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川端誠さん落語絵本シリーズ最新刊発売記念!
「落語絵本 制作のひみつ」ブログ第二回

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このブログ1回目のあと、「みなさんからのお声」がたくさん届き、川端さんともども感激しながら、読ませていただきました。ありがとうございます!!
川端さんへのご質問の回答は、ブログのスペシャル版として、まとめてご紹介します。
いくつかは、今回の記事のなかで、なるほど!と納得していただけることもあるかも。

前回は、新作のダミー完成までのご紹介でした。こちら>>>
さて、その続きを。

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● 口調のよさは、「落語絵本」ならでは

川端さんからダミー(原寸見本)を手渡され、
最低3回は声に出して読んでみて、と、いつものようにお達しがあります。
声に出したときの言いまわしのよさは、落語絵本ならでは! 
川端さん自身は、噺家もかくや! というほど、からだに落語の口調がしみこんでいます
(そういえば、落語家になりたい!思ったことは? というご質問もありましたよ)。
いろいろお聞きしてみると、一字一句のちがいで、登場人物の性格や状況が変わってくるのに驚きます。よくよく吟味されたことばゆえに、落語絵本は読んでも、聞いても、ノリがいいのです。


● 新作は、「お正月」を祝う縁起のいい噺

新作のタイトルはまだ、おあずけとして・・・「お正月」にちなんだ噺です。
主人公の八つぁんが、ご隠居、大家、お寺、棟梁、師匠と、町内のおなじみさんの家々へ、「年始まわり」に出かけます。それぞれの家の雰囲気、部屋のしつらえ、お正月を祝うかたちが描きどころ。


● いよいよ、原画を描きます

まずは、原画を描く前の下準備。用紙に、トンボを引き(印刷用のサイズをしめす線を描く)、
お手製のキャンバス(川端さん、大工仕事が趣味なのです)に貼っておきます。
画面の構図、登場人物の造形も、この段階までに決定します。
今回の主人公・八つぁんは、棟梁のもとで働く大工職人。ちょっと間が抜けてはいるものの、ひとがよくて、実直で、仕事の腕はたしか・・・そんな雰囲気が出るように、がっしりした体格で、丸顔で、大きな目と、相成りました。
(1回目に掲載したラフスケッチと、今回ご紹介する絵を比べてみてください)


えんぴつで下絵を描いたあと、塗りはじめます。最初は、背景などの大きなスペースから。
ごくごくうすい色をはじめに塗り、何度か塗り重ねていきます。
次は、人物です。着物の色や柄や、顔色の違いにも性格があらわれてきます。それぞれの基本の色、影になった濃い色など、段階的に色をつくっていきます。

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▲ 絵皿の一部と、この作品のためのオリジナル色見本です。


絵本1作に全15画面ありますが、1枚ずつ完成させていくのではなく、同じ人物の着物の地、柄、肌・・・と、同じ絵の具をつかうところをどんどん塗っていきます。


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▲ 初公開! この筆1本で、描きすすめます。

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▲ この気迫! かの棟方志巧を彷佛とさせる!?
首にコルセットをして描くと、肩のコリや腕の疲れが少ないそう。


次に、製作中の絵も、本邦初公開します。どの画面も、未完成です。
実際に本ができあがったら、ぜひ、比べてごらんください。

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▲ 八つぁんです。
正月ですから、髪結いにもいき、半纏もおろしたて。

右手にあるのは、川端さん所蔵の『はつてんじん』。
新作の絵のなかに、親子で特別出演です!
金坊ととうちゃんは、みなさんにお聞きした「好きなキャラクター」でも、
いちばん人気でした。


● 落語絵本の絵の、ひ・み・つ

みなさんから、「細かなところも描き込まれていてすごい!」とか、「時代考証はどうしているの?」といったお声が多くありました。
そこは、なめるように絵を読む「図鑑少年」時代から、川端さんお手のもの。
仕事場には、いろんな資料があります。今回活躍したひとつが、十数年前に刊行された正月特大号の雑誌。

ほかにも、旅行先の江戸村で撮った写真が、家並や人物のいでたち、ポーズの参考になったりもしています。気になることは徹底して調べ、資料を探しまわることもしばしば。
川端さんから、じつは・・・という告白があります。

「はじめの頃は、子どもの着物の肩上げなんか、よく知らないで描いてた。
ちゃんと描けたのは、『いちがんこく』からだよ」

そうしたチェックは、編集の仕事なのですが・・・恥ずかしながら気づきませんでした。

落語絵本シリーズはどの巻から手にとられてもよいのですが、巻数で並べてみると、川端さんの絵の変遷も見えてくるのです!


● 落語絵本は、江戸時代の「生活図鑑」

「落語絵本は、江戸の暮らしを伝える図鑑でもある」と川端さん。
時代のなかで消えてしまう言葉や風俗・文化があれば、時代を越えても変わらない人情や生き方などもある・・・。おおいに笑って絵本をたのしみながらも、なにかを感じとったり、知らないうちに記憶に刻まれていくことがあるはず。

よく、子どもに落語や落語絵本は難しいのでは・・・? というおたずねがあります。
そのお応え代わりに、ちょうど届いたおハガキを紹介させてください。
4歳のNTさんとおかあさん、親子で『ときそば』を気に入ってくれたようです。

「後日・・・おかわりは? ときいたら、
『もういっぱい、といきたいけれど、ねるまえだから、よしとくよ。すまないねえ』
と言われました!」

『ときそば』をご覧になった方にはおなじみの、あのひとのセリフです。

さて原画制作は、このあと、今回の噺のキモである、正月飾りや掛け軸が描かれます。川端さんの見事な職人技、また次回をおたのしみに。


「落語絵本 制作のひみつ」ブログ第一回はこちら>>>

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