幼稚園のねんしょうさんの時から親友のえいたとはると。お弁当はいつもとりかえっこするし、遊ぶ時もおゆうぎの時もいつも一緒です。二人はもうすぐ小学生、卒園式の練習もはじまりました。
そんなある日、ふとしたひょうしに二人は大ゲンカをしてしまいます。
「えいた、はやくあやまれ!」
「なんだよ、はるとがあやまれ!」
取っ組み合いの大暴れ。次の日になってもえいたとはるとは口をききません。お互いに(あやまるのは あっちだ。)と思っているので、なかなか仲直りができないのです。このまま卒業しちゃうのでしょうか。
ある時、りえ先生が言います。
「今日は、タイムカプセルをつくりまーす。大きくなったらなりたいものや、卒園の前にお友だちに言っておきたいことを手紙にかきましょう。」
さてさて、二人は紙を手でかくしながら真剣になにかを書いていますよ。一体どんなことを書いたのかな?
読んでいて感心しちゃうのは、こんなにちっちゃな男の子同士にも不器用ながらあつい友情ってものが存在するんだなってこと。見ていると微笑ましかったり、やきもきしたり。なかなか手がかかる関係です。
でも男の子ってやっぱり素直でいいですよね。どんな事を思っているかなんて、隠していても顔を見ればすぐわかっちゃう。一番のみどころは大迫力のケンカシーンです。かみついて、髪の毛つかんで、転げまわって、泣きわめいて!感情むき出しにしてぶつかり合っている二人を見ていると、子どもとしてとても正しい姿だと思ってしまうのは私だけじゃないはずです。
大きくなってタイムカプセルの事を思い出す頃、えいたとはるとはどんな成長をしているのかな。そんなことを想像するだけでちょっと幸せな気分になってきます。
子どもの純粋な気持ちのゆれを、生きた表情で素直に描き出している爽やかな一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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