「だるまさんシリーズ」などで大人気のかがくいひろしさんが絵本作家デビュー前に描いた絵本。
講談社絵本新人賞に応募し、2004年度に佳作入賞した作品です。
長年“幻の絵本”でしたが、10年以上の時を経て出版されました!
きょうは梅干のうめじいのたんじょうび。
浅漬けきゅうりとたくあんがひょっこり道で出会い、うわさばなしをはじめます。
「ねえねえ、きょうは うめじいの たんじょうびだよね」
「うめじい なんさいだか しってる?」
「うわさじゃ 200さいだってさ」
「えー すごい」
しかし双子のらっきょうは「500さいだって」
千枚漬けは「1000さいづけ」
と、だんだんすごいことに……。
本当は何歳になったのか、みんなでうめじいに聞きにいくのですが……?
おもち、やかん、だるまなど、和風のキャラクターがいつも愛らしさ満点のかがくいひろし作品。
その原点ともいうべきこの作品、もちろん期待を裏切りませんよ。
登場するのはみーんなお漬物。
梅干し、漬物石、浅漬けきゅうり、たくあん、らっきょう、千枚漬け!
それが可愛い姿で、いきいきとおしゃべりしてくれるのですから、もうたまりません。
しわしわ顔の表情豊かなうめじいにほのぼの。みんなのずっこけぶりにニヤニヤ。
お祝いのろうそくをフーー!と吹き消す、迫力たっぷりのうめじいも見どころですよ!
おじいちゃんやおばあちゃんと話をしながら、家族で一緒に楽しみたい絵本。
何年生きてきたかわからないうめじいは、「トーテンポー」「ウッスラペン」と不思議な“うめことば”を話します。
みなさんも、おじいちゃんやおばあちゃんの言葉に耳をかたむけて、若い頃の話を聞いてみてくださいね。
ユーモラスでゆかいな会話、あたたかさに満ちた絵。
時が経ち味わいを増していく人やものへの、かがくいひろしさんの愛情が感じられる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
続きを読む