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◆@絵本ナビ  「にんじゃつばめ丸」山本孝さんの登場です!もちろんあの企画も・・・。(2008/05/14) »

絵本『にんじゃつばめ丸』の絵を描かれている山本孝さんにインタビューしました!

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とある めだたぬ ちいさなまちの
とりわけ めだたぬ いっけんや・・・

本当に普通の家。でも、一歩中に入ると全然普通じゃない!
日が沈む頃になると、家で、お庭で、結構激しい修行が繰り返され・・・。
「忍者」の日常と、現代人の日常(お父さんはサラリーマン!?)の、
この見事な溶け込み具合がとっても印象的なのがこちらの絵本。

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↑背景はビルなんです!

この作品の絵を描かれているのは山本孝さん。
一度目にしたら、忘れられないような強さを持つ山本さんの絵。
イソザキもとっても気になっていた作家さんです。
そんな山本孝さんに、今回、お話をお伺いする事が出来ました!

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↑ブロンズ新社さんの素敵なオフィスにて・・・。


◆早速ですが、今回「忍者の絵本」を創られる事になったきっかけは?


「今作の設定を考えたのは、作者の市川さんです。
初めて組ませてもらう、という事もあったので、市川さんのイメージを明確に把握する為に、色々と具体的な指示を出してもらいながら、絵本を創っていく上でたくさんのやりとりをしました。」

山本さんはそこからイメージを膨らませて絵本をつくっていく、という作業だそうです。
色々な作家さんと組まれて、絵本を創られる事も多い山本さん。
伝えられたイメージから出発する、という作業も結構好きな方だそうです。

そうおっしゃる山本さんでしたが、
修行の様子、家の中、運動会会場・・・気になる場面がたくさん!
ちょっとずつ聞いてみましたよ。

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↑これは貴重なスケッチブックです!キャラクターを決めていく
最初の段階のラフスケッチがたくさん。・・・何だか楽しそう。


◆昔も今も、変わらず人気なのが「忍者遊び」。


何と言っても、最初からドキドキしてしまうのは、
普通の家のドア、そこを開けた途端に
突然繰り広げられる忍術の世界。
廊下を駆け抜けたり、床から刀が出てきたり、手裏剣の練習をしていたり、
居間の天井に張り付いていたり・・・!?
こんなギャップにとても弱いのが子ども達。真剣な顔つきで見入ってしまう様子が簡単に想像できます。本当にあるのかも・・・というリアルな感じがたまらないのかもしれません。

「忍者遊びというと、小学生の頃、実際に僕もやっていました。
 設定があって、掟があったり、走ったり、隠れたり。バリエーションがあったり。
とても総合的な遊びなんですよね。
それに忍者って、みんな知っているしね。(ハットリくんの功績?)
だから、とても描きやすかったし、面白かった。」

確かに、その辺の小さな子に「忍者ごっこだー!」と言いながら手裏剣の真似なんかすると、あっという間にみんな夢中で遊び出すなぁ。

ところで、具体的な道具や忍術なんかも登場しますが・・・
「特に、具体的に現地取材などはしませんでした。深みにはまりそうでしたし(笑)。」
設定が現代、と言う事もあって、割と自由なイメージで描かれたそうです。
でも違和感などは全く感じない、これが忍者の世界の懐の深さ?

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 ↑「たっだいまー!」学校から帰ってくるとあっとういう間に早変わり。

例えば、沢山登場する忍者達がそれぞれ着ている衣装。
設定が活かされています。よーく見ると、かなり遊んでますよ。
「一見オーソドックスなつばめ丸の服も、つばめを意識したつくりになっています。」
 そうなってくると、からす丸は?こかも丸は?・・・いい味を出しています。
更に、ライバルのがまのしんはカモフラージュ。他にもよく見るとリストバンドをしていたり、マスクがちょっと変?だったり。まだまだ他にも。見つけてみて下さいね。


◆細かいものを描くのは好き!?


もう一つびっくりするのが、富士山の火口が登場する場面!
夜の空にそびえ立つ富士山。それが、上から見るとこんな事になっているなんて。
こんな画面を思いつくのは・・・何か経験が?

「いつも故郷の松山に帰る時、飛行機の上から富士山の火口が見えるんです。
写真を撮っておいたのが役に立ちましたね・・・。」

実際に見られた事があるんですね!
それにしても、その中で行われている運動会の様子。かなり細かいです。
「細々したものを描くのは、好きなんです。」
そうはおっしゃるけど、本当にすごい人の数なんです。
「逆に、少し顔が見える位に近づいた時の場面の方が苦労しました。
 顔の表情がわかるので、同じ顔が並ぶのはちょっと・・・と思っていると、
 全部の表情を考え出しちゃって。」

そ、それは・・・
「だから、色々の人の顔をモデルにしたりしました。知り合いだったり。
 例えばこの人は○△さん・・・。」

だそうです。特に、山本さんの周辺の方々は要チェック、ですね。
これまでで、一番沢山人を描いた!という感想も聞き逃せません。


◆一番苦労されたのは、どんなところですか?


実際に絵本を創っていく上で、一番苦労された点は「アングル」だそうです。
例えば、庭で手裏剣の練習をするシーンだったり、
火口から飛び降りる時のシーンだったり。


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↑色々なアングルから、何通りものパターンが描かれていたり、家の間取りが描かれていたり。すごい!!


場面によって、より効果的なのはどのアングルか・・・
カメラで撮る時の様に、目線を意識しながら考えて決めていくそうです。
更に、読み聞かせをする時の事もとても意識されていて、ページをめくった時に驚くように、見開きのページを多くしたり、テンポの良い展開を考えたり。削られたシーンも結構あったそう。

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◆絵本作家を目指すきっかけとなったのは・・・?


このお話からも、山本さんの絵本づくりへのこだわりが伝わってきます。
それもそのはず。「絵本作家になりたい!」と思われたのが高校二年生。
きっかけは、図書館で見かけた長谷川集平さんの絵本『はせがわくんきらいや』。
「こんなすごい絵本があるんだ!」と感銘。と、その横に長谷川さんの描かれている
絵本づくりトレーニング」という本が置いてあって・・・。
こんな、うまいこといく展開ってあるんですねぇ。

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その後、絵本学科のある専門学校を卒業され、「あとさき塾」「メリーゴーランド絵本塾」へ通われて。
しっかりと、絵本づくりの基礎を学んでらっしゃるのですね。

今、好きな絵本のお仕事をされて、更に憧れの作家さんと組まれて絵本を創られたり。
その喜びの大きさは、計り知れないものがあるのでしょうね。


◆夜を描かせたらスゴイ人!


山本さんの作品を見ると、画面の隅々まできっちり描かれていて、本当に見応えがあります。
さぞかし一つの作品に、かなり時間がかかるのでは・・・ぎりぎりに上がってくることも?

「でも、出来上がりが予想以上に力強いので、文句なんて言えません!」
と、この絵本を担当された編集の山縣さん。
すかさず山本さんが
「力の抜き方がわからないんですよ(笑)。」
と言えば、
「今回のこの本は、より熱くあって欲しいというイメージがあったので。
 実際、本当に期待以上の熱気で・・・。」

こんなやりとりも、とっても興味深く、面白いですよね。

更に山本さんに依頼された理由として、山縣さんは
「例えば『ちゃんがら町』など山本さんは、夜を描かせたらスゴイ人、と思っていたんです。」
山本さんの描く、夜の暗闇は、生々しく、色気がある。
なるほど、そう言われてみると『にんじゃつばめ丸』の夜の場面も、不思議な迫力を感じます。
印刷の仕上がりも、山本さん大満足の出来だったそうですよ。ご覧になってみてくださいね。

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その『ちゃんがら町』の世界もとっても独特。
読んでみて、共通して浮かび上がってくるテーマが「遊び」。
山本さんご自身、そうやってよく遊んだ記憶があるのでは・・・と伺うと、
まさにその通りで、故郷の松山では、『ちゃんがら町』で描いている世界と
そんなに変わらなかったそうです。
放課後に、ひたすら遊んだ子ども達だけの時間。
その実際の記憶に、幻想を交えてつくりあげた世界がこの絵本なのだそうです。
その、自分にとって居心地のいい場所に、子ども達を遊ばせる感覚で描き上げる。
登場する子達も、生き生きしているはずですね。

この感覚は、『にんじゃつばめ丸』にも共通しています。
読んでいる子ども達の心を掴んでしまうのも、納得です。
そして、こうもおっしゃっています。

「是非、お父さん達にも読んでほしいです。この頃の遊びの事なら父さん良く知ってるぞ!
とか、忍者のことならまかせとけ!とか。得意気に読んでほしいです。」

同世代の人たちが読んで、ピンとくるポイントが沢山あるんです。
試しにパパに見せてあげてみて下さいね。
むしプロ」という絵本も、昭和のにおいがぷんぷんしますよ。こちらもオススメ!

お会いした山本さんは、とっても親しみやすい雰囲気の方で、
気さくに絵本について、色々語って下さいました。
お話を伺いながら、絵本を、こよなく愛しているのが伝わってきます。
(奥様も絵本作家さんだそうですよ!)

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この貴重な機会に、直筆サインを描いてもらいました。

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↑すずしい顔をしているつばめ丸に比べて、
がまのしんの方が描き慣れている顔立ちだそうです。すらすら。

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↑遠目の写真だけね。(届いてからのお楽しみ。)

その優しさに調子にのって、こんな写真までお願いしちゃいました。

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↑(私達、ちょっとはしゃぎすぎてます。)感謝。

それでは、おまちかねのサイン本はこちらから!数量限定です、お早めに・・・。

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更に最新作こちら>>>
山本さんは妖怪が大好物、だそうですよ。お楽しみに。

帰り際には、カナガキ事務局長もすっかり山本さんの大ファンに!
これからも、目が離せなくなってしまいましたね。

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