女の子の新しいおふとん――。女の子が小さかった頃の洋服や古いカーテンをパッチワークにして、パパとママが作ってくれました。これは2歳のときのワンピースの布。あっちのは赤ちゃんのときのカーテンの布。星や花、風船やオットセイ、ピエロの模様……いろいろな布が縫い合わされたおふとんには、たくさんの思い出が詰まっています。その新しいおふとんをかけた夜、女の子は夢を見ます。女の子はいつの間にか、色とりどりの風船がたくさん売られ、オットセイやピエロが芸を披露するサーカスを訪れていました……。
原題は"The Quilt"。いろいろな布をつなぎ合わせるパッチワークは、思い出作りにもよく利用されます。女の子の両親も一針一針、思いを込めてはぎれを縫い合わせ、愛娘のためにおふとんを作ったのですね。その光景は、特別なおふとんを眺めて、懐かしそうに昔に思いを馳せる女の子の様子からもたやすく想像できます。 幸せな気持ちで眠りにつく夜、女の子はいつの間にかおふとんの模様の世界に入り込んでしまうのですが、この現実からファンタジーへの移行は、とにかく見事の一言につきます。どの模様がどの景色に変わるのかの探索は、この絵本を開く一番の楽しみといえるでしょう。グラフィックデザインの世界で長く活躍した作者ならではの感覚がうかがえる場面です。夢の世界から現実に戻る描写も、もちろん必見です。 作者はこの絵本を長女ニーナに捧げています。おふとんを通して、ファンタジーの醍醐味と共に、子供を思う温もりがたっぷりと示された作品です。 ――(ブラウンあすか)
小さくなった洋服の端切れで、パパとママが作ってくれたおふとん。手作りのパッチワークから広がる夢の世界を鮮やかに描いた絵本。
趣味でパッチワークキルトをするので、この絵本はとても親近感がわきました。子どもの小さい頃の思い出の布を張り合わせてベッドカバーにするなんて、憧れの極みです。そして、そのキルトの上に寝た娘さんがベッドの上であれこれ想像の世界へ飛んでいけるなんて・・・うっとりしながら読み進めました。
最近はめっきりキルトをしていなかったのですが、この絵本を娘と一緒に読んでいたら、また針をもちたくなりました。娘たちのベッドカバー作成に挑戦しようかなと思います。 (クッチーナママさん 30代・ママ 女の子8歳、女の子5歳、男の子3歳)
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