ぼくの名前は、アラン・ラビノヴィッツ。
人前でうまく話すことができない発話障害をもっている。説明しようとすると、ぼくのくちびるはうごかなくなる。先生たちは、そんなぼくをしょうがいのあるクラスにいれた。でも、本当はすらすらと話せる。なぜだかわからないけれど、ぼくは動物たちの前だとうまく話せる。動物たちには、ぼくのきもちが伝わっている。言葉がでてこないぼくと一緒で動物も言葉を話せない。だから、人間は動物たちの気持ちがわからずに勝手にきめつけていじめたり、殺したりする。ぼくを無視して、誤解してきずつけるのと同じだ。幼い頃に自身の障害に苦しみながら、動物に心を通わせたラビノヴィッツ少年は自分のペットやよく通ったNYのブロンクス動物園にいる大好きなジャガーにこう約束します。
「じぶんの声をみつけられたら
ぼくがかわりに君たちの声を伝えるよ。
そして、動物をきずつけるのをやめさせる。」
障害と向き合い、訓練をすることで吃音を克服した僕は、その後動物たちの心を代弁するべく、動物学者となり、野性動物、主に大型ネコ科動物の保護活動に生涯を捧げることになります。そう、この絵本は世界的権威のある動物学者アラン・ラビノヴィッツ氏の自伝です。子どもの頃にみた檻の中のジャガーの悲しい瞳を思い出しながら、ジャングルの中で生きる野生のジャガーと見つめあい心を通わすシーンには思わず胸が熱くなります。
彼にしかできないこと。
決して挫けず使命を全うしている主人公の努力、勇気、行動力、そして動物たちに対する無償の愛に心から励まされます。最後に、ラビノヴィッツさんが一言、ジャガーに伝える言葉があります。
是非、絵本を読んで感じてください。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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