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ちょっと疲れている大人の皆さんへ
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投稿日:2010/12/31 |
最初に謝っておきます、お子様向けではありません。
私は絵画やイラストが大好きで、ミヒャエル・ゾーヴァ展を観に行って、
この絵本を知りました。
金の冠をかぶり、深紅のマントを羽織った、
でっぷりと太った王様が、
けれどもコーヒーカップくらいの小ささで、
新聞の上に偉そうにふんぞり返った絵の表紙が、
まず印象的です。
物語の要所要所にも、美しく不思議なイラストが添えられています。
主人公“僕”は、ごく平凡なサラリーマン。
どちらかと言えば、仕事は決して好きではなく、
友達づきあいも多くもなく、日常にあきらめと孤独を感じています。
そんな彼の日常に、突然、小さな小さな王様が割り込んできます。
当初は、お互いの世界の違いを語り合うだけだったのが、
王様が“僕”の世界を知りたがることで、
逆に、“僕”のものの見方が変わってゆきます。
会社に行きたくないと思ったのは、
ドラゴンが会社へ行かせまいと攻撃していただなんて、誰も想像しないでしょう?
王様は、世の中には存在しないと思いこんでいるものが、
実は存在すると言うのです。
現実と空想の境目のはっきりしない中で、
王様の部屋を訪ねたり、チェスやサッカー盤ゲームをしたり、
おもちゃの車に乗って王様と一緒に絵を届けたり、
本来ならば奇妙な生活が、リアルに綴られます。
それは結局、視点を変えると、これまで考えたこともなかったことが、
ただ見ようとしなかっただけで、実はそこに存在する可能性を秘めている、ということ。
日々の生活に疲れてしまった大人の皆さんに、「まさかぁ〜!」
と、思いながらも、「そうだったら面白いかも…」
と、少し気持ちが楽になる、静かな共感を呼ぶ物語です。
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たくましさに感嘆!
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投稿日:2009/04/30 |
誰しも子供時代に一度や二度、家出を考えたことがあるでしょう。でもまず始めにぶち当たる壁が、どこへ行ったらいいの? ということのはず。ところがこのクローディアは、大都会ニューヨークのメトロポリタン美術館へ”家出に行く”のです! しかも兄弟の中から、お金をたくさん貯めている弟を相棒に厳選する冷静さと計画性を持って。物語は、前半の美術館での”生活”から、後半の天使の像の謎解きへと、思わぬ展開を見せ、息もつかせぬ面白さです。当初読者は、なぜ手紙の形が差し挟まれて、夫人がこんなにもサクソンバーグ弁護士にこだわるのか違和感を覚えますが、最後に全てが1本の糸にまとめ上げられるあたり、「やられた〜!」と作者の力量に唸ってしまいます。クローディアは、自分は家族にもっと認めてもらえるだけの価値がある、という想いで家出しますが、そういう気持ちが痛いほど理解できる、思春期の入り口の女の子達に是非、読んで欲しい1冊です。
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日本屈指のファンタジー!
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投稿日:2008/03/27 |
西宮市の小学校で図工教師をしていた作者は、小学校を舞台に、小学生が活躍する物語をたくさん書いています。特に、高学年の男の子を描いたら、右に出る者なし。ストレートな正義感、成長過程での心の機微、女の子との微妙な感覚など、そのリアルさには時に胸が痛くなるほど。これは私に「ファンタジーって、外国の子供が魔法を使って冒険に出る物語なんかじゃなくて、日本の、しかも小学校が舞台で、小学生が主役でも成り立つものなんだ!」と気づかせてくれた作品です。日本の小学生がもしも、これを読まないまま小学校を卒業してしまうとしたら、あまりにもったいなすぎます! 数ある岡田淳作品は『放課後の時間割』あたりから読み始めて、最終的にたどり着いて欲しい究極の一冊です。
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早速、おはなし会で読みました!
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投稿日:2007/08/09 |
松屋銀座で開催された『リサとガスパール&ペネロペ展』、良かったですねぇー! リサ・ガスの誕生秘話や物語作りのヒント、アンとゲオルグ夫妻の制作風景やパリの町散策、そして筆使いまで伝わる素敵な原画達! 一つ一つ舐めるように見てきました。グッズも沢山買いあさり…。勿論、最新作もここで買うことが目当てでした。早速おはなし会で読みました。大人気シリーズですから、これまでに他の作品も読みましたが、これはさすが、日本が舞台。「えー?外国のトイレって、日本と違うの?」とか「お箸、ボク上手に使えるよ!」など興味は尽きなかったみたいです。しかし今回の”ひゃーやっちゃった!”は、スゴすぎます!
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渋めカラーが赤ちゃんぽくない!
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投稿日:2007/08/01 |
男の子って、どーしてこうも工事車両が好きなんでしょうねぇー。おはなし会で読んだら、擬音語がリアルだし、横に、上に、下に広がる仕掛けに、食い入るように見つめる目、目、目。それに、働く車の絵本は数あれど、繊細な筆致で、リアルさを徹底追求。色づかいは落ち着いた渋めなので、赤ちゃんぽくなくて、繰り返し読んでも飽きずに、また新たな発見があるはず。「あの本、買っちゃいました!」と、翌月、話してくれた親子さんがいました。きっと、宝物の一冊になるんだろうな、って嬉しくなりました。
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おはなし会で大ウケ!
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投稿日:2007/08/01 |
『こんたのおつかい』で鮮烈なデビューを飾った作者の2作目です。前作同様、大判で遠目も利き、おはなし会にピッタリ! きゅうりの水滴まで新鮮で、目にも鮮やかな緑に、暑ーい夏を実感できます。かっぺいが次々にかぶりつく物が、実はきゅうりではなくて、とんでもないもの。子供達は最初は驚き、二つ目からは、「えーっ? 今度はなんだろー」と想像を巡らせます。読み手と聞き手が一体となって楽しめる、夏おすすめの1冊です。
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ママ自身が自分を振り返る本
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投稿日:2006/07/06 |
優しく明るい表紙に惹かれて、手に取りました。散らかった部屋、あふれかえるおもちゃ箱、お掃除を手早く済ませて…小さな子供のいる家庭の日常が、リアルに見えます。ママはがらくただと思っても、けんちゃんにとっては一つ一つが思い出の詰まった宝物。石ころ、紙吹雪、みかんの皮…と、けんちゃんの説明からママの気持ちも和らいでゆきます。そしてママも、大切な宝物としてとっておいた、けんちゃんの初めての靴をしまってあったことを思い出します。子供に、というよりもママ自身が、ちょっと子育てに疲れている時に読むと、子供の純粋さや子育ての楽しさに、改めて気付かせてもらえる本だと思います。
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表紙から、引き込まれます!
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投稿日:2006/03/28 |
4年生の読み聞かせに持ってゆきました。表紙からいきなり、物語が走り出します。戦で、火の中に取り残されてしまった赤ん坊を救い出し、親を探しながらの子連れ旅。旅の先々で受ける、人々の優しさにも支えられ、だんだんと成長してゆくふう。お坊さんだけが頼りのふうの、4つ並んだ雪だるまが心に痛いです。途中の子守唄は、雰囲気に合わせたオリジナルを”作曲”。子供達は、シーンと聞き入っていました。最後、親が見つかり、さりげなく去ってゆくお坊さんの潔さ。思いも掛けず巡り会えた、ふうと両親は、涙にくれながらお坊さんを見送るけれど、これからきっと離れていた時間を取り戻すほど、仲良くやってゆける、これで良かったんだと思える年齢は、やはり小学校の中学年以上でしょう。この本は、事前に下読みをしっかりした方が、作者の想いがより伝わると思います。
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迫りくる危険にドキドキ!?
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投稿日:2006/03/24 |
おはなし会で3歳の子達を前に読み始めると、ちゅーちゃんの気持ちになって、勇気を振り絞っておうちから飛び出して、お父さんを追いかけているようでした。ネコが潜んでいる場所を見つけては、「あそこに隠れてるよー!」と指さして、お父さんに教えてあげていました。納屋では、だんだんと忍び寄ってくるネコに、固唾をのんで見守っていましたが、最後は安堵感が広がってゆきました。ほのぼのとかわいらしい絵と、ドキドキ感がほどよくマッチ。途中に出てくる歌も、ちょっとした節をつけてあげると、より楽しいと思います。きっと今夜はみんな、お休み前に「すきすきちゅー」って、やってもらうのでは?
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芸術の秋に最適!
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投稿日:2005/10/17 |
10月の6年生の読み聞かせに、持って行きました。格調高く、美しい絵と波乱の物語、最後の悲しいけれど、そういう形での愛の成就に、子供達は気持ちがが逸れることがありませんでした。意外にも男子が、食いつくように見つめていて、ふだんきれいなものに縁遠い子達にこそ、見せてあげたい本だと思いました。勿論、大人の鑑賞にも充分堪える芸術的な本です。私は、この絵本を読んでからバレエ公演を観ればもっと理解が深まったと、今更ながら後悔したほど、よく出来ています。また、この画家の他の作品があるなら、是非読みたいです。
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