かあちゃんに絵本を読んでもらいたい けんちゃん。でも忙しそうなかあちゃんを見て、なかなか言い出せません。けんちゃんの誕生日にケーキを買い忘れたかあちゃん。そんなかあちゃんが、プレゼントしてくれたものは…。 我慢する子どものこころを見事に描いた、心がほっこりする親子の物語です。
読んですぐに思ったのは「なんと健気な…」ということでした。
お隣のまこちゃんが、毎日寝るときに絵本を読んでもらっていることを聞いたけんたくん。自分も読んでもらいたいと思いながら、なかなかお母ちゃんに言い出せません。お父ちゃんが死んで(たぶん)、お母ちゃんが美容師の仕事をして、生活を支えているのでしょう。仕事が終わっても、今度は家の用事。お母ちゃんが本当に忙しいというのがよくわかっているから、ずっと言い出せなくて、ついにはあきらめてしまいます。「絵本になんか興味ないもん」と、自分で自分に言い訳までして…。
けんたくんの誕生日も、遅くまでお客さんがいて、ケーキも準備できませんでした。がっかりするけんたくんでしたが、びっくりぽん!の嬉しい展開で、最後には「よかったね、けんたくん」と心から思いました。
「親の愛は無償の愛」とよく言われますが、私は逆に「子どもの愛こそ無償の愛」だと思っています。子どもは大人が思う以上に、大人の事情を理解しています。何よりも、お父さん・お母さんのことが大好きです。どんなに怒られたりしても、やっぱり好きだし、お父さん・お母さんにも自分のことを好きであってほしいと願い続けているように思います。
大人には大人の事情がいろいろあるでしょうが、子どもが自分のお父さん・お母さんを「好き」と思う気持ちを裏切られることのない世の中であってほしいなと思いました。
けんたくんがお母ちゃんにいろんな絵本を読んであげて、これからも仲良く暮らしていけますように…。 (みっちゃんばぁさん 50代・その他の方 )
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