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「熊、おれはてめえを憎くて殺したのではねえんだぞ。てめえも熊に生まれたが因果ならおれもこんな商売が因果だ。やい。この次には熊なんぞに生まれんなよ。」自然と人とがむきだしに生命をやりとりする場所で、やるせない淋しさのなか、神聖なるものが、静かによりそい、結びあう・・・・・・。「あらしのよるに」のあべ弘士が賢治と真剣対峙して描いた渾身の絵本。
▼「宮沢賢治の絵本」シリーズ
【著者プロフィール】 あべ弘士 1948年北海道旭川市生まれ。1972年から25年間、旭川市旭山動物園飼育係として勤務後、現在は絵本を中心とした創作活動をしている。1981年に最初の絵本「旭山動物園日誌」(出版工房ミル)を出版。1995年「あらしのよるに」(木村裕一/作 講談社)で、講談社出版文化賞絵本賞、産経児童出版文化賞JR賞受賞。1999年「ゴリラにっき」(小学館)で小学館児童出版文化賞受賞。2000年に「ハリネズミのプルプルシリーズ」(文渓堂)で赤い鳥さし絵賞受賞。絵本に「どうぶつえんガイド」(福音館書店)「わにのスワニー」(講談社)など多数。 続きを読む

宮沢賢治は このお話を心を込めて書けたのですね
なめとこ山の風景が感じられて 淵沢小十郎の仕事は くまを殺して 熊の皮と胆(肝)を売るのです
熊は小十郎のことをなぜか好きなのです この関係は賢治描方が心を和ませてくれます
それでも家族を養うための仕事ですから 熊を殺します
親子の熊をそっと見守る 小十郎の優しさ
荒物屋へ熊の皮を売りに行くときの小十郎の気弱さも 人柄が感じられます
賢治はこの時荒物屋のことを小十郎をうまく操っていることをじつに癪にさわってたまらないと書いています
賢治の気持ちがよくわかります
ある時熊が殺すのを待ってほしい 2年したら自分の命を小十郎のもとへ来る とのくだりも 泣けてきます
熊と小十郎の信頼関係ならではですね
ラストはまた泣けます
小十郎は鉄砲で撃たれて 座ったように死んでいる
その周りをかこんでいるのかなあ? 熊たちの姿の思えます
あべ弘士さんの絵は 迫力と優しさの感じられる賢治とこころに寄り添っています
(にぎりすしさん 60代・その他の方 )
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