美味しそうな絵本は数あれど。
この絵本のタイトルは「ごはん」。
日本人の主食、お米が主人公です。
思わず手に取りたくなるに決まっています。
みんなお米が好きですからね。
でも、だからこそ。
表現するのは難しいはずです。
なにしろ、絵本を読む殆どの人がその美味しさを実際に体験済みなのですから。
ずらりと並んだ炊き込みご飯やお茶漬け(どちらも13種類!)の絵を、さて読者はどんな風に楽しむのでしょう。ごはん好き代表として、試しに読んでみると…。
これはもう無意識なのですが、絵を順番に見ながら、その味を、脳の中や舌の上で再現しようとします。それを13回ずつ繰り返すのです。「さつまいもごはん!」「…ああ、鯛茶漬け」「てんちゃ、ってなんだっけ?」あまり想像できなかった味は、今度自分で作って再現してみようと思うのです。
これだけ言えば、もう絵本を読まないわけにはいかなくなってくるでしょう。それはそれは美味しそうに描けています。存分に味わえます。カレーや炒飯などの外国ごはんも、おむすびやおすしなどのアレンジごはんも次々に登場します。
最後の解説文もお気に入り。
「おむすびの可能性は無限大」「大きめのお茶碗でワシワシ食べたい」「いっきにさいごまで食べすすめたい、力みなぎるごはん」等々……。
この方、本当にわかってらっしゃるのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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