「かいじゅうたちのいるところ」でお馴染みのモーリス・センダックと「にんじんのたね」「はなをくんくん」のルース・クラウスがタッグを組んだ最高にかわいい絵本の登場です。原題は"Bears"なのですが、石津ちひろさんに翻訳された日本語のタイトルは「くま!くま!くまだらけ!」。
なんて素晴らしいネーミング。これはもう手に取らないわけにはいきません。
きぐるみを着た男の子は、眠る時もいつも大好きなテディベアと一緒。
だけど、やきもちを焼いたワンちゃんに、くまのぬいぐるみを連れ去られちゃった!そりゃ一大事!
男の子は、何故かフォークを片手にワンちゃんを追いかけるのですが、階段にもイスにもお風呂場にもどこにいっても「くま!くま!くまだらけ!!」なんですもの。もう誰がどれが自分のテディベアなんだかわからない。気がつくと男の子はお家の外へ。どんどん登場するくまたちを尻目に男の子はひたすらワンコをつかまえようとするのですが・・・。
あれ、この主人公の男の子、どこかで見たことあるような・・・もしかしてお母さんに叱られて家出しちゃうあの子?オオカミのきぐるみを着た誰かに似ているみたい。
全編を通して、センダックのクレパスの太い線と手描きタッチの文字がとても可愛らしく、登場するくまたちの強気の表情がこれまたなんとも言えません。小さな子どもにもぴったりの、短いけれど、軽快で絶妙な石津さんの日本語が絵本の中で優しく転がっています。
いすに くま すわる
いすのしたにも くま いすわる
思わず真似したくなるほどリズミカルで心地よい愉快な言葉と予想のつかない物語の展開に、読み聞かせも一層、楽しくなりそうです。おやすみのベッドに入る前に男の子と一緒に「くまだらけ」の世界に遊びにいってみませんか。
この絵本は、徳間書店の創刊20周年記念作品です。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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