木の下に置いてあったゲーム「ジュマンジ」は、ピーターとジュディの持っているたくさんのゲームによく似ていた。でも二人は退屈していたので、試しにそのゲームをやってみることにする。さいころを振り、コマを進めたら、動物たちが目の前に現れ、家の中がジャングルになることなど夢にも思わずに……。
前作『魔術師ガザージ氏の庭で』に続く、少年少女向け絵本の第二作目。平凡な日常を一変させるゲームを描くことにより、現実と幻想のはざまを揺れ動くオールズバーグならではの不思議な世界を生み出しています。コンテ鉛筆で白黒の挿絵の中に影と光を表現し、豊かな色彩感覚を盛り込む技術は見事としかいいようがありません。空間の奥行きを豊かに感じることができ、読者はあたかも絵の中に引き込まれるかのような錯覚にとらわれます。細部への気の配り方も、作者の物をとらえる確かな目を感じさせます。 お話は、ピーターとジュディのスリルに満ちた、異様な冒険と共に進められます。ライオンやサイ、サルが現れ、スコールが降り、火山が爆発する……。ゲーム上の出来事が現実に起こる光景には、読者もハラハラ、ドキドキ、手に汗握ることでしょう。本作品で1982年コルデコット賞を受賞したこともうなずける大作絵本です。 ――(ブラウンあすか)
オールズ・バーグの大ファンとなったのは、『急行「北極号」』でした。
以来彼の作品に出会う度、必ず私は彼の絵本の中に引き込まれ、特異な体験をして、絵本の外へと出てきます。
この作品も息子が生まれる3年前に映画化され、世で騒がれていました。
その記憶で、息子が6歳の頃借りてきました。
先に奥付を読んで驚きです。
1982年に発表された絵本で、その13年後に映画化されたものだと知りました。
きっとこの絵本に心揺さぶられた当時の少年少女たちが成長し、何かしらの形できっとこの映画製作に関わっているに違いないと思いました。
ジャングルをテーマにしたボードゲームを公園で拾ったジュディとピーター姉弟。
両親の留守に、家でこのゲームを始めてしまいます。
さいころをピーターが振り「七」が出てコマを七つ進めると、本物のライオンが魔法のように現れて・・・。
リアルサイズの動物たちが出てくるばかりか、雨は振り出し、火山の爆発までもが二人の家の中で起こります。
あまりの迫力にゲームをやめたくなるピーターですが、このゲームの〈注意書き〉にあるように、誰かがジュマンジにたどり着かなければ終われないという約束のゲーム。
読んでいて手に汗を握る展開です。
6歳の息子には、少々長いお話のはずが、すっかり夢中になり聞いていました。
この後レンタルビデオで映画をとも考えましたが、一人読みができるようになって、もう一度息子が読んでからにしようと思い直しました。
絵本を通し子どもたちが頭の中で繰り広げる想像の世界こそが、なんの制限も押し付けもない自由な活動のできる場所だと思ったからです。
今回久々に開いてみて、オールズバーグさんの絵の技量・魅力に傾倒です。
白黒の挿絵にもかかわらず、読者それぞれに想像を通して、たくさんの色彩を見せてくれます。
空間の奥行きの表現の巧みさ・光と影の配分等ため息の出てしまう作品だと改めて魅了されてしまいました。
こういう作品は、大切に伝えて行きたいなぁと思います。 (アダム&デヴさん 50代・ママ 男の子12歳)
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