キツネとオオカミのコンビでお馴染みの「おれたち、ともだち!」シリーズ。
さて12冊目は、キツネに何かを内緒にしているオオカミと、内緒にされて落ちこむキツネのおはなしです。
せっかくキツネが遊びに行って、一緒にトランプをしているのに居眠りするオオカミ。
しかもキツネが帰ったら、ほっかむりしてスコップをかついで、さっさと出かける始末……。
いったい何をしに? まさか、どろぼう?
気になったキツネがあとをつけると、オオカミは原っぱに穴をほりはじめます。
キツネは「ぼくにもあなをほらせて」と言いますが、「だめだー!かえれー!」とオオカミに追いかえされてしまいます。
キツネは怒って「もう、あそんでなんかやらないぞー!」と叫びます。
へんなオオカミ!
おまけに、キツネが森の他のともだち……イノシシさんやクマさん、ヘビさんのところに遊びに行っても、だれも遊んでくれない!
みんなへんです。
落ちこむキツネ。ひとりぼっちになった気分です……。
一方、穴をいっしょうけんめい掘るオオカミ。
スコップの柄が折れて困っていると、「おれたちもてつだうぜ」と、どやどや森の動物たちがやってきます。
いったいぜんたい、どういうことでしょう?
ヒントは表紙の絵。表紙でオオカミは、燕尾服にシルクハット姿で踊っています。
何かの衣装でしょうか?
じつはオオカミは、だいじなともだち、キツネの誕生日のためにとびっきりのプレゼントを考えていたのですが……。
くわしくは絵本を読んでのお楽しみ。
後半、ぽかんと口をあけたキツネの顔ったら。最高にまぬけでかわいいです。
そして「オオカミだっておどろいています」という展開は、さすがの内田太郎さん節。
ともだちは、ともだち。
出会ったときから。
いつだって。
それは、オオカミとキツネだけじゃなかったんですね。
『ともだちごっこ』のテンや、『よろしくともだち』のコダヌキ、『あいつもともだち』のヘビ。
『ともだちひきとりや』のイノシシ……。
シリーズに登場する森の動物たちが登場します。
終盤の、降矢奈々さん描く幻想的な一夜の場面をたっぷりお楽しみください。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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オオカミとキツネの人気シリーズ「おれたち、ともだち!」最新刊。近ごろとってもへんなオオカミさん。キツネはあそびたいのに、オオカミさんはいねむりばかり。クマさんもイノシシさんもヘビさんも、あそぼ、っていってもみんなダメっていう。キツネはひとりぼっちになった気分。でも、オオカミさんが考えていたことは、とびきり素敵なことでした。だって大事な友だち、キツネの誕生日だったのですから! 熟したシリーズの中の様ざまな人間模様(?)が浮かび上がってくる12冊目。毎回いろんな視点から「友だちって」と考えられずにはいられません。期待のキツネのファッションも、チャーミングです。
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