北の国に住むトロップは、夏のお祭りのとびあがり競争の練習をしますが、兄さんのように高くは跳べません。それを見ていたまほうつかいは、跳び方を教え、魔法の黄色い紐を靴に結んでやります。でも、跳ぶときに声を出すなと言われたのを忘れ、お祭りの日に跳ぶとき、大声で「ぴょーい」と言ってしまうと……。躍動感あふれる絵本。(「こどものとも」84号)
『とんだトロップ』は、同じタイトルで、2冊でています。横長の「こどものとも」版(1963年)と、縦長のハードカバー版(1998年)です。おはなしの大筋は同じですが、文章も絵も違い、内容も細かいところで少し違います。
まほうつかいの大男は、前者では一人ですが、後者では兄弟二人です。おまじないの言葉も違います。比べて読むのも面白く、どちらが好きかは人によって分かれるようです。
小野かおるさんの絵は味があり、登場人物の表情が豊かで親しみやすく感じました。お兄さんのように何でもできるようになりたいと憧れるトロップ。頑張って頑張って、ジャンプの練習をするトロップに 少し上を目指したい 子どもらしい感情が伝わってきました。そして、力みすぎて、おまじないの言葉を間違えて、トロップが どんどんどんどん 高く高く飛んでしまうところが面白かったです。
ジャンプ競争のごほうびの靴を お兄さんと分かち合って(「こどものとも」では変わりばんこに、ハードカバー版では、かたっぽづつ履いています)、使っているところは微笑ましく、兄弟の仲が良いことが感じられて、良いなぁと思いました。 (なみ@えほんさん 50代・ママ )
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