「なんだろな。なんだろね。
そう ゆき。
あ、ふってきたね。
ゆき……だね。」
いま、まさに雪が降ってきたことを、子どもにやさしく語りかける言葉からはじまるこの絵本。
この絵本は「語りかけ絵本」と称され、赤ちゃんへ語りかける言葉でつづられています。
「ゆき」について、「しろい、つめたい、とける」といったイメージはなんとなく持っていても、まだ本物にふれた経験のない子がほとんどですよね。
そうした「ゆきってなんだろう?」という漠然としたイメージを、
「おでこにあたったよ。
……きえちゃった。
また、あたった。
……つめたい!」
などと五感に働きかけながら、やさしく語りかけて伝えてくれるんです。
作者のこがようこさんは、絵本作家・絵本コーディネーターであり、長年「語り」の活動をされています。読み聞かせは子どもの発達に効果的と言われ、赤ちゃんにも読み聞かせしてあげねばと意気込むパパママも多いと思います。
ですが、赤ちゃんへの読み聞かせって、どうやっていいのか分からないというお悩みもよく聞きます。そんなお悩みをこの絵本は解消してくれるんです。なぜかというと、絵本の文章をそのまま読めば、自然に赤ちゃんに語りかけができるよう作られているからなんです。
しかも、後ろの見返しには「語りかけちょこっとヒント」もついていて、絵本を読んだあと、さらに赤ちゃんとの手遊びに発展させていくこともでき、初めての読み聞かせをいろいろな形でサポートしてくれます。
「ゆき」は、ひとつぶひとつぶは小さいけれど、集まると真っ白になってさまざまな形に変化する、というふしぎな存在です。そんな雪を、はらはらと降ってくるゆき、積もって一面銀世界のゆき、と優しい絵で視覚的にも分かりやすく表現することで、赤ちゃんに「これがゆきよ」と効果的にイメージを伝え興味をうながしてくれます。
そんな赤ちゃんへの読み聞かせのために、すみからすみまで考えられて作られた「かたりかけ絵本」は、本作でシリーズ6作め。赤ちゃんに、この絵本で語りかけながら、「ほら、これが冬になるとふってくるんだよ」と伝え、親子で楽しいひと時をお過ごしください。
(徳永真紀 絵本編集者)
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