絵本紹介
2021.08.24
絵本の一番の魅力といったら、やはり「絵」。
子どもだって、一目見ただけで「すごい!」と心を惹かれる「絵」の本があるでしょう。ここで紹介する13冊の絵本は、どれも「絵力」が強いものばかりです。
緻密な線、大胆な筆遣い、キレイな色の組み合わせ……絵本作家さんたちは、それぞれ工夫を凝らして、1枚1枚の絵を描いています。絵にじっと見入っていると、絵本作家さんたちの息づかいまでも感じられるような気がしませんか?
たまには「売れている」「評価が高い」という指針から離れて、子どもや自分の直感と感性を信頼して、気になる表紙の絵本を選んでみるのもおすすめです。ひょっとしたら、新しい絵本との出会いがあるかもしれませんし、お子さんや自分の意外な感性を知るチャンスになるかもしれません。
出版社からの内容紹介
ぼくのむらでは 20ねんにいちど「やまがみさま だいまんぷくまつり」という とても だいじな おまつりが あります。やまのむこうから やってくる やまがみさまのために、きょだいな おべんとうを つくる おまつりです。
20年にいちどやってくる「やまがみさま」のために、村中で力をあわせて巨大なおべんとうを作ります。やまがみさまっていったい誰? このお祭りはいったい何のため? 細かく描き込まれた絵も、お話の謎も楽しい、何時間でも楽しめる絵本。
この書籍を作った人
1976年生まれ。茨城県出身。多摩美術大学絵画科油画専攻卒業。卒業後は個展などで作品を発表をしながら雑誌、テレビ、広告、などのイラストレーションで活動。本書がはじめての絵本。おもな受賞に、グラフィックアートひとつぼ展入選(1999年、2002年、2005年)、ターナーアクリルアワード入選(2001年〜2005年)、第29回ザ・チョイス年度賞入賞(2012年)などがある。
出版社からの内容紹介
川平慈英が沖縄で育った少年時代の親友との大切な思い出を描いたお話に、絵本作家ミロコマチコが大胆にいきいきと絵を描く。いたずらして笑ってる時、ケンカして悲しい時、台風が来て大変な時、どんな時もたいようはわらっている。
この書籍を作った人
1981年、大阪府生まれ。画家・絵本作家。2004年から画家として活動を開始。個展やグループ展など、作品展示を全国各地で精力的に行い、伸びやかな作風で、動物や植物を生き生きと描き、注目を集める。おもに子どもを対象としたワークショップにも力を注いでいる。2012年、『オオカミがとぶひ』(イースト・プレス)で、絵本デビュー。同作で2013年、第18回日本絵本賞大賞を受賞、『てつぞうはね』(ブロンズ新社)で第45回講談社出版文化賞絵本賞受賞、『ぼくのふとんは うみでできている』(あかね書房)で第63回小学館児童出版文化賞受賞。2018年に第41回巌谷小波文芸賞受賞。画文集に『ホロホロチョウのよる』(港の人)、装画と挿絵の仕事に『サバンナの動物親子に学ぶ』(羽仁進 著/講談社)、『きみの町で』(重松清 著/朝日出版社)などがある。美術同人誌『四月と十月』の同人。
出版社からの内容紹介
おいしそうなシチューのにおいをかぎつけた きんじょのひとたちが、つぎつぎにアーモのアパートにやってきた。そのひとりひとりに きまえよくシチューを わけてあげたのだけど……。アーモ、そんなにあげちゃって だいじょうぶ?
作者オーゲ・モーラの両親はナイジェリア出身で、イボ語が母語でした。「アーモ」は「女王」という意味です。オーゲにとっては「おばあちゃん」をよぶときのことばでした。おばあちゃんは、大きなお鍋をまぜながら、ラジオの音楽に合わせて楽しそうに体を揺らしていたそうです。お鍋の中身はたいていシチュー。夕食の時に近所のひとが来れば、一緒にいかがと誘いました。そうした思いやりや愛にみちた精神が、この本のもとになりました。
みどころ
アイルランド生まれの絵本作家、独特のあざやかな色合いが印象的な、クリス・ホートンの絵本です。
海のそばの、岩の窪みに暮らしているのは、大きなカニカニと小さなカニカニ。
ページをめくると、見開きいっぱいにそびえたつような、黒々とした大きな岩が描かれます。
小さなカニカニは、ある日、窪みから岩をこえて、はじめて大きな海へ……。
といってもそう簡単には行きません。
チョコチョコッと岩をこえ、チャポチャポッと潮だまりをぬけ、ねばねばっとすべりやすい海藻をこえ……ついに海!
大きな波頭が立つ海を前に、「はいらないほうがいいかもね」という小さなカニカニ。
そこへ大波が来て……!?
意気揚々とどこまでもいける!と進んできたものの、荒々しい海に「にがてかも」「もうかえったほうがいいかも」と慎重になるカニカニ。
一歩ふみだしては、手ごたえを感じ、大波をかぶっては、ひきかえしたくなったり。
絵本ならではの盛り上がりの強弱、ページ展開、おはなしのリズムが秀逸です。
とうとう大きな海に入り込んだあとの世界を、ぜひ体験してください!
大判絵本ならではの迫力、すばらしい美しさをあじわえますよ。
「思うに……かもね」ともったいぶったカニカニに、にやっとしたくなっちゃう。
カニカニと一緒に海へふみこんだ、読者の私たちも、とっても達成感をあじわえる絵本です。
だからきっと……読んでみたらいいかもね!
この書籍を作った人
1978年アイルランド生まれ。デザイナー、イラストレーター、絵本作家。2007年、アメリカのタイム誌のデザイン100に選ばれた。絵本デビュー作となる" A BIT LOST" (『ちょっとだけまいご』)は、19の言語に翻訳され、2011年には、アイルランドを代表する児童書に贈られるビスト最優秀児童図書賞とともに、新人作家を対象とするエイリース・ディロン賞をダブル受賞している。
この書籍を作った人
埼玉県生まれ。詩人、絵本作家。詩集に『ひつじがいっぴき』(フレーベル館)、『五つのエラーをさがせ!』(大日本図書)。創作絵本に『しきしきむら』シリーズ(岩波書店)、『おはようきょうりゅう』(教育画劇)、『ちょろちょろかぞく』シリーズ(理論社)、『はたらくんジャー』(フレーベル館)、『からだのなかでドゥンドゥンドゥン』(福音館書店)、『なになになあに?』(フレーベル館)。絵本の翻訳もてがけ、クリス・ホートン作『どうする ジョージ!』で第62回産経児童出版文化賞翻訳作品賞を受賞。『クマのパディントン』(理論社)、翻訳絵本に『ヨゼフのだいじなコート』(フレーベル館)、『ともだちからともだちへ』(理論社)、『ピッツァぼうや』(セーラー出版)、『ぜったい食べないからね』他多数。
出版社からの内容紹介
山の上に、きんたろう先生が園長の幼稚園がありました。子どもたちはロープウェイで登園し、先生は動物たち。年少さんはくま先生、年中さんはおおかみ先生、年長さんはさる先生たちとお世話したり、お世話されたり。授業は自然の中でのびのび。やまんば先生の給食をおいしく食べたら、木かげでみんな一緒にお昼寝。ところが、水飲み場からおかしな声が……。子どもたちと動物たちがすごす夢のように楽しい幼稚園のお話です!
この書籍を作った人
兵庫県生まれ。武蔵野美術短期大学卒。イラストレーターのかたわら絵本を学び、第27回講談社絵本新人賞佳作を受賞。「大人もいっしょに楽しめる、子どものための絵本」の制作をつづけている。絵本の作品に『くうたん』(講談社)、『もぐてんさん』(岩崎書店)がある。夫・娘・息子・亀・犬とともに千葉県松戸市在住。
出版社からの内容紹介
スウェーデンを代表する絵本作家
エルサ・ベスコフの名作絵本。
ある日おんなの子は、
おじいちゃんといっしょに、
えほんをつくることにしました。
それは、こんなおはなしです。
さわやかな、夏のはじめのある日。
ロサリンドというおんなの子が
草原で、こじかとなかよくすごしていました。
ところが、りょうしのてっぽうの音におどろいて、
こじかがもりへにげだしてしまい……?
初夏の森を舞台に、
やさしい少女と可憐なこじかの絆をえがいた、
スウェーデンを代表する絵本作家
エルサ・ベスコフの名作絵本。
この書籍を作った人
1874-1953年。スウェーデンの児童文学作家・絵本作家。工芸学校卒業後、小学校の美術の教師として働き、1897年に『ちいさな ちいさな おばあちゃん』(偕成社)で、絵本作家デビュー。6人の子どもを育てながら30作をこえる作品を発表。1952年に、ニルス・ホルゲルッソン賞を受賞。主な作品に、『ペレのあたらしいふく』、『もりのこびとたち』、『おもちゃ屋へいったトムテ』(すべて福音館書店)、『ラッセのにわで』(徳間書店)など。
出版社からの内容紹介
くいしんぼうのくまがおこす、真夜中のおおさわぎ!「あむあむ、おいしい。もっとたべたいな」山ぶどうの実に夢中になり、どんどん松の木をうえにのぼっていく、おおきなくま。くまの重さにがまんができなくなった松の木は、全身をばねのようにしならせて、夜空へはねあげた!
この書籍を作った人
1967年、北海道生まれ。絵本画家、童画家。一橋大学社会学部卒業(社会人類学専攻)。印刷会社勤務の傍ら美学校造形基礎教場に通う。 退社して同校シルクスクリーン工房に3年間在籍。月刊漫画誌「ガロ」入選('95年)を機に漫画家兼イラストレーターとなる。2007年頃から、子ども向けの創作に専念。子どものためのお絵描き教室やワークショップの手伝いなどをしながら、絵本作家を志す。絵本に『山菜の絵本』(農文協)、『月宮殿のおつかい』(幻冬舎メディアコンサルティング)など。
出版社からの内容紹介
むかし、ある国の王さまと王妃さまが、妖精に「子どもがほしい」とお願いしました。「どんな子どもでもいいんです」……すると、やってきたのは1ぴきの子ヤギ。あわてんぼうの妖精がまちがえてしまったのです。そうとは知らない王さまと王妃さまは、なんとか子ヤギを育てようとするのですが……。魅力たっぷりの愛らしいイラストで、おとぎ話の体裁をとりつつ、新しい「家族」のあり方を考えさせてくれる絵本です。
みどころ
かものはしくん、今日はとびきりおめかしをして家を出ました。
だって今日は、おばあちゃんの誕生日!
大切なプレゼントをかかえて、おばあちゃんのおうちにむかいます。
おともだちに会ったり、大好きな水場に寄ったり、カフェで休んだり。
あちらこちらへ寄り道しているうちに…。
ちょっと、かものはしくん! わすれものわすれもの!
忘れんぼうのかものはしくんと、忘れものを届けようとそのあとを追いかけるハリネズミくんの追いかけっこ。
どうぶつたちのつぶらな目がかわいいなあ、なんて読みすすめていくと──
あれ? なんだかようすがおかしいぞ…?
物語はじょじょに奇妙なふんいきに。
予測不能の衝撃展開!
いったいだれがこれを予測できるでしょう?
よくよく表紙をながめれば、なるほどたしかにヒントはありますが…。
かものはしくん、わすれんぼうにもほどがあるよ……。
びっくりして「きゃー!」
それとも「きょとん?」
「そんなバカな」でゲラゲラ?
この絵本を読んで、みんなはどんなふうに感じるんだろう?
そんないたずら心をくすぐられ、「この絵本、読んでみて!」と、きっと人にすすめたくなる一冊です。
みどころ
旅するかき氷屋のカメレオンが、リヤカーの屋台を引いています。
中に並ぶ、世界中であつめた色とりどりのシロップが自慢なんですって。
元気のないサルくんがやってきて、カメレオンは黄色いかき氷をすすめます。
「レモンにバナナ、はちみつをつかった“たいようかきごおり”をめしあがれ」
食べてみると……あら不思議。
そこはかがやく黄色の世界!
カメレオンも黄色になってまどろんでいます。
砂漠の太陽をたっぷりあびて、顔色がよくなったサルくんが元気いっぱいにとびあがっています。
シロクマくんやコアラさん、ウサギさん……。
いろんな動物がやってくるたび、カメレオンは彼らの体調や症状にぴったりのかき氷をすすめてくれるんですよ。
「あまいソーダとうみのしおをつかった “うみかぜかきごおり”」とか、「ぶどうとブルーベリーをつかった“よあけかきごおり”」とか……。
こんなかき氷、食べてみたい!
そんな頼りになるカメレオンにも悩ましいことがあるようで……いったいどんな悩みを抱えているのでしょうか。
体の色を変えることができるという特徴を持つ、カメレオン。
ページごとにいろいろな色に美しく変化します。
落ち着いた色から、はっとするほど華やかに見える色まで。
半開きのような目の表情もすこしずつ変わって、知的に見えたり、悲しそうに見えたり。
独特のタッチに魅了されます。
作者である谷口智則さんは大学時代に日本画を専攻しており、日本画の色調や空間表現から学びつつ、今の作風を作り上げてきたそうです。
「もしもじぶんにじしんをなくしたら……」
こんな言葉と、カメレオンの悩みややさしさに心が震える絵本。
子どもはもちろん、大人にも、自分のための大事な本としておすすめしたくなる1冊です。
この書籍を作った人
1978年大阪府生まれ。金沢美術工芸大学日本画専攻卒業。20歳の時にボローニャ国際絵本原画展を見て、独学で絵本を作りはじめる。絵本「サルくんとお月さま」で絵本作家としてデビューしたのち、フランスの出版社Le petit lezard社より絵本「CACHE CACHE」をはじめ、日本だけでなくフランスやイタリアなどで数々の絵本を出版。以降絵本の世界にとどまらず、テレビ、雑誌、企業広告、商品パッケージ、店舗デザインなどあらゆるメディアで活躍の場を広げる。今後の活躍が最も期待されつつある、日本人絵本作家の1人。読んだ人が絵本の世界に入り込め、登場人物の想いや言葉が空間に浮かんでくるような絵本作りを心がけ、たとえ言葉が通じなくても、子どもから大人まで世界中の人びとに想いと感動が伝わるような絵本作りを目指している。
出版社からの内容紹介
ゆめをじつげんしたければ、いつのひか、ほんとうにそうなると、しんじなければなりません。
〔スピリット・オブ・ジーコ〕ジーコを強くし、ジーコが大切にしてきた3つのこと
本文ポルトガル語訳つき
サッカーがうまくなりたい一心でボールをチームメイトに回さないジーコ。やがて仲間は離れていき一人になって初めて、上達するために大切なことは何なのかを学びます。その少年時代を通して“スピリット・オブ・ジーコ”を伝える絵本。
■□■ジーコの言葉■□■
これは、ある子どもの夢についての絵本です。この子は、最初にやりたいと思ったこととはちがう目標に目ざめて、いろんなことを学んでいきます。そして、サッカーで、あるまちがいをしてしまいます。けれど、夢を通じてそれを直し、よくなっていきます。ぼくはこういうことが起きると、本当に信じています。だから、子どもたち、先生方にぜひ、この絵本を読んでいただきたいです。そして、この絵本が、みなさんの人生で役に立つことを願っています。
[ジーコ]
この書籍を作った人
1946年熊本生まれ。1972年、はじめての創作絵本「ぼくのべんちにしろいとり」出版。90年「風とひょう」でイタリア・ボローニヤ国際児童図書展グラフィックス賞受賞。91年、神奈川県北鎌倉に「葉祥明美術館」開館。97年、絵本「地雷ではなく花をください」で日本絵本賞読者賞受賞。2000年、長崎の原爆をテーマにした絵本「あの夏の日」が、第6回平和共同ジャーナリスト基金賞奨励賞受賞。02年 絵本創作の原点である熊本県阿蘇に「葉祥明阿蘇高原絵本美術館」を開館。
葉祥明美術館
URL:https://www.yohshomei.com
※ミュージアムトークをリモート配信中(有料)です。
お申込みはこちらから>>
出版社からの内容紹介
回転すしスシローの公式キャラ「だっこずし」が絵本になりました!
すしネタがたまらなく好きで、いつもすしネタをだっこしている、だっこずし。ある日、どのネタがいちばんおいしいかと、壮絶なバトルがはじまった。結末はいかに!?
みどころ
秋景色の中、クマの子は周りのもの、何もかもに興味津々なのです。葉っぱの色や穴あきの様子、小鳥、雨、虹などなど。なかでも、穴から眺める、お母さんの顔、小鳥、お星さま。子どもらしい視点で素敵な世界が広がります。だから、クマの子はお母さんにたくさん話したいのです。
そこで、キーワードなるのが「ふかふか」です。その会話の間、クマの子は、お母さんの背中に触り、手をつなぎ、だっこしてもらって。この感覚があるからこそ、安心していろいろな世界を満喫できるのですね。ぜひ、お子さんの手を握ったり、だっこしたりして読んであげてほしいです。
銅版画で描かれた独特の色彩と風合いが、この親子の関係性を優しく包み込んでいるようです。「ふかふか」がとてもリアルに感じられるのも魅力的です。
おのかつこさんは、文具メーカーで企画デザイナーを経て、フリーに。第8回ニッサン童話と絵本のグランプリ優秀賞など受賞後、本作が初めての絵本出版となります。銅版画作品でも、国内外で入選・受賞多数。銅版画での多彩な表現、これからも注目したい絵本作家のひとりです。