ぼくはボイ。パパとママの3人で暮らしている。
でも、ぼくとママはいつもパパの機嫌を気にしている。
ある日のこと、パパの様子がおかしい。
ママはぼくに「静かにするのよ」って言う。パパどうしちゃったの。
ぼくが何かしたの? パパ怒っているの?
「怒ってなんかいないぞ」とげとげした声でパパが言う。
パパのなかの「怒り鬼」が大きくなって、パパはもうパパじゃなくなる。
そしてとうとう、ぼくを守ろうと立ちはだかるママに
「怒り鬼」はどんどん近づいて……。
〈話すことで、外の世界への扉が開く物語〉
パパが暴力をふるうのは「自分が悪い子だから」と考え、
家の事はしゃべってはいけないと辛抱していたボイでしたが、
ある日、「誰かに話してごらん」と風や木や小鳥たちにはげまされ、
王様に手紙を書くことで、物語は大きく展開していきます。
この作品は、「悪いのは暴力をふるう大人のほう」というメッセージを伝えるとともに、
DVに対しては、周りが早く気づいてあげること、
がまんしないで助けを求めてもいいこと、そして暴力をふるう当事者自身が
かわる努力をしなければならないことを訴えかけています。
原作は、2009年に映画化(日本公開タイトル「アングリーマン」)され、
広島国際アニメーションフェスティバルでグランプリを獲得したのをはじめ、
世界各国で高い評価を受けています。
〈読者対象について〉
作品の文学性、絵画性から、小学校低学年以上のあらゆる年代層が対象になると考えられます。
DV関係団体はもとより社会教育関係等々さまざまなニーズもあると思われます。
〈著者紹介〉
作/グロー・ダーレ
1962年オスロ生まれ。ノルウェーとアメリカで幼少時代を過ごす。
オスロ大学などで心理学、思想史などを学び、詩集『Audiens』でデビュー。
2002年『いい子』でブラーゲ賞(ノルウェーで最も権威のある文学賞)を受賞するなど
受賞歴多数。
絵/スヴァイン・ニーフース
1962年トンシュバルグ生まれ。オスロ国立美術大学でグラフィックを専攻。
雑誌や新聞などでイラストを描いていたが、1995年以降、
妻のグロー・ダーレとの共作に力を入れている。
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