なんとも甘酸っぱいお話です。
牝鹿は男に惚れたのでしょうか、男の作るジャムに惚れたのでしょうか。
突然現れた牝鹿の男への献身は一途でした。
牝鹿に後押ししてもらったおかげで、男の作ったジャムはと嘘のように売れるようになりました。
そこで男が牝鹿に持ったのは、相棒としての気持ちではなかったでしょうか。
待ち合わせてブルーベリーを摘みに行った先で、男は牝鹿の父親に出会って、牝鹿の思いと自分の恋心に気づくのです。
親鹿は男に、娘が人間に飼われたら結婚してやって欲しいと告げます。
男はその条件に応えますが、別れてから牝鹿のままで構わないと思い直すのです。
そこから先はあくまでメルヘンです。
でも、あるがままの姿と、男のために姿を変える努力と、恋の成就のための帳尻合わせは、気持ちと現実感の綱引きのように思ってしまいました。
「人魚姫」を思い起こします。