ひとめ見たものは、その恐ろしさのあまりものも言えなくなるという怪物キラキラ。
一体どんな姿をして、どんな悪さをするというのでしょう。
高い山に住んでいるキラキラを退治すると向かったのは、オビエ村の兄弟の暴れん坊の弟、キリ。
しかし一向に帰ってこないキリを心配した兄のキルは、周囲の反対を押し切って山に向かいます。
そびえ立つ山の頂でキルが見たのは、怪物キラキラと弟キル!弟を守りたい一心で弓をひくキルだったが・・・。
この後の思いもかけない展開は、読者の心に大きな衝撃を与えます。そして、人と人が理解し合うことの難しさを痛感することでしょう。それでも怪物キラキラ、兄弟キルとキリのやりとりは「本当の優しさ」「絆」について考えさせてくれるのです。
キンダーおはなしえほん1975年2月号初出となるこの作品の作者は、「アンパンマン」の作者としてお馴染みのやなせたかしさん。感動作、待望の復刊です。
やなせさんは子どもたちに対して、時に生きることの厳しさや切なさを赤裸々に描きます。
子どもたちは驚いたり、悲しんでしまうかもしれません。
それでも、子どもたちは「人と人との強い絆」について体で感じ取っていくはずです。
大人になっていく為に必要な「強さ」と「優しさ」。
絵本を通して伝えていく作者の覚悟を、親子で一緒に受け取っていきたいと思うのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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