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注目の新人作家さんの作品のご紹介です。

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何だかとっても面白そうな絵本だぞ・・・と思っていると、何とその作品が作者のデビュー作!

当然の事ですが、「新人作家」と一口に言っても、傑作、快作が生まれる瞬間の可能性というのは、常に平等です。「面白いから紹介しよう」と思っている時点では、あまりキャリアは気にしていない事も多いのです。だから、こんな驚きも実は結構あるのですね。

でも今回は、更にその「面白い絵本」が生まれてくるエピソードにとっても興味を惹かれてしまったのです。そこで、「新人作家特集」としてお送りしたいと思います!
お気に入りの絵本が見つけられたら、その時は是非、作家さんを応援してあげて下さい!
また新しい「お気に入り」に出会える可能性が高くなるはずですしね。


◆ 絵本らしい絵本!

最初に紹介させて頂く2冊はこちら↓

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ばけばけばけ ばけたくん』  『ジェリーの あーなあーな
(ともに大日本図書刊)

お二人とも絵本デビュー作なのですが、まずその完成度の高さに驚かされます。
表紙から「何だか面白そうだぞ」「子ども達が喜びそうだぞ」という気配が漂っていますね。
お二人の共通点として「絵本塾」出身、というプロフィールがあります。
(作家になる事を目的としている講座です。)
今回は何と・・・
「絵本塾」の主催をされている
小野明さん(編集者)と増田喜昭さん(絵本専門店メリーゴーランド店主)が
お二人のデビュー作品に寄せてコメントを書いてくださいました!!
「絵本づくりのプロ」である小野さんと、「絵本を売るプロ」である増田さん、
それぞれのお立場からの紹介文はとっても読み応えがあります。
皆さんも、普段とはちょっと違った視点からその魅力を楽しんでください。


小野明さんからのコメントです!

●プロフィール
小野明(おの あきら)1954年、東京生まれ。編集者・エディトリアルデザイナー。
企画、編集、デザインで400冊以上の絵本・児童書にかかわる。
絵本ワークショップ「あとさき塾」を土井章史氏と共同主宰。
1994年度のボローニャ国際児童図書展の日本特集「Dancin’ Colours──90年代日本の絵本原画展」の実行委員のメンバー。共著に『絵本をよんでみる』『絵本をよみつづけてみる』(いずれも五味太郎+小野明╱平凡社ライブラリー)、編著に『100人が感動した100冊の絵本』『絵本の作家たちⅠ・Ⅱ』(いずれも別冊太陽╱平凡社)など。

絵本塾、あとさき塾について
 私は、東京であとさき塾という絵本のワークショップをトムズボックスの土井章史とともに始めて、18年になる。四日市メリーゴーランドの絵本塾ももともとは、15年前に店主の増田喜昭さんに誘われて、あとさき塾のやり方でやってみましょうか、と決めて始めたものである。それほどに、私にとってあとさき塾の方法は、まず、自分の性に合っている。
 で、その方法とは、一、塾生に「教える」ことをしない。二、塾生を作家として遇する。まあ、この二点に尽きるかな。ともかくあとさき塾では、毎回毎回、塾生の気合いの入った(これもポイントのひとつ。だから毎回もってくるとはかぎらない)絵本のラフを、出席した塾生全員に全作回覧し、その後土井と私でそのラフを出版できるようにするため、その時点で足りないと思えることについて述べるのだ。あ、もちろん、そのラフの美点も話しますよ。でもまあ、あとさき塾の場合、それなりの倍率のオーディションをくぐりぬけてきた人達の集まりだから、見込みがあるのは前提として折り込み済み。そのすでにある能力をどうやって出版できるレベルまでもちあげられるか、それについて毎夜毎夜、エンエンと話し合っているのです。


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●『ばけばけばけばけ ばけたくん』『ジェリーの あーな あーな』

シンプルは簡単ではない。シンプルは単純ではない。少なくともつくり手にとっては、そうだと思う。岩田明子さんと矢野アケミさんは、ともにメリーゴーランドの絵本塾にかつて在籍していた。だから、講師として参加していた私は、今回めでたく出版されたこの2作品を、最初のラフからずっと見守るという幸運に浴した。その出版のもとになった最終ヴァージョンへのプロセスを思い返すにつけ、ああ、シンプルって複雑だよなあ、と改めて感じるのですね。
創作においては、多彩で豊かなバックボーンをもっていればいるほど、上がりのシンプルさのエッジがくっきりする。鮮やかになる。しなやかになる。それは絵本のワークショップを20年近く続けてきて得た、確たる実感といえる。
そしてさらに心強いことに、この2作にはユーモアがある。『ばけばけばけばけ ばけたくん』の好奇心のはつらつさ。『ジェリーの あーな あーな』のひかえめなとんでもなさ。その楽しい魅力は、たしかなユーモアに支えられ、より輝く。そしてこのユーモアもまた、多彩で豊かなバックボーンゆえの達成でしょう。いやあ、いいスタートを切れましたね。次作も楽しみだなあ。

小野明


増田喜昭さんからのコメントです!

●プロフィール
増田喜昭(ますだ よしあき)1950年 三重県四日市市生まれ。
子どもの本専門店「メリーゴーランド店主」。
子どもの本の普及、遊びと学びのある子どもの居場所づくりに力を注ぐ一方で、プロの絵本作家・童話作家の養成ワークショップ「絵本塾」「童話塾」を主宰。「四日市こだるま道院」の道院長として、子どもたちに少林寺拳法も教える。著作に『子どもの本屋、全力投球!』『子どもの本屋はメリーメリーゴーランド』(晶文社)などがある。


Ehon_26109.jpg みどころ、立ち読みはこちらから>>>

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●『ばけばけばけばけ ばけたくん』によせて

子どものココロってなんだろう。ちかごろあまりにも大人たちのやさしい言葉の連続で、ほんとうのやさしさが見えなくなってしまうような不安におそわれます。
岩田明子さんの中にある、ちょっとイタズラなココロはきっと子どもにつながる道があるのです。それがカタチになったのが、この『ばけばけばけばけ ばけたくん』でしょう。
次から次へ、いろんなものを食べまくったあげく、ドロンと消えてしまうあたり、さすがです。
それにしても、本として出版された「ばけたくん」はりっぱです。シャンとしてて、かっこいいです。ダミーでみていたときよりずっと白と黒が生きています。
さあ、こんどはぼくたち本屋の番です。子どもたちと楽しみ、いっぱい売ること、手渡すことに専念します。

メリーゴーランド店主
増田喜昭


Ehon_26659.jpg みどころ、立ち読みはこちらから>>>

●『ジェリーの あーな あーな』のこと

33年も子どもの本屋をやっていると、何となく子どもの喜ぶ本がわかるような気がします。
もちろん、次々と子ども達が生まれ、メリーゴーランドにやってくるのだから、少しづつ子どもたちの好みというものが変ってきてもおかしくないのだろうけれど、本質的に子どもの広い視野と何でも受け入れてくれる広い心には驚かされるのです。
大人たちの読んであげたいキモチが子どもにはよーく見えているのでしょう。
と、しても、この「あーな」の本は、大喜びする子ども達の顔が目に浮ぶ。ジェリーが大好きな穴は、子どもも大好き、できればいっしょにおでんのちくわの穴にもぐりたい気分なのです。
作者の矢野アケミさんは、そこんとこをよっく知っていて、(いや本能かな?)次々と楽しい作品を生みだしていく。このジェリーシリーズでも次々と続編が出るでしょう。絵本のサイズも色あいも、とても楽しい空気をつくり出しています。きっとファンが増えることでしょう。
もうぼくは、そのファンの第一号なのですよ。

メリーゴーランド店主
増田喜昭

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作者の矢野さんと増田さんの2ショット、いい写真ですね・・・。


◆ 「純真無垢」な絵本

冒頭では「傑作、快作」にキャリアは関係ない・・・と申しましたが、
「デビュー作」ならではの輝き、というものも確かにあるのかもしれません。

絵本を描く楽しさ、瑞々しさに溢れているのがこちら↓

Ehon_26876_a.jpg みどころ、立ち読みはこちらから>>>

ピーちゃんのわくわくないちにち』(文溪堂刊)

「絵本が自然に生まれてくる」なんて事はないのはわかっているのですが、
絵本を読んでいても、作者御本人のコメントを読んでいても、
なんだか「ポロン」と転がるように生まれ出てきてしまった様に感じられるのです。
そう思わせてくれる所がきっと才能なのでしょうね。

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作者のスミカワテルコさんに、絵本製作に於いての過程話をお伺いしました。

ねこのピーちゃんというキャラクターは、わたしが専門学校時代に、実家で飼っていたクロネコのプーちゃんをモデルにして描いたらくがきから生まれました。プー(Pooh)という名前の頭文字をとってピーちゃんという名前にしたのです。初めて描いたその瞬間から、とにかくよく動くキャラクターで、じっとしていません。私が課題の下描きをしていたり、らくがきをしている時でも、ピーちゃんは気が向いたときにやってきて、スケッチ帳の上を自由きままに散策。好きなだけ遊んでいくのです。当時は鉛筆で描くことが多く、色を塗る場合は、黄色く塗ったりもしていましたが、特定の色をもつキャラクターではありませんでした。
 それから数年後、家の近所を歩いていたときに、突然ひとつのフレーズが、わたしの頭をよぎります。
「うちのねこは ぜんしんピンク、あらっても ピンク・・・・・・」
ねこがピンクだなんて、おもしろいなぁ、と思い、ピンクのねこはどんなねこだろうと想像した時に、私の頭のかたすみからヒョッコリ、ねこのピーちゃんが陽気に顔を出してくれたのです。
「アレ?ピーちゃん、ピンクいろに なってみたい?」私がきくと、ピーちゃんは、なんだかうれしそう、からだをモジモジさせながら、小さくうなずきました。こうして晴れて、ピンクのねこのピーちゃんが誕生したのです。
 「ピーちゃんのわくわくないちにち」をつくるにあたって、わたしが一番に心がけたことは、ピーちゃんというキャラクターのもつ自由さ、天真爛漫さ、好奇心旺盛さといった、本来の素質を、できる限りそのままの状態で表現し通すということです。ストーリーの中でも、わたしが、ちから技でピーちゃんを動かしてしまわないよう、つねに心がけたつもりです。
 いま、ピンクのねこのピーちゃんは、わたしのスケッチ帳や、机の上から、絵本というとても居心地のよい空間にまで動きだしました。やっぱり、じっとはしていられないようです。この絵本はよんでくださった方に、すこしでもピーちゃんのわくわくが伝染してくれたら、これ以上にうれしいことはありません。

スミカワ テルコ


◆ 大御所新人!?

最後に・・・
新人作家さんとして紹介するにはあまりにも迫力のあるその存在感!
がとっても気になるこちらの方>>>
デビュー作ではなく絵本2作目ですが、ご紹介させて頂きます。

Ehon_26440.jpg みどころはこちら>>>

カバサンチとアドバルーン

表紙を見ると、ほのぼのとして、とても可愛らしい雰囲気ですが、
背後に感じる壮大なスケール観は・・・
阿部さんは何と、現役として大活躍されているアニメーション監督さんなのです。
絵本「あらしのよるに」の劇場版アニメの美術監督も手掛けらたそうです。
だから、絵を描く事に関しては完璧なプロなのですね。
「どんどん どんどん いくらでも筆が進む・・・」なんて事も伝え聞いています。

ダイナミックなストーリー展開、印象的な場面の数々、細かく描き込まれた背景・・・
などなど見所満載な一冊になっていますが、
こんな経歴を念頭に読んでみるのもまた面白いですよね。
そして、今後どんな絵本をつくっていってくれるのか、とても期待してしまいます!

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「カバサンチとアドバルーン」を制作する際の過程話を聞かせて頂きました。

今回、カバサンチを描くにあたって。
当初、家族のきずなと、エコロジーをからませたストーリー展開にしたため、少し難しくなってしまいました。
思い切って、エコロジーをはぶいてみると、だいぶ、すっきりとした感じになりました。
エコロジーは、非常に大切なテーマですが、いずれ改めて取り組んでみたいと思っています。
家族はひとつ、たとえ難問が振りかかってもみんなで考えたり、みんなで話し合ったり、みんなで力を合わせればなんとかなるさと思う事が大切だと思います。
いつもポジティブにね。

阿部行夫


※特集の為に、阿部さんが「カバサンチ」のフィギュア(人形)を作ってくださることになりました!!期間中(2009/3/25~2009/4/1)に「カバサンチ」をお買い上げ頂いた方の中から
抽選で1名様にプレゼントさせて頂きます。
これはかなり貴重ですね・・・。
(現在制作中だそうです。完成品はまた追ってアップさせていただきます!)
↓↓↓↓
★★「カバサンチフェギュア」の完成品が届きました!★★
こちらからご覧ください。>>>

今後も面白い作品が登場した時に、引き続き特集をピックアップしていこうと思っています。
お楽しみに・・・。

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