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絵本エイド第4弾「絵本・児童書を被災地避難所へ届けよう」プロジェクト経過報告

(この報告記事は絵本ナビ代表カナガキの熱い想いで綴っており、表現が至らない点があろうかと思いますが、なにとぞご容赦いただけますようお願い申し上げます)


絵本エイド第4弾 ハイライト

2011/3/29

「今、被災地の避難所で、不安で退屈な想いをしている子どもたちに絵本を届けてあげられないか」
と、多くのユーザーさんからお問い合わせをいただいていました。
ツイッターで、「絵本は生活必需品ではないけれど、心の必需品だと思う」とつぶやくと、多くの方から共感の声をいただきました。
一方で、実際に避難所へ届けるルートがなければ、絵本を送ってもむしろ現地の方にとって迷惑にもなりかねない。
このジレンマに悩みながら、なんとかルートがないものか、情報収集を進めていました。


ちょうどその時、富士山マガジンサービス(Fujisan)の西野社長からお電話をいただき、
プレスリリースに記載の経緯にて、Fujisan(雑誌)、ネットオフ(書籍・コミック)、絵本ナビ(絵本)の3社連合で本を被災地避難所へ届けるプロジェクトのお声掛けをいただきました。最大の懸案である現地の物流に関しては、自民党東日本巨大地震・津波緊急対策本部の救援物資対策チームの協力で、すでに生活必需品を届けているルートで本が届けられるとのこと。
まだ詳細は決定していなかったものの、絵本ナビとしてぜひ参加したい旨を申し出ました。


宮城県、福島県の数百箇所の避難所に絵本を届けることができる。


この話を聞いたとたん、避難所にいる子どもたちの顔が頭に浮かんできました。
僕自身、パパ's絵本プロジェクトで7年間にわたり全国各地でおはなし会をしてきました。
岩手県の宮古市にも複数回呼んでいただき、子どもたちと絵本を読んできました。


避難所で寂しい思いをしている子どもたちがいて、そこに絵本を届けるルートがある。
しかし数日後に数百箇所。そんなに多くの絵本を集めている時間がない。絵本がない。


そう思ったとき、オフィスの本棚にある多くの絵本が目に入りました。
そうだ、絵本ナビにはすてきな絵本が数千冊もあるじゃないか。
ここに絵本がある。これを届けることができる。絵本と、ルートが揃いました。
僕らが、絵本ナビという事業をやっているからこそ出来る役割を、果たすことができる。
(今届けるから・・・待っててね)
そんな想いで頭がいっぱいになり、体が熱くなりました。


絵本ナビのオフィスにある数千冊(結果約5千冊でした)の絵本は、10年前に絵本ナビを設立してから集めてきた大切な絵本です。

でも今、被災地の避難所にいる子どもたちは、もしかしたら自分の子だったかもしれない、自分の子の友達だったかもしれない、そうであったらどうしたいかを考えました。

電話をいただいたのが、午後6時。その5分後に、オフィスにいたスタッフに伝えました。

「オフィスの絵本を全部、被災地の避難所に送ろう。明日の午後にすべてを発送できるように手配して欲しい。

蔵書は後でまた揃えられる。今まさに寂しい思いをしている大勢の子どもたちに届けようじゃないか。」

あまりに突然な、無茶な社長の話だったけれど、返ってきたのは、

「・・・ダンボールが必要ですよね。早速手配をかけましょう。」

「・・・そうしたら、輸送のためのトラックがいりますね。僕は2tトラックを運転できるので、トラックを手配しましょう。」

「作業タスクと担当を決めますので、まずは冊数の見積もりをしますね」

という、驚くほどポジティブな声でした。

とはいえ、これらの絵本は絵本ナビ編集部にとっては大事な仕事道具なわけで、帰宅途中のイソザキ編集長に電話して事情を話しました。

移動中で途切れ途切れの会話の向こう側からはイソザキ編集長の驚いている様子が感じ取れたものの、「・・・わかりました。やりましょう!」と力強い返事が返ってきました。

翌朝から作業に入る為には、今夜中にダンボールを入手し、トラックを手配しておく必要がある。

引越しシーズンでどの業者もいっぱいな中、タカハシのコネクションで連絡をつけた引越し業者のムービングエスさんがこのプロジェクトを意気に感じてくれ、夜中の12時にダンボール150枚を届けてくれることになりました。

シノはあちこち何件もあたってトラックを手配完了。

よし、これで送れる、と確信したものの、実際の発送については3社連合と救援物資対策チームの段取りが整うまで待つ、ということになりました。

結局、この日のアクションは僕の先走りに終わりました。トラックはキャンセルし、先走りをスタッフに詫びましたが、振り返ってみるとこの夜、数時間の間に意思決定から作業の段取り、必要な物資やトラックの手配まで完了させる予行演習をしたことで、スタッフみんなが本番プロジェクトの成功を確信できたのだと思います。

そして夜中にオフィスで大量のダンボールを受け取りながら、「もし発送まで数日間の猶予があるのなら、絵本ナビユーザーのみなさんの想いも一緒に届けられるかもしれない・・・」と考えていたのでした。


2011/3/30

この日の夜遅く、Fujisan西野社長から「プロジェクトの詳細決定」のメールが入る。
埼玉県入間郡のFujisan配送センターに4月6日12:00に各社の本を集め、宮城県と福島県向けのチャータートラックに分乗させて17時に出発することとなりました。
与件は決まった。この条件で実施できるベストのことは何か。
翌朝一番にマネージャーミーティングを招集し、夜の間に絵本ナビとしての実施事項のアウトラインを一気に起案。
6日12時に埼玉県に着荷から逆算し、絵本寄付の募集をかけるなら4日必着が締め切り、5日中に荷物の準備を完了させなくてはならない。
そこまでのタスクとスケジュールを具体化して落とし込んでいきました。


2011/3/31

朝一番にスタッフに集合をかけ、前の晩に作成したタスクリストをもとに、作業分担を決め、具体的な作業内容を詰めていきました。
ユーザーの皆さんへの募集要項、出版社さんへの声かけ内容を決め、サイトへの掲載は今夜、メルマガでの告知は明日の午前中としました。

メルマガでの告知から受付締め切りまで中2日間、集まる絵本は限られるだろうけど、絵本ナビユーザーのパワーはしばしば僕らの想像を超えるため、もすかしたらそこそこ集まるかもしれない。
ユーザーの皆さんと出版社さんからの絵本到着は週明けの4/4に集中するだろうから、その前に絵本ナビオフィスの蔵書を仕分け梱包しておく必要がある。
様々な想定をしながら、各人が作業をブレイクダウンして具体化していきました。

オフィスでの仕分け梱包作業はイソザキ編集長が現場監督として取り仕切り、皆がサポートすることにしました。
サイトでのアナウンス・情報設計・ページ制作はマーケ担当のムラマツが仕切り、広報・法務・会計などの後方支援は絵本ナビのゴールキーパーこと管理部長のオクダイラがいつものとおり仕切りました。
60社以上の出版社対応を一手に引き受けている営業担当シノが、取引出版社各社宛に絵本の寄付を呼びかけるメールを送信。
個人ユーザーさん向けの対応マニュアルをショップ担当のフジマキを中心としたカスタマーサポートチームが作成、
夜には、個人ユーザーさん向けに絵本の寄付を呼びかける文章をブログとサイトに掲載して、twitterの絵本ナビ公式アカウントと金柿のアカウントで呼びかけを開始。twitterのツイートが次々とリツイートされて広がっていく様子を見て、予想より多くの方が参加してくれる予感がしていました。


2011/4/1

朝一番に移動式ホワイトボードに作業手順が書き出された。
さらに、被災地の避難所で子どもたちが読むという前提で、「送付から外す作品」についての注意書きが貼り出される。
この基準は非常に難しいが、誰も正解を持っていない中、そこにいる子どもたちの気持ちに寄り添って判断するしかない。
気になった作品はすべてテーブルに集め、最終的に編集部が判断していくことになった。
僕らなりに作り上げた絵本ナビオフィスの蔵書棚。
その姿を撮影し、またデジタルハリウッド出身のタカハシのアイデアで、作業の様子を定点カメラで撮影していくことにしました。

スタッフ約20名がそれぞれの想いを胸に作業用の服装に軍手姿で集合。
「今日はみんなにとって忘れられない一日になる。みんなが避難所の子どもたちのことを思って作業しよう。」
いよいよ作業開始だ。

この日からほとんどの実作業は僕が具体的な指示をすることなく行われた。
僕はこのプロジェクトを意義あるものにするためのアクションに集中させてもらった。

僕らの想いを、皆さんの想いとつなげたい。
皆さんの想いを、避難所の子どもたちに届けたい。
そのための言葉を選び、サイトとメールマガジンに込め、昼前に配信しました。(続く)

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