
(それでも出ない色は、特色というのを作るそうですが。)
それを、いかに原作の色の雰囲気に近づけるか、絵本のイメージ通りの色を出すか・・・
これは、絵本にとって大きな勝負であり、大変重要な作業なのですね。
↓これを切り取ると、絵本の形になる様に印刷されています。
(紙の端についているのがCMYKの4色ですね。)

ちなみに1回目の刷りを初稿と呼び、
直しがある場合はまた刷り直し。これを再稿、
更にある場合は三稿・・・と続きます。
今回は、三稿まで行ったそうで、
これは、結構大変な作業になった事を物語っています。
「森のイスくん」では、清々しい空の色や、
遊びに行きたくなる様な雰囲気の森の緑など・・・この辺りのポイントを
再現するのに特に苦労したそうです。
石井さん×津田さんの前作「ぷかぷか」では、やはり「青」を出すのにかなり苦労したそうで、
でも絵本を見ると、なるほどこの空の色が全ての鍵になっているのがよくわかります。
さぁ、色も決まりこれでOK!
となったらそのデータを印刷の工程へ。
この段階を「下版」と呼びます。
(今回は入稿から下版まで、約一ヵ月強。通常よりちょっとかかった様です。)
「下版」と聞くと、なんだか山場を終えてほっ・・・とした感覚かな、
と思いきや。
「いやいや、出来上がるまでは全然気が抜けないよ。」
だそうで、次の段階の印刷でも、色味は変わるのだそうです。
津田さんも、印刷所へ行き立ち会うそうですが・・・
今回はここまでです。次回は印刷、製本。そしていよいよ完成です。
作者の石井さんも、勿論その都度確認作業を行っていきますが、
基本的には、津田さんの仕事を信頼されているそうです。
「良いものを創ってくれる。」という安心感は、
作家さんにとっては何よりですね。

