とんとん団地に住む、ぷうたろう。
同じ団地に住むとんた、はなちゃんと、学校帰りに花火大会のポスターを見つけます。
「うわっ いきたーい。さんにんで いこうよ」
盛り上がって、スキップで家に帰った3人だけれど……
お母さんたちはダメだって言うんです。
子どもだけでは行かせられないって。
怒ったぷうたろうはランドセルをボコボコたたいて、床をドンドンならし、団地の屋上へかけあがって「バカ バカ!」と叫びます。
日頃のお母さんへの不満を思い出すうちに頭がだんだんあつくなってきたぷうたろう。
とうとう頭から「ひのたまおばけ」が飛び出してきて……!?
「ある、ある」と思わずうなずきたくなる親子のぶつかりあい。
親が、子どもだけでどこかに行くことを許さないのは、もっともな理由があるのですが、
子どもたちにはとても理不尽に感じられます。
それに、たいていお母さんって理不尽すぎるんです(どきっ)。
「ふろのなかのあそびにくちをだすな」
「ならいごとやめたい」
「妹のほうばっかり向かないで」
ぷうたろう、とんたくん、はなちゃんの主張もごもっとも。
でもね、親には親の理由もあるのよ……なんて弱気でつぶやきたくなっちゃいます。
怒りの「ひのたまおばけ」がドッカーン!とあがってしまうのはちょっとこわいけど、「大声で叫ぶ」って意外といい解消法なのかもしれません。
いっぱい泣いて騒いで、最後は知らんふりの照れ笑い。
あっさりした最後の場面にほのぼのします。
親も子も、あつい、あつい!
わたなべゆういちさんの書き文字にくすっと笑いたくなる、子どもパワー炸裂絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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