いつも遅れて鳴くちょっとまのぬけた鳩時計をめぐる、時計屋のおじいさんと村の子どもたちの、ほのぼのとしたユーモラスなお話。
「ああ、この絵はどこかで見たことがある。色遣いもとても似ている。」表紙を見ながらしばらく考えていましたが、やっとわかりました。そうなんです、『百まいのドレス』(岩波書店)と同じ画家さんだったのです。石井桃子さんの改訳新版が出たのが2006年、『ねぼすけはとどけい』の新装版が出たのが2007年。どちらも数十年の時を越え、新たに出版されました。とてもうれしいことです。
『ねぼすけはとどけい』は、123個もはと時計が壁にかかっている時計屋さんのお話です。想像できますか、123個のはと時計。時計が「ボン」と鳴ると、中にいる123羽のはとが飛び出してくるのです。
こんな時計屋さんが通学路にあったら、子どもたちは必ず寄り道して帰りますよね。「ボン」という瞬間を楽しみにして。
しかし、困ったことに1羽のはとだけ飛び出すのが少し遅れるのです。
この遅れて出てくるはと時計のために、時計屋さんは窮地に追い込まれます。それを子どもたちと一緒に時計屋さんは解決します。こんな風に声をかけあうことができる大人が街にいることは、子どもたちにとってとても幸せなことだと思います。
はとが遅れて飛び出してくる理由を知ったとき、この絵本の作者のやさしさとユーモア、そして子どもへのまなざしが伝わってきました。
テキストが少し長めなので、小さいお子さんの場合は大人が読んであげると良いと思います。 (はしのさん 40代・パパ 男の子15歳、女の子13歳)
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