カボちゃん、ナスビ、キャベッチ、ソラオ…と楽しい名前の野菜の子どもたちがいっぱいの1ねん1くみ。その中でいつもニコニコ、明るく人気者なのが、トマトの女の子、トマトンです。「トマトン」ってよぶと、ニコッと笑ってはずかしそうに手をふってくれるんだって。
でもね、本当はトマトンだって、ニコニコじゃないときもあるのです。それは、幼稚園の頃、幼稚園のバスに乗りたくなかったり、着いてもすぐに家へ帰りたくなったり、お友達がなかなかできなかったりした時のこと。泣いちゃダメって思えば思うほど勝手になみだがぽろんぽろん。のどがひくっひくっ、とまらない。でもそんな時、ママがとっておきの魔法をかけてくれた。「トマトンとんとんニコニコパワー!!ママパワーでまもればだいじょうぶ!」そしたら次の日、早速お友達ができて…。それからも泣きたくなった時には、兄のトーマにいちゃんやパパまでもが、それぞれトマトンに元気が出るおまじないをかけてくれて。でも、トーマにいちゃんのおまじないはちょっと痛そう…?
そんなトマトンももう1ねんせい。もうすぐママには赤ちゃんが生まれて、トマトンはおねえちゃんになるのです。おねえちゃんだからちゃんとしなきゃってがんばるけれど、大丈夫かな、無理してないかな?ああ、やっぱりがんばりすぎて泣いちゃった…。でもおかあさんがかけてくれたのは、「トマトンとんとん、ないてもいいよ。とことんおこって、とことんわらって。いつでもトマトン、だいすきとんとん」
武田美穂さんの描く野菜の子どもたちがとってもかわいらしく生き生きとしていて、絵本のようにどんどん読めてしまうこちらのお話は、「カボちゃん」シリーズの姉妹編。これまで脇役だったトマトンにスポットをあてたこちらは、新しい出来事に1つ1つ出会う子どもたちの気持ちに寄り添って、乗り越えるときの不安な気持ちを優しく応援してくれる頼もしいお話です。ぜひ「カボちゃん」シリーズと合わせて読んでみて下さいね。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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