舞台は博士の研究所。ここで博士は助手くんと毎日研究をしているのです。あ、今日も新しい発明ができたようですよ。何を見せてくれるのでしょう。ワクワクしますね。
「はかせ、またですか?」
(どうやら助手くんにとっては珍しくもないようです。)
登場したのはプール。何の変哲もないように見える、水の入った四角いプール。ところがこれは、入れたものが何でも大きくなるプールだと言うのです。
「えー、ほんとうですか?」
博士がプールに何かを入れると大きくなり、水面にその一部が顔を出します。それをヒントに水中に沈んでいるものの正体を助手くんに当てさせるのです。「そんなの簡単だよ」そう思うでしょ? ところがこれが結構難しい。巨大化した白と黒の丸いもの、巨大化した木の枝みたいなもの(しかもちょっと動いている)、赤い丸ふたつ、長い丸の穴ふたつ。答えは全て水を抜いて。意外なものが次から次へと登場します。最後は、すごくよく見たことあるような……。
ものの一部を見せてあてっこする。そう説明するとただシンプルなお話なのですが、これが何だか笑っちゃう。繰り返されるほど笑っちゃう。だってなんか「へん」なのです。作者はグラッフィック・デザイナーとして活躍されている中村至男さん。何が頭を出したら面白いのか、それを見たら人は何を想像してしまうのか。そんな事をいつも考えているのかもしれませんね。
お茶目でかなり天然な博士と、冷静に見えて振り回され続けている助手くん、そんな二人の会話劇も味わいながら楽しんでみてくださいね。続きが見たいなあ…。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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