たべもののまちABCity
- 作:
- こた
- 出版社:
- 小学館集英社プロダクション
絵本紹介
2023.12.25
今年も寒〜い冬がやってきました。こんな季節は、一冊の絵本を真ん中にみんなで体を寄せ合って楽しいおはなしの世界へ……それだけで体感温度がぐーんと上がっちゃうんです。
うわぁ、おいしそう……!大好きなたべものでできている街や、目の前に湯気が漂ってきそうなラーメンに思わず声が出ちゃう。
錆びたクギに変身できるウサギが主人公のおはなしは、おとずれるピンチにハラハラドキドキ、その展開に目が離せません。「ねこあるある」がたっぷり描かれた絵本はねこ好きさんにはたまらない、そうでない人もねこの愛らしさに目尻が下がってしまうことでしょう。
さらわれた娘を救い出せ! お殿様が命令を出したのは、なんと自分のひげ?!「ひげ忍者」という設定、もう笑うしか道はないのです。
……こんなふうにご紹介していたら、もうポカポカしてきました!
絵本を囲みながら一緒に笑ったり喜んだりドキドキしたり。心も体もあったまる読み聞かせタイムをどうぞ。
みどころ
ABCityはたべものでできた街。引っ越しすることになった男の子と女の子が、りんご鉄道に乗って、ABCityの玄関口「Apple駅」に到着。さあ探検の始まりです!
「Bananaスキー場」は、雪がなくても一年中すべることができるバナナでできたスキー場。バナナスノボも人気です。スキーもスノボもバナナの皮でできているんだって!さっそく滑ってみましょう。
次に甘い匂いにつられてやってきたのは「Cakeデパート」。化粧品も、服も、家具も、おもちゃも、みんなケーキでできています。夢のようなデパートに、テンション急上昇! デパート内をぐるぐる探索したくなりますね。
食べ物で作られた空想都市を、AからZまで、アルファベット順に探検していくおはなし。「次のアルファベットはどんな食べ物だろう?」「どんな建物かな?」とワクワクしながらページをめくり続ければ、時間を忘れてしまいまいそう。細かく描きこまれたイラストには、たくさんのお楽しみが散りばめられています。きっと読むたびに新しい発見がありますよ。
作者は現役美大生であり、絵本作家、イラストレーターとしても活躍中のこたさん。著書『わくわく科学ずかん 古生代水族館』(大泉書店)ほか、空想の都市や海の生き物のイラストを多く手がける、大注目の画家さんです。本作は制作期間2年! なんと100ページ越えの超大作です。子どもも大人も夢中になること間違いなし。世界で一番おいしそうな街を、ぜひ皆さんも堪能してくださいね。
出版社からの内容紹介
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すべてのラーメン好きの ちびっこに贈る
究極のラーメンの絵本!
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ラーメンが大好きなぼく。朝からラーメンが食べたいと思うけど、そんなの無理とママ。だけどぼくは、ついラーメンのダジャレを言っちゃうし、デートはラーメン屋さんで、将来の夢はもちろんラーメン屋さん! ラーメンが好きすぎるぼくの爆笑妄想ストーリー。
*** 妄想満載! 『ラーメンがすきすぎて』の見どころ ***
◆嬉し恥ずかし デートはラーメン屋さん!
◆みんな大好き! ラーメンダジャレ
◆将来の夢はラーメン屋さん! こんなラーメン食べてみたい!
◆びっくり! ぼくの体の解剖図
*** 読者・保護者からの声 ***
◆我が家の男子に大ウケでした。小3の息子は特に気に入ったようで、「この絵本は絶対に人気になるよ!」と自信満々に言っていました。(小3男の子のママ)
◆一番好きな場面を聞いてみたら、食べてみたいいろんなラーメンのシーン。特にカプセルラーメンがいいそうで、理由は「中に大好きなたまごがたくさん入っていそうだから」。妄想が膨らんで楽しい絵本ですね!(小2・小5男の子のママ)
この書籍を作った人
1962年、新潟県生まれ。広告制作プロダクション勤務、専業主夫、フリーのコピーライターを経て、絵本作家に。作家活動の傍ら、新しいコミュニケーション遊び「おてて絵本」を発案、普及活動に力を入れている。現在、大垣女子短期大学客員教授を務める。『うんこ!』(文溪堂)で、第1回リブロ絵本大賞、第20回けんぶち絵本の里びばからす賞、第3回MOE絵本屋さん大賞受賞、第4回子どもの絵本大賞 in 九州、第5回書店員が選ぶ絵本大賞受賞。絵本の作品は、他に、『ヤカンのおかんとフトンのおとん』(佼成出版社)、『きみのきもち』、『とこやにいったライオン』(共に教育画劇)『おれたちはパンダじゃない』(アリス館)『せきとりしりとり』(文溪堂)など。その他著書として『おてて絵本入門』(小学館)など。
この書籍を作った人
1980年、東京都生まれ。多摩美術大学大学院修了。漫画家・イラストレーター。 挿画に『ひらけ!なんきんまめ』(小峰書店)、『日曜日』シリーズ(講談社)など。絵を担当した絵本に『だいくのたこ8さん』(くもん出版)、『まよいみちこさん』(小峰書房)、『ふしぎなかばんやさん』(鈴木出版)、『おすしですし!』(あかね書房)など。作絵の絵本に『おしっこもらスター』(あかね書房)、『ふしぎなえき』(交通新聞社)など。漫画に『クッキー缶の街めぐり』(青林工藝舎)などがある。
みどころ
ネコ店長とハシビロコウくんが切り盛りしているのは、きまぐれレストラン。
移動ができる車タイプで、今日は野原にやってきました。お客さんたちは、みんなおめかししていて、お待ちかねだった様子。車とは思えないほど広々しているレストランは、あっという間に満席になりました。
ハシビロコウくんが最初に運んできたのはにんじんグラッセ。ネコ店長の「たのんだのは、だれでしょう?」の声に元気よく返事したのは、もちろんウサギさん!その後もゼリージュースやよもぎ入りのうどんなど、お客さんそれぞれにピッタリの料理が運ばれてきます。
この料理はだれが頼んだのかな? と予想しながらページをめくってみてくださいね。料理だけでなく元気よく挙げられた手(足?)もヒントになるのでお見逃しなく。
ところで、私は以前動物園でハシビロコウを見たとき、急に羽を広げたのでびっくりしたということがありました。いざ動くとなると、なかなかダイナミックな動きをするハシビロコウ。絵本の中のハシビロコウくんはどうでしょうか? 何かするのかしないのか……ぜひ読んで確かめてみてください!
この書籍を作った人
1976年、東京都生まれ。女子美術短期大学情報デザイン科卒業後、グラフィックデザイン会社、子どもの本専門店の勤務を経て、絵本作家となる。おもな絵本に、『いちばん しあわせな おくりもの』『パンツちゃんとはけたかな』『おひるねちゃんとできるかな』(以上、教育画劇)、『ともだちのひっこし』(PHP研究所)、『えんそく おにぎり』(講談社)、『あいちゃんのワンピース』(こみやゆう作/講談社)などがある。
出版社からの内容紹介
ウサギの男の子ソロモンは、
ふつうのウサギですが、
ひとつだけとくべつなところがありました。
いつでも好きなときに、
さびたクギに変身できるのです。
鼻をかきながら、つま先をもぞもぞ動かせば、
ソロモンはクギになります。
そして、「ぼくは、クギじゃない。ウサギだ」
と思うと、ウサギの姿にもどることが
できました。
ある日、悪いネコにナイフをつきつけられたソロモンは、
クギに変身して、逃げましたが、変身したところをネコに見られてしまい、
クギの姿のまま、つかまってしまいました。
ソロモンは、逃げることができるでしょうか?
人気絵本作家スタイグの、ドキドキの展開にクギづけになる絵本です。
夏休みのある日、丘の上でめずらしいチョウを
追いかけていたソロモンは、おそろしいネコに
出会い、クギの姿のまま捕らえられてしまいます。
ウサギの姿にもどると、シチューにされてしまうと
知ったソロモンは…?
大人気絵本『ロバのシルベスターとまほうの小石』の
ウィリアム・スタイグによる、ゆかいで楽しい絵本。
この書籍を作った人
1907年アメリカのニューヨーク市生まれ。ニューヨーク市立大学とニューヨーク・デザイン・アカデミーで学び、23歳のとき時事漫画家としてデビュー。28歳で子供向けの本に手を染めて以来、絵本作家・物語作家としても活躍。「ロバのシルベスターとまほうのこいし」(評論社)でコールデコット賞・ニューベリー賞、「アベルの島」(評論社)でニューベリー賞を受賞。
この書籍を作った人
東京生まれ。出版社勤務を経て、翻訳家・編集となる。JBBY会長、「アフリカ子どもの本プロジェクト」代表。青山学院女子短期大学教授。著書に『エンザロ村のかまど』(福音館書店)、『どうしてアフリカ? どうして図書館?』(あかね書房)など。アフリカ系アメリカ人を主人公にした絵本の翻訳に『ローザ』『わたしには夢がある』『つぼつくりのデイブ』『かあさんをまつふゆ』『むこうがわのあのこ』『川のうた』『リンカーンとダグラス』(以上光村教育図書)、『ひとりひとりのやさしさ』(BL出版)、『きみたちにおくるうた』(明石書店)、『イライジャの天使』(晶文社)、『ふれ、ふれ、あめ!』『ぼくのものがたり あなたのものがたり』(以上岩崎書店)、『じゆうをめざして』(ほるぷ出版)などがある。翻訳で産経児童出版文化賞、日本絵本賞、ゲスナー賞などを受賞している。訳書に『ゆき』『シャーロットのおくりもの』(ともにあすなろ書房)、『くらやみのなかのゆめ』(小学館)、『ひとりひとりのやさしさ』『やくそく』(ともにBL出版)など多数。
この書籍を作った人
1895年アメリカ ウィスコンシン州生まれ。動物達と親しんだ幼児は、後のエッツに、決定的な影響をあたえる。「セシのポサダの日」(冨山房刊)でコルデコット賞受賞。「海のおばけオーリー」(岩波書店刊)、「もりのなか」(福音館書店刊)などの作品がある。1984年没。
みどころ
朝起きて、女の子がいちばんにするのは、ねこたちのごはんの準備。うちには6匹のねこがいるんです。ボスねこのボボや、蝶ネクタイの首輪をつけたロロや……。くわしくは絵本を読んでほしいのですが、とにかく中でもいちばん小さくて、「ごはんですよ」という声に誰よりも早く走ってくるのが、水色のリボンをつけた黒ねこのトト。
でもトトってごはんのとき以外は、名前を呼んでもすぐにやってこないんです。呼ばれたらまず背中をふくらませ、前足を出し、後ろ足を伸ばし、それからようやく……のんびりと来ます。おもちゃで遊ぶのは大好き。日なたぼっこも上手……。そんなトトをはじめとするねこたちと女の子との他愛ない日常が、おしゃれで躍動感のある筆致で、淡々と描かれます。
『王さまのお菓子』(石井睦美/文)や『レミーさんのひきだし』(斎藤倫・うきまる/文)など、文章作家さんと組んで、それぞれ西洋の映画を切り取ったような、雰囲気のある絵本を描いてきた、くらはしれいさん。本書はくらはしさん初めての、文・絵を共に手がけた絵本です。ねこ6匹の個性と、ねこと暮らす幸せな空気が描かれています。ねこ好きの人にはたまらない一冊です。
この書籍を作った人
岐阜県在住。雑誌、一般書籍の装丁画・挿絵やオリジナル雑貨のイラストなどを手掛ける。絵本に『レミーさんのひきだし』(作・斉藤 倫、作・うきまる/小学館)、『王さまのお菓子』(作・石井睦美/世界文化社)がある。
みどころ
家臣はあわて、殿さまがいかる、城もおおゆれの緊急事態! なんと他国の殿さま「ずるすぎ うそのすけ」に、大事な姫をさらわれた!?
「ひげにんじゃよ!
すぐさま うそのすけの しろに むかい、
ひめを たすけだすのじゃ!」
殿の命によりはせさんじたのは……他ならぬ、殿ご自身のおヒゲ?
「ひげにんじゃの なにかけて
かならずや ひめを すくいだして みせまする!」
殿さまのヒゲが音もなく抜けたと思ったら、読者の頭から飛び出した「!?」のマークも消えないうちに、汗をかきかき闇夜をかけ出す、ひげにんじゃ。いったいこのお話は読者をどこに連れて行ってくれるのか、スタートから期待に胸が高まります……!
「それっ、にんぽう……」のかけ声で、次々とびだす毛忍法。
闇から闇に、ヒゲからヒゲに。隠れて渡る『わたりひげのじゅつ』!
高いところもなんのその。ヒョロリと毛がのび縦横無尽、『ひげなわのじゅつ』!
これは、かわいいのか……? キモいのか……? ただひとつたしかなことは、とっびきりヘンテコで、一生懸命だってこと!
数々の術を駆使し、ようやく姫を見つけ出したひげにんじゃ。しかし、外には「ずるすぎ うそのすけ」の家来たちがぞろぞろいます。いったいどうすれば……と、そのとき。
「ひげにんじゃ またせたな!
ひめも ごぶじでなにより!」
ひげにんじゃのピンチにかけつけた、意外すぎる忍者仲間たちの正体は? そして、忍者たちが協力してくりだす、必殺毛忍法『へんげのじゅつ』!
果たして、これを読んで笑わずにいられる子がいるのでしょうか……? 子どもたちがどんなふうに笑ってくれるのか想像してしまって、むしろ読み聞かせる側がワクワクしてしまうような一冊です。
任務を終えた忍者たちといっしょに、殿さまの元にご報告! そうして読者を待ち受ける、まさかまさかの、二段オチ……。
この書籍を作った人
1979年生まれ。愛知県出身、東京都在住。上智大学卒業。トムズボックスのワークショップで絵本を学ぶ。本書がデビュー作。
みどころ
ぼくたちチーム。もーちゃんの近くにいて、もーちゃんしか知らない。ラッパを持って、たいこを持って、ぷぷぷっぷー、タタタンターン、そーっとそーっと応援するの。
もーちゃんが怖がっていたら、真っ暗な空の上だって、おばけが出そうな暗い廊下だって、なんのその。いつだって、がんばって応援する。本当はちょっとぼくたちも怖いけどね。もーちゃんが眠れないって言ったら、ぼくたちチームは……。
おもちゃ箱から出てきたのは、赤と青のなんだか不思議な姿をした二人、ぼくたちチーム。もーちゃんの見えるところ、見えないところで大活躍。応援に成功すれば得意顔、怖い時はおびえ顔。ちょっとばかり頼りないところも魅力的。こんなチームがそばにいたら、もーちゃんだって安心するよね。巻末にはオリジナルの「おやすみのうた」の楽譜つき。トムズボックス土井章史氏プロデュース作品です。
この書籍を作った人
大阪府出身,東京都在住。セツモードセミナー卒、「あとさき塾」出身。
みどころ
このちょっと不思議な姿をしているのは、はしのはしたろう。え、はしが主人公!? いったいどんなお話が始まるというのでしょう。
はしたろうが散歩に出かけると、川の向こうでうさぎといのししが困っています。石の上にはかめたちが気持ちよそうに眠っていて、川を渡ることができないのです。そこで、はしたろうが川に入ると、思いっきりのびをします。
「うーーーん」
すると体が少しずつのびていき、向こう岸にかかります。大喜びでうさぎといのししが渡りおわるとまたもとどおり。今度は、道路の真ん中に大きなかば。これではバスが通れません。はしたろうはまたのびをします。さらに海についたはしたろうは、もっと大きなのびをします。
「んぐぐぐー――っ」
すると……?
確かに「はし」って、とても便利。でも、こんな風にのびたりちぢんだり、さらには自らお散歩をするだなんて、想像をしたこともありません。でも、はしたろうを見ていると、なんだかとっても爽快な気分になってくるのです。そして、ちょっぴり真似してみたくもなってきます。うーーん、んぐぐぐ―――っ。
作者つぼいかなおさんの、クスッと笑える絵本デビュー作。トムズボックス土井章史氏プロデュース作品です。
この書籍を作った人
1982年茨城生まれ、千葉県柏市で育つ。有田川町絵本コンクールで優秀賞、武井武雄記念日本童画大賞で絵本部門優秀賞、ピンポイント絵本コンペで優秀賞受賞。『はしのはしたろう』がはじめての絵本である。
文:竹原雅子 編集:木村春子