『こどもる』。なんとも不思議なタイトル。 中を見ると、色鉛筆を使って描かれた、色鮮やかなたくさんの子どもの姿。 口を開けている姿は「声る」、ゴミを触っている姿は「ごみる」、 ガラスに貼りついている姿は「ガラスる」……。 子どもたちの動き、目線、興味のある物、それらの後ろに、すべて「る」がついているのです。 どうして「る」がついているの? 「る」がついているということは動詞って意味? ……など、いろいろ考えてしまいそうですが、ここはただ純粋に、子どもたちの動きを楽しむのが正解。 絵本の中の子どもたちの、無心で、一生懸命で、ひたすら楽しんでいる姿をじーっと見ていると、これが「こどもる」ことだというのが、実感できます。 子どもたちのありのままの姿を「る」という言葉をつけて、表現した荒井良二さん。 1990年に処女作『MELODY』で絵本作家としてデビューし、その後、第46回小学館児童出版文化賞、ボローニャ国際児童図書展特別賞、アストリッド・リンドグレーン記念文学賞など数々の賞を受賞した、日本を代表する絵本作家のデビュー25周年を記念して出版された作品です。
(木村春子 絵本ナビ編集部)
荒井良二、絵本デビュー25周年記念作品!
「ちちる」、「よだる」、「ひなたる」、「スイカる」、また「ちちる」。 なにかをするために動くのではなく、興味のあるモノがそこにあるから動く、そういう子どもならではの衝動を、簡単な言葉にすると「こどもる」となったというわけです。 まさに子どもあるあるのオンパレード。 ちょっとしたしぐさ、表情、眺めているだけで笑みがこぼれてきます。
子どもの自由奔放な姿がぎゅっとつまった絵本。
脈絡もなく「※※る」で終わる言葉たちと、そんな言葉とセットになったような幼児絵。
このすご技に圧倒されます。
覚えたばかりの言葉で、勝手に応用編をつくる、意味不明の可能性の塊を、荒井さんはしっかりと理解されているようです。
同じ言葉が繰り返されたり、何の絵だかもよくわからない絵を描いて見せる荒井さんは、本当は幼児なのではないでしょうか。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
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