今日はやぎやま小学校の入学式。
色とりどりのランドセルを背負っているのは、この春一年生になったばかりの八ぴきの小やぎたち。
そして一年生はもうひとり。校長先生のとなりで白いワンピースを着てかちんこちんになっているやぎこ先生です。
「は、はじめまして。たんにんのやぎこです。このはる、先生になりました」
このやぎこ先生、いったいどんな先生なのかちょっと教室の様子をのぞいてみましょう。
「はる」
毎日学校に着ていくワンピースの色で悩むやぎこ先生。授業もなんだかうわの空です。そんなやぎこ先生に、小やぎたちが考えたワンピースを着る順番は?
「なつ」
きゅうしょくの時間、にんじんがきらいなやぎこ先生は、好き嫌いがばれないようににんじんが大好きだとうそをついてしまいます。すると小やぎたちがにんじんをどんどんやぎこ先生に持ってきて山盛りに‥‥‥。困ったやぎこ先生のなみだにひとり気づいたベエきちくんがとった行動とは?
「あき」
うんどうかいの日、真っ白な校庭とたくさんの白いやぎと真っ白な体操着という白づくしの光景に、ねむたくて仕方なくなってしまったやぎこ先生は、ほしくさの中へ。そのうち「ほしくさ玉ころがし」が始まって、なんとやぎこ先生も一緒に転がされてしまって……。
「ふゆ」
かん字のテストをすることになったこくごの時間。細長くとんがった「山」は「トンガリ山」、川の下に3本のニョロニョロを書いて「ニョロニョロ川」。ほそながい「月」で「みか月」……。小やぎたちがどんどんユニークな漢字を生み出していきます。では学校の「校」はどんな漢字になった?
入学したばかりの元気いっぱいの小やぎたちと、楽しい事件を巻き起こすやぎこ先生のハラハラドキドキの一年間。季節を追いながら、全部で7つのお話が収録されています。子どものように純粋で無邪気なやぎこ先生の周りで小やぎたちはとっても楽しそう! そしてやぎこ先生の背中をみながら、たくましく成長していきます。
お話を描かれたのは、『おばけの長七郎』や『こだぬきコロッケ』など可愛らしくてユーモラスな作品が人気のななもりさちこさん。本作品にもななもりさんのユーモアと優しいまなざしが溢れています。大島妙子さんの描くやぎこ先生と小やぎたちには笑顔がいっぱい。自然豊かな校庭やのどかな教室のイラストも明るくほっこりとしていて、お話をいっそう楽しく彩っています。
こんな学校あったらいいな、こんな先生に会えたらいいな。とホッと気持ちをゆるませてくれるような学校のお話。入学前の子どもたちや、緊張している新一年生に読んであげて下さいね。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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