学校からの帰り道、「おてつだい」の話になった、ななえちゃんとそのクラスメイトの男の子たち。
「おれ、このごろ せんたくものを たたむの てつだってるんやで」
「ぼくは おふろそうじを やってる。まいにちやで!」
自慢気な男の子たちに、ななえちゃんは、「なにか おてつだいしてんの?」と聞かれ、答えられません。
ななえちゃんはほとんどお手伝いをしたことがないのです。
でもその日、家に帰ってみると、いつもたよりになるおばあちゃんが転んでケガをしていて…?
おかあさんはもうすぐ赤ちゃんが生まれるから入院しているし、お父さんはまだ帰ってきません。
「そうや! こんなときこそ!!」とはりきったななえちゃん。何でもお手伝いする!とおばあちゃんに言います。
教えてもらいながら洗濯物をたたんだり、おやつをおばあちゃんに持っていってあげたり、絵本を読んであげたり…。あれれ、「おてつだい」じゃないものも含まれているみたいですが、ななえちゃんは内心誇らしくてたまりません。
「ふふふ。じぶんで いうのも てれるけど、わたしって、はたらきもので やさしくて、おてつだい がんばって、ええこやなあ」
眠ってしまったおばあちゃんを見て、ついに、夜ごはんに「ごちそう」まで作ってあげようと思い立つななえちゃんですが、がんばってもなかなかうまくいきません。
帰ってきたお父さんの顔を見たとたん、泣き出してしまったななえちゃんに、お父さんは…?
ななえちゃんの気持ち、きっと子どもたちはよくわかるはず。
お手伝いって、家族のだれかに「すごい!」「がんばったね」「ありがとう」と褒められたり喜ばれたりするのが、いちばんうれしい。子どもの素直な気持ちですよね。
がんばっても、慣れないお手伝いでうまくいかないことがあるのは当たり前。
やっていくうちに、できることも増えるし、「喜んでもらえるとうれしい!」とわかることは成長のあかしですよね。
ななえちゃんを包み込むおばあちゃんとお父さんが素敵です。
お父さんの機転で、ちゃんと「ごちそう」になった、ななえちゃんの夜ごはん。本を読んだ子どもは、真似して作ってみたくなるかもしれませんね。
「まかしとき!」と胸を張っておてつだいしたくなる、そんな子どもの気持ちを応援したくなる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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