ゴミ収集車が低くうなって、収集車のおじさんたちが次々と投げ入れるゴミを、ばりばり、むしゃむしゃ、押しつぶしながら飲みこんでいくさまというのは、不思議と幼い男心をくすぐる光景です。
そんな、働くゴミ収集車の一日を描いた本作。
「グイーン! バリバリバリ! ゴー!」
うなりをあげてゴミを積みこみ、あっちへこっちへと町を走るゴミ収集車。
でも、集められないゴミもあるんです。
決められた日とは違う日に出されたゴミは?
大きすぎて積み込むことのできないゴミは?
やっと焼却場へとゴミを運んでも、ゴミ収集車とおじさんたちの仕事は、まだ終わりではありません。
生き生きと働くゴミ収集車のおじさんたちの表情が、とてもすがすがしい一冊。
ゴミ収集車に興味のある子へわくわくをくれる作品であるのはもちろん、ゴミ収集車を見て「くさいな、汚いな」と感じる子の、そうした印象を変えてしまうような作品でもあります。
ゴミ収集車は、パトカーや消防車、救急車に比べると、見えていないときの働きをイメージしづらい「はたらくくるま」かもしれません。
しかし、特別な事件や出来事がないときでも必ずお世話になる、生活に深くかかわる「はたらくくるま」でもあります。
そんなゴミ収集車と、おじさんたちのがんばりを知れば、ゴミを捨てるルールや環境について考えるきっかけにもなります。
(堀井拓馬 小説家)
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