『オオカミ』『もっかい!』『へんてこたまご』など、構成や造本がユニークな、エミリー・グラヴェットの絵本です。
カバーをとると、表紙に素敵な「穴」が登場します。
木々が枝をさしのべる、木々に囲まれた「穴」のような空間にいるのは……。
きれいずきの、ピート。
アナグマのピートです。
どうやら森の中で落ち葉をひろって、くずかごに入れているみたい。
木がいっぱいの場所で、落ち葉をひろってくずかごへ入れるなんて、とってもナンセンスなことに思えますが……?
ピートはおかまいなし!
お花畑の伸びた葉っぱや、はみ出た花をはさみでチョキン。
ちらかった小枝も、よごれた岩も、ちゃんときれいにととのえます。
でも落ち葉なんて、風がふけば……。
ほらね。
わかりますよね?
でもピートはめげない!
いっそのことぜんぶきれいにしてしまおうと、木をひっこぬき、どろをすくい、コンクリートをしきつめ……!?
ピートったら、いくらきれいずきでも、やりすぎ!
カラフルな葉でいっぱいの豊かな森に、ピートがやってしまったことといったら。
森のみんなもいい迷惑です。
でも困ってしまったのは、ピートも同じ。
地面の下の、自分の家に戻れなくなっちゃったんですから。
さあ、ピート、どうする!?
しゅっとした目元、鼻面、毛並みのピートはなかなかかわいいアナグマです。
何事にもやりすぎは禁物! それがわかっただけでもよしかもしれませんね。
表紙の「穴」にわくわく。随所に出てくるおそうじグッズも見どころです。
裏表紙でピートが「よんだらもとのばしょへ」と本を棚へもどしている絵もご愛嬌。
ちょっとしたところにユーモアのセンスが光る、ケイト・グリナーウェイ賞を2度受賞したエミリー・グラヴェットの絵本は今後も要注目です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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